まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1211

2017年05月15日 |  マツタケの林地栽培 

京まつたけ復活 大作戦

 読売テレビ 報道局 <ニュースten>担当尼子ディレクターが京まつたけ復活 大作戦成功の取材に来ます.当日もカメラを回し、今秋の京まつたけ発生まで随時取材が行われます.
 番組づくりの基本は、マツタケの林地栽培において無から有を創り出す方法を全国のマツタケ林家に伝えることがその目的である.

 1940年代(5806t/年)の今や1/100になったマツタケ発生量が雄弁に物語るように、マツタケの生息地もダメ、日本各地のマツタケ林家は手入れを諦め、松茸山を顧みようとはしない.その理由は明白そのものでありうなずける! 
 
昔まつたけが採れたアカマツ林を、たとえ皆伐・地表の堆積物の地掻、その後高等植物の密度調整を施しても新たにマツタケが発生した例はないからである.通常作業の実施では、30年後に無から有の難しさをかみしめ泣きを見ることになる. 
 
この失敗は生物科学的に当然である.今までの地掻作業は、腐植層を取り除くだけで、その下に位置する深さ30cmに及ぶマツタケ生息空間の土壌の質(栄養状態)を考慮していないからだ.富栄養化土壌に育つアカマツ林では、それが若齢林であろうと壮齢林であろうと、再びマツタケを呼び戻すことはできないのだ.多くのまつたけ林家は、被害者でもうだまされないぞと思っているはずだ.
 
 現在、マツタケの発生するマツタケ山はいくつもあるがいずれも、昨年もマツタケが1本でも採れた林である.私たちの和歌山富喜試験林にも見られるように、マツタケが有る山に不断の手入れを行っている山にのみマツタケは有るのである.
 世界で1番と言える山は、韓国浦項市の白さん所有の、香川山とそっくりの林相を持つ、アカマツ林である.昨年、なんと200kg/haの生産量だそうだ.日本では、もう絶対にあり得ない山である.今年見学の予定である.

 そこで日本にマツタケが始めて登場した時を想起して欲しい.
 古い日本には、西日本なら当然照葉樹林が占めていて、アカマツ林は乾燥で痩せ地の瀬戸内沿岸に見られたに過ぎないと花粉分析は教えている.集落ができると、里山資源の利用が必須で、人口増に連れて照葉樹林を何度も何度もはげ山にする.大和でも畿内一円に伐木禁止令が発せられるほどであった.
 
 原生林の過度の利用で土壌が痩せると、植物間の競争に勝てるようになったアカマツ林の広葉樹林との交代を生むのである.というわけでいわゆる里山近辺にアカマツ林が登場した地は、今の奈良の都であったと考えられる.
 ご存じのように万葉集に『高松の この峰も迫に 笠たてて みち盛りたる 秋の香のよさ』という歌がある.これは奈良県高圓山の尾根道を狭しと並んだ沢山のマツタケがえもいわれぬよき香りを発している様子をうたったと言われている.これが、マツタケの無から有の日本最初の登場にあたる.

 アカマツ林が日本全体に登場した後(東北北部一帯が一番遅く江戸時代後半だろう)、各地のアカマツ林にマツタケの発生が見られたはずである.その後、日本で、マツタケの無から有の登場は記録にないと思われる.これをまつたけ山復活させ隊の仲間たちが経験したのである.喜びもひとしおであり、私たちは燃えている.次々とこの例を、重機で斜面を母岩まで削ることは容易ではないが、生み出していきたい.

 ということで、簡単に写真を用いて 京まつたけ復活 大作戦成功の快挙を振り返ってみたい.
 
 2005年5月に、今は亡き大月君と二人で、香川山の事前調査に入った.
 
 ここは開発の波を受けているので、林相の変化も通常とは異なる.この地は住宅地に転用すべく開発され、住宅予定地の後ろの斜面は、皆伐し、均一ではないが母岩が見え隠れする程度に重機で削られている.伐ったアカマツの年輪から判断して、おそらく1975年頃(?)のことと思える.

 その時の林相は、見ていないので想像の域を出ないが、周りの林相と変わらないはずなので、ヒノキ混じりの照葉樹林である(2005.5撮影).ビデオカメラの映像を静止画にしたもので画質が劣る.


 2005年5月の斜面の様子です.アカマツ林ではありますが、30年放置の植生変化が随所に見られました.放置里山林の特徴であるソヨゴがめだっていました.


 いよいよ、2005年 6月まつたけ山復活させ隊(当時はまつたけ十字軍)の第1回活動です.28名ほどの市民学生が、マツタケ山づくりのレクチャー後、斜面の作業に入りました. ずいぶんスッキリとなってきました.


 2005年 8月にはここまで整備が進んでいます.今(2016年)と比べると、アカマツも細く弱々しい.手入れ後10年の効果がうかがえます.


 毎年、補整作業を施し、マツタケの発生を首を長くして待っていました.これは発生直前のアカマツ林です.2016年8月撮影


 2016年10月22日待望のマツタケがでました.京まつたけの復活 大作戦の成功です!
 

 
 

喜ぶ仲間たちと、京都新聞太田記者の夕刊トップ記事(2016.10.26)です.


 その後、続々と(?)14本の発生でした.



 最後に掲げた写真は、同じように斜面を重機で削ったが、その後手を入れた山(香川山)と、それに隣接する手を入れなかった林の違いを示しています.左のようでは、アカマツも駆逐され、再び土壌も富栄養化が進んでいるでしょう.右の写真のピンクの目印は発生位置です.まつたけ山復活させ隊の仲間の作業に有意な意味がある.

 
 では結論ですが、
 京まつたけの復活大作戦の成功の秘訣を教えましょう.
 
 それは簡単だが難しい.重機による富栄養化土壌(腐植ではない)の地掻がなされたことにつきます.老齢化した元松茸山をお持ちの林家の方々は、再びかつての松茸山に戻す方法をご理解いただけたことと思います.やってみましょう! 


 5月19日(金)は、587回活動日です.京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称:下記アクセス)にお集まり下さい.ブログ報告は、吉村です.当日夜、是非ご覧ください. 
 
 
【お知らせ】

1.日本文化デザインフォーラム  JIDFラボ【松茸山再生と岩倉焼き】 名高いやきもの産地は名高いマツタケ産地である.
   開催場所はいずれも京都市左京区岩倉香川山(自称)まつたけ山復活させ隊活動拠点(アクセスは下記を!)

   13回 07月22日(土) 596回例会  マツタケ発生整備作業 実施                          参加費:食費500円
   14回 09月30日(土) 605回例会  陶芸班創作陶器にまつたけ料理を盛り、料理と作品を吟味 参加費は天候により変更 参加費:3500円 定員35名
   15回 11月18日(土) 612回例会  マツタケ発生整備作業と反省                          参加費:食費500円
      問い合わせは吉村(090-6227-4305, E-mail)まで

2.岩手県立大野高等学校収穫祭 参加者募集 
   日時 10月3日(火)~6日(金)
   場所:岩手県洋野町 岩手県立大野高等学校 並びに久慈平岳試験林
      10月4日:講演会と明日の打合せ.10月5日:まつたけ狩りと昼食会
      問い合わせは吉村(090-6227-4305, E-mail) まで

3.韓国浦項(ポハン)市 マツタケ山(ペク氏所有)視察 参加者募集しますが、詳細は今しばらくお待ちください.
         滞在費などの韓国の助成があります.関空APから大邱APと韓国内移動(小型バス)は個人負担. 9月の終わりから10月始めあたり、松茸発生最盛期.
      問い合わせは吉村(090-6227-4305, E-mail)まで

4.千葉県立中央博物館 自然誌シンポジウム
  日時:2017年11月23日(木、祝)13:00~16:00
  場所:千葉県立中央博物館
  テーマ:マツタケ栽培最前線
      人工栽培(白坂憲章).感染苗利用栽培(山中髙史).林地栽培(吉村文彦)
      問い合わせは千葉県立中央博物館 吹春俊光先生 電話:043-265-3111(代表)

【まつたけ山復活させ隊とは!】
ヒトとアカマツとマツタケの共生関係には学ぶものがあるように思える.

 活動には、目的はあっても参加者の行為を縛る規約らしいものはない.個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるようにと願ってのことである.
参加は誰にも開かれているが、施設の安直利用(あの人は何しに来ているのか?といぶかられる参加者)は、これを認めない.「香川山に来る」それにプラスする何かがなければならない.当然、マツタケ山づくりを共に楽しむことに共感を持つことが必須だ.

 我々まつたけ山復活させ隊の仲間には、山づくりをする人、資材等を運ぶ人・軽トラを貸してくれる人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、食事を作る人、道具類を整備する人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人、多機能窯を守る人、山を提供する人などがいる.作業内容は、これを特に固定せず、気づいた人が仲間を集い作業をこなしています(原則).すべての参加者は、運動の目的を実現するために互いに対等で支え合い助け合うことが必要である.

【まつたけ山復活させ隊の心得】

悔いの残らないようにするには! 

あせらず!むりせず!ゆっくり!とまつたけ山づくりを楽しみましょう!

1.熱中症に気をつけましょう!こまめに水分と日陰で休息をとりましょう.

2.チェーンソーで立木を伐る作業は、取り扱いを習熟するまで厳禁です.万が一事故の場合は自己責任とは言え、班の世話人はその責任を問われます.

3.伐木作業の『基本は忘れずに!』.掛られ木の伐採時に事故が発生します.作業は慎重に!

4.切り株を残さないように地際から伐りましょう! 急斜面に残された切り株につまづき小径木の切り株で顔面を怪我する大事故もあります.

5.脱いだ衣服やリュックなどは地面に置かないように習慣づけ、マダニ対策の常識としましょう! 
 イノシシやニホンジカの行動エリアが拡大し、マダニと接触するチャンスが飛躍的に増えている.SFTSウイルスの媒介、リケッチアの媒介、治癒しても後遺症の残るダニ媒介性 脳炎症も日本に存在する.

6.アシナガバチ・マルハナバチに刺されないように(アナフィラキシーショック)、オオスズメバチも活動が活発になっています.

7.小物が時々なくなります.これも共有財産です.大切に使わねばなりません.
 使用した道具類は点検・掃除後、元に戻す、損壊した時には世話人にその由連絡する.ガソリン缶などの放置がときどき起こります.元に格納すること.用いたコップの後片付 けも忘れないように! 食費の払い忘れなども時々あります.ご注意下さい.

まつたけ山復活させ隊活動日

活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.

§参加費は無料;メンバー参加者には、食材費+消耗品費として現在400円を徴収.初参加者・見学者などは500円(二度目からは400円).ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.

§参加や見学希望の方は、参加日や人数などを主催者にメールもしくは電話下さい.また、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?


回 開催日   報告担当者  男厨シェフ  特別企画     体験参加

587 05月19日(金) 吉村
588 05月27日(土) 三輪   川崎+三輪班
589 06月02日(金) 宮崎
590 06月10日(土) 内田
591 06月16日(金) 吉村
592 06月24日(土) 三輪
593 06月30日(金) 宮崎   松本

 

§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山(自称)
アクセス:公共の乗り物利用を薦めます.自家用車駐車も1-2台はある.

 京都バスの「岩倉 村松行き」終点(村松)が便利です.バスを降りたら、吉村まで電話下さい.
バスに乗車するには、
ア)阪急京都線 烏丸駅で市営地下鉄烏丸線に乗り換え、国際会館下車(ウ)に続く
イ)京阪本線 出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側)乗車 約30分
ウ)京都地下鉄烏丸線 国際会館下車 3番出口からバスターミナル1番 乗車 約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)
a)車の方は、岩倉ゴルフクラブの入口を目的地にすると便利です.そこから400m.入り口手前道路を左、右、左また左に進むと車止めが見えます.右側に入り口あり.

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§カンパありがとう!
 
    
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173


§主 催
まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27

香川山オーナー
 香川 晴男

§協 賛
澤田山オーナー
 澤田 幸雄

玉城山オーナー
 玉城 一郎

 

 

 

コメント
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