まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 888

2014年02月25日 |  マツタケの林地栽培 

 香川山の、最近の全体像で、丘の上から写したものです(写真1)。 よくもここまで参加者と支援者の力だけで、活動場所のグレードアップがなされてきたと今更ながら感激する。 遠く能登から石川県のメンバー、中山さんが顔を出してくれた(2)。 水温むにはほど遠い中、食当の献身的努力に頭が下がる(3,4,5)。 春の山菜、蕗の薹の天麩羅もある(6)。 午前の作業を終へ、香川山に戻ってくる。 暖かい昼食がうれしい(7,8,9)。 
 リフレッシュして、さぁ~昼からも山だぁ~ 里山再生に不要な木をきりBCに運んでくる(10)。 午後3時過ぎには、香川山に戻りホットする。 皆さん本日もご苦労様(11)。 今日は、周回遅れのプレゼントを戴いた。
1)  2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11)

 2月28日(金)は、まつたけ山復活させ隊第428回活動日です。午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい。2月最後の日です.ということは明日は3月。 予報では、最低気温が8℃、最高気温が14℃、もう~春ですね。 残念ながら雨はないが曇りとなっています. 本日の活動の様子は、三輪 新造さんが報告します。 


マツタケ山づくり 4
 前回まで、濱田先生のマツタケの紹介(マツタケ概説)と、(株)トロント出版の「ここまで来た! まつたけ栽培」を抜粋して、実は同じマツタケ山でもマツタケが生活しない場所もあるので、同じアカマツ林内のマツタケが「生活する」、「好む」林の姿を紹介してきました。今回は、マツタケとホスト(宿主・寄主)の恋愛関係を高文研出版の「まつたけやま復活させ隊の仲間たち」から紹介します。

ホストがいないと生きていけないマツタケ     
 マツタケも、皆さんがご存じのカビの仲間で大型のきのこをつくる菌類である。カビもきのこも俗称で、きのこは菌類の生活史の一時期に胞子をつくる器官(子実体)のことを指す。きのことは、私たちが食べる部分だ。

 生物の教科書などを見ると、菌類の生態学的役割は「分解」と書いてある。つまり自然界の掃除屋を仕事とする。林に入ると木々の間が落ち葉で埋まっていたり、恐竜の死体があちこちにあるといったことはない。あれば面白いがそれでは地球はゴミの山と化す。そうなってないのは「分解者」のお陰だ。自然は物質が巧く循環するように「役者」を配置している。

 年中、八百屋の店頭に並んでいる様々な食用きのこは、その分解能力を生かしておが屑などで栽培している。もっともおが屑を分解吸収するまもなく成長するように改良されている。 

 ところが、菌類の仲間であるのにマツタケは、その役割を果たしていない。自然は、分解者ではなく植物にとりついて(感染という)養分をもらう生き物を生み出した。マツタケは、そんな生活をする「菌根菌」と呼ばれる菌類だ。とりついた相手を分解することはなく、病気にさせるわけでもない。自然はまさに多様であるなと感心させられる。

 マツタケは枯木などの生物遺体を分解する能力に関わる遺伝子を無くしたか、持っていてもマツタケ自身が発揮しないのか、あるいはその機能を発現できないように何らかのブロックがかかっているのか、詳しいことは解明できていない。研究資金不足が原因だろう!

 またマツタケは、エネルギー生産工場(細胞の中のミトコンドリア)のシステムが特有なのだ。簡単にいうと、マツタケ子実体ではミトコンドリアを持っているのに、実験室でマツタケの菌糸を培養していると、それが徐々になくなっていく。そんな風に(怠惰に)変わっていったカビである。有機物分解もできない、ミトコンドリアも変だ。だから、生きた植物(ホスト・宿主・寄主)の根っこに感染し、エネルギー源となる糖をもらわないと生きていけない。

 マツタケは、そのホストの未感染の細根に出合うと、どんどん感染して共生の始まりとなる菌根という独特の形をした根を形成し、それが大きく増えてシロと呼ぶ輪状の構造を土中に作る。放置したパンの上にできた丸いカビの輪やドーナツをイメージしてほしい。そんなものが松林の土の中にあるのだ。 条件の良いマツタケ山でマツタケが輪になって発生するのは、このためだ。

マツタケとアカマツは「恋愛」みたいな微妙な関係
 私たちが待望するマツタケの発生が見られるようになるのは、アカマツが壮年期になってのことだ。通常、樹齢20年から90年のアカマツ林で、マツタケ発生の最盛期は平均樹齢40~60年といわれる。アカマツとマツタケの関係は、アカマツのある年代に起こる現象と言える。アカマツが幼すぎても年を取りすぎてもだめなのである。その時期はアカマツ林のある地域によって異なることは先述した。

 しかし、感染は実験室内ではアカマツの種子が発芽した直後の実生(みしょう)にも容易に起こる。 でも本当のところ、野外ではどうなのか? マツタケの感染はアカマツの樹齢としてはいつでもよいのか、また秋に起こるのか翌春なのか、こんなことも依然として不明である。 

 ホスト抜きには、マツタケの子実体は、今のところ得られない。そう言い切っていいかどうか? なぜなら、養分とその保持剤を入れた容器の中でマツタケを培養すると、マツタケ子実体(きのこ)のもとになる子実体原基(きのこの芽)がアカマツ抜きでも得られることがあるからだ。ただし、その原基は親指の頭以上の大きさには決して成長しない。

 確かにこれは、アカマツの年齢とは無関係に、また、ホストのアカマツがなくてもマツタケの子実体を作れるかもしれないこと(人工栽培の可能性)を示唆している。けれども自然界では、アカマツが幼すぎたり年を取りすぎたりすると、マツタケの成長に必要な私たちがまだ解明できていない物質を量的にも質的にも十分に与えることができない要因が「何か」あるからマツタケが発生しないのではないか、と考えている。

 今は、動物細胞でも、植物と同様に初期化し全能性を持たせ、いろんな組織への再生が期待される技術が開発されつつある。腐生生物は栄養摂取方法が単純であるが、菌根性きのこの培養は、その点で未だハードルがある。また、食品は、ただできたからといって、同じ評価が得られるとは限らない。「美味いかまずいか食いたくなるか」が大問題になる。

 マツタケと共生すると、アカマツも栄養分を吸収する面積が大きい菌根のお陰で生活力が旺盛になる。マツタケも菌根を通して糖類をもらえる。また、土壌の中の微生物を追い出す物質を出してシロを守っている.それでも気付いたらシロがいつの間にか消失してしまったといった例が多い。とにかくマツタケ単独では生きられないし、相利共生すれば確かに強くなるが、それでもちょっとした何かの変化で突然弱くもなる。なんとも微妙な性質のきのこなのだ。

 しかし、これはマツタケ側からの一方的な恋愛(片思い)関係ではない。観察と研究からはマツタケが主導する部分が多く見られるものの、アカマツ林は他の樹木の伐採や山火事の後にできる2次林(遷移林)と呼ばれるように、自然界のある条件が満たされたときにだけ生育が許される弱い立場の樹林である。両者はどうしても相利共生関係を持つ必要性があったのだ。だからアカマツも細根を住みかとしてマツタケに貸し、養分を提供するのだと思う。

 両者は共同体を作ることで、環境の変化に強くなろうとしているようにみえる。しかし、本当はもっと複雑で、私の恩師で近代マツタケ学の祖と呼ばれる故濱田 稔先生が言ったように「男女の恋愛」に似ていて、両性がいればそうした関係性が必ず生まれるというものでもないし、生まれても必ずしもずっと安定している、などということもない。相性、環境あり、努力、忍耐あり、である。

解明されていないことがいっぱい
 たとえば、私たちの活動拠点に植えている桃は、桃栗3年といわれるように確かに3年すると美味い不味いは別にして実をつけ、稲や多くの野菜も春に苗を植えると秋に収穫できるのが普通なのに比べると、マツタケは少し事情が違う。

 マツタケは〝適齢期〟のアカマツに感染し、マツタケ子実体を発生するまでには平均4~5年もかかる。この平均も大いに問題だ。 感染すればきのこが発生する大きさのシロ(容積およそ1.5~2㍑)にまで必ず育ってくれるわけではなく、感染しても途中で消えるものが多い。 それは計算に入っていない。感染したもの全体の平均ではなく、マツタケが発生した場合のみの平均年数である。

 また、自然界での感染の始まりが分からない。 私たちが確認しようとしたら、人の目に見える地表の変化が全くないため、どこを掘り起こしていいのか人には分からない。場所を決めたとしても、アカマツ林の土壌をマツタケの生活帯の深さ(地表下30㌢±10㌢)まで掘り起こして観察するしかない。それをすればマツタケは死んでしまってシロにまで成長しない。要するに、マツタケ子実体(きのこ)の発生を確認して初めてその下にシロがあり、4、5年前に感染が起きていたと知ることができるというわけだ。

 とにかく感染し相利共生が始まっても、マツタケが必ず採れるようにならない理由をマツタケはまだ私たちに明らかにしてくれていない。私たちが解明できていないことがいっぱいある、微妙なだけでなく非常に手ごわい相手なのだ。

 途中でシロが消えてなくなってしまうものも多いと書いたが、なぜ、またどの過程でそんなことが起きるのかなども分からない。理由は土の中の現象が相手だからだ。マツタケ菌糸とアカマツ細根の互いの認識、感染、菌根形成、そしてシロの形成や子実体の形態形成などを掘り返さないで非破壊的に観察できないことと、実験室でマツタケ胞子の発芽から子実体発生までを通して観察するための知識と技術を、人間はまだ手に入れることができていない。そんなことによる。

 科学的に解明できていないことが多い。 だからまつたけ山づくりといっても完璧な技術が出来上がっているわけではない。マツタケやアカマツの生理生態など、基本的なところは共通であるから、山の手入れもほとんど同じだが、地域や人によってちょっとしたニュアンスに違いがある。栽培技術が確立している米作でも、栽培農家によって栽培法も色々であるのだが。

 なにしろ、1本のマツタケの子実体が大きくなって開いた傘の裏から放出される胞子の数が数百億。その胞子が発芽し一核菌糸になる、この菌糸が性的和合性(雌雄の相性のようなもの)のある相手とペアを組み二核菌糸となる。 さらにアカマツの細根と出合って新居(菌根・シロ)を構え、可愛い子ども(きのこ)の誕生まで成長するのはほんの数えるほどで、確率としては極端に低い。

 マツタケが採れなくなった原因は、アカマツ林の崩壊と発生期の気候不順だ。量はひと頃の100分の1である。秋の胞子飛散量が少ないことはマツタケ産業にとって致命的だ。マツタケとアカマツの出合いが難しく、恋愛成就までは苦難の連続だ。キューピッドを考える必要もありそうだ。 まずは一刻も早く、マツタケ発生林の手入れが望まれる。 そして発生域を拡大していくことである。 続く


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
左欄ブックマークのNIKONオンラインギャラリーを左クリックしてギャラりーに入り、活動風景を御覧ください.
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から,終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年2月~年6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ

428 2月28日 金 三輪
429 3月08日 土 池内   小原
430 3月14日 金 榎本
431 3月22日 土 宮崎
432 3月28日 金 内田
433 4月05日 土 池内   松浦
434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 三輪
436 4月25日 金 宮崎
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
§カンパありがとう!
 

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする