まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 884

2014年02月12日 |  マツタケの林地栽培 

前回(2月8日)は、終日霙か雪であったため、参加者は、香川山キャンプでいろんな作業をこなした.ヤマガラ班主導で、薪づくりに取り組んでいた(写真1).昼食は、生きた牡蠣の差し入れもあり、大変リッチである.ダッチオーブンで蒸し焼きにした牡蠣(2,3).これはいける.食当解放デイで、松本式カレー(4,5)である.これも美味い.

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 2月14日(金)は、まつたけ山復活させ隊第426回活動日です.午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.
 
 最低気温は零下にはならない日が多くなっていますが、最高気温が低いため(7℃予想、平年値9℃)、寒さ対策など暖かい服装が必要です.でも日差は、 本当に暖かみを感じさせます. 梅も各地で咲いています. 本日の活動の様子は、榎本 輝彦さんが報告します. 

マツタケ山づくり 2

 最盛期の100分の1に激減した日本のマツタケ生産と、その生息地であるマツタケ山・里山林をどうやって回復し、かつて見られたような豊かなマツタケ山をつくっていくかが私たちの課題です.

 前回(NEWSLETTER 882)は、濱田先生の『マツタケの概説』を紹介しました.最近の知見では、マツタケのホストもマツ科植物以外にも発見されています.シイの仲間、オノオレの林は子実体が発生.

 でも、どこのシイ林でもあるいはオノオレ林でも子実体が発見されているわけではない.このことの意味するものは検討に値するものと思っている。 また、ネズにも感染するが子実体は発見されていない。 フィンランドやスウェーデンのヨーロッパアカマツ林で、まつたけが発見され輸入もされている。

 前回に続いて、マツタケの生理・生態を眺めていこうと思います。『(株)トロント刊 ここまで来た!まつたけ栽培』をベースにしつつでも簡素化して(不定期ですが)書き連ねるつもりです。

マツタケの林地栽培に成功するためには、当たり前のことですが、次の3つが必要である。
(1 )まず付近にマツタケの発生地があること(胞子が飛んでくること)、
(2 )アカマツ林があること、
(3 )その土壌は貧栄養状態で、若いアカマツ林であること。   
(3’)1本でもマツタケの発生するアカマツ林であること。
 
 1970年(昭和45年)以降、全国でマツタケ発生環境整備事業が展開されたが、マツタケ未発生林での成功率は30%くらいと聞いている。失敗の原因は、森林土壌の吟味不足があったと考えている。富栄養化土壌には、マツタケは生活出来ないのである。 最近では、元気なマツタケ山が少なくなり、胞子飛散量も少ないため新たなシロ形成がなされにくい.しかし、マツタケが1本でも発見されているアカマツ林の手入れの効果は100%である。

 アカマツ林の地上部の姿だけなら、たとえ1940年代の状態にでも戻すことは容易だ。 確かに市民が手を入れると、今にもマツタケが生えるように思えるアカマツ林に仕上がる。 しかし、土壌の化学的条件や微生物条件が改善するにはかなりの時間を必要とする。そのことをあまり意識しない林家が多く、いつまでたってもマツタケの発生がない、「作業をしてもダメ」だと思ってしまうのである。 

 また、マツタケは、アカマツの林齢(30-70年)に対する強い好みがあり、土壌改善に時間が掛かると、手入れしたアカマツ林はマツタケの恋愛対象たり得ず、すなわちアカマツが年を取りすぎることとなる。 里山林として回復したが、マツタケは戻ってこないのである。これもアカマツ風致林づくりに成功しているのだが.

まずは、マツタケが好むアカマツ林を見ていきましょう! 

1)気象
 マツタケの生長に必要なエネルギー源としての養分(おそらくはグルコース)は宿主から供給されるので、アカマツの生長を左右する気象も大切な因子である。気温、降水量、日照時間は旬別の平均値として、また、気温については最高・最低気温も調べる。風向きや風の強さも知る必要がある。
 
 作業適地と判定された林やマツタケ既発生林では、マツタケが発生する時期の予測や豊凶作の要因分析のためにも土壌表面より下10cmの地中温度の日変化を計測できるとよい。また、風向や風の強さはアカマツ林土壌の乾燥に強く影響を与える。風が一定方向から強く吹く山は、付近の山でマツタケが発生・成長しているにもかかわらず、マツタケが大きくならず、小さな天白ドンコシイタケ状になっていることがよく見られる。こんな場合、風上に防風のための樹木を多く残すことも必要である。
 
 雨量を測定しておくと、マツタケ菌根の生長期の雨や子実体形成・生長期に必要な雨の過不足を知ることができる。これらのデータを分析することは、今後のマツタケ増産法の開発にもつながってくる。

 かつてマツタケを採ったというところは、現在の気候変動をさておくと、気温・降水量・日照時間の条件は満たされている.日本の場合、アカマツ林はもちろんのこと、ツガ・コメツガ林、エゾマツ・アカエゾ林などマツタケの宿主の生育地では、マツタケの林地栽培不能ということはなさそうである。 最近のマツタケ発生期の異常気象のため、北向き斜面にのみ、マツタケが発生するという話を聞くようになってきている。

2)母岩や土壌
 母岩の種類と土壌の水素イオン指数
 マツタケ菌糸を培養すると、培養基の水素イオン指数(pH)は5.0前後で菌糸の生長がよい。マツタケの発生するアカマツ林土壌もやはり酸性(pHは5前後)である。こうしたことから、石灰岩地帯にはマツタケの発生はないと言っていた。しかし、例外が岩手県にあった。岩手県岩泉町の北部に鍾乳洞で名高い安家(アッカ)という地域がある。そこはマツタケの大産地で、石灰岩地帯なのである。

 早速、マツタケの生えるアカマツ林を調査した。 土壌pHは最低が5.6、最高が8.1、10カ所の平均値は7.0であった。この値はかなり高い。 調査したアカマツ林のマツタケ発生位置は、pHが酸性である所に偏らず斜面全面にある。また、岩手県東和町や遠野市の、土壌pHの高い凝灰岩や蛇紋岩地帯にもマツタケが発生することもわかった。でも、他の石灰岩地帯などではどうなのか不明である。
 
 また、火山灰が深く堆積する地帯のマツ林では、例えば火山灰土壌の関東ローム層地帯や阿蘇山の噴火による九州の火山灰地帯などが典型だが、火山灰土壌のpHは中性に近くなる。それに、浅く支根を張る特徴を持つアカマツの細根も深く入り込み好気性のマツタケにとって生活しにくいのか、そんなところにマツタケの産地はない。石灰岩地帯のマツタケを考えると、pHだけの問題ではないだろう。
 
 通常、適地になる土壌を生成する母岩として、花崗岩、チャート、頁岩(ケツガン)、砂岩、粘板岩、礫岩などは問題が無い。

3)土壌型
マツタケは土中に生活するので土壌の団粒構造をはじめ、気相の状態や根の張り方など物理的性質、土壌の養分の状態など化学的性質がマツタケの生活に大きく影響する。地形や植生の差により土壌中の水分含量も異なってくる。
 
 尾根は母岩が風化したままで残った残積土で浅くできており、有機物の含有率が低くまた乾燥気味である。未発生林に最初にマツタケが発生する場所になる。斜面を下るに従って土壌は有機物を巻き込み深くもなる。
 
 土の色が黒くなると、植物も繁り過ぎの傾向にあり湿潤で富栄養化土壌となる。 アカマツは植物との競争に弱く、マツタケは微生物との競争に弱い。 マツタケも生活しない。 感覚的でよいから土の状態を把握しておこう。土の湿りすぎはマツタケの生活に不向きであり、弱乾性から乾性の褐色森林土壌がよい。しかし、これは、先述のように、マツタケ発生期の高温・乾燥が常態化している昨今、シロは大丈夫であっても子実体発生に弱点となっている。 

4)土壌中の根の分布
 土壌は母岩の上に位置するが、母岩からの土壌の深さは、マツタケの2次菌糸の根への感染の難易に、あるいはマツタケの質や量にも関係する。土壌が尾根筋のように浅いと小振りのマツタケ子実体になりやすいが、深いと大きく立派なマツタケが採れる傾向にある。
 
 マツタケの生活空間の底は、ほぼ地表下30cmより上の範囲にあることが多い。そのあたりまでにアカマツの直径1mm以下の細根が多くなければならない。細根は浅い部分にあるほうがよく、浅いところに礫が多くあったり、露出した岩石が見られるアカマツ林はよい。

 根は樹齢や立木密度、土壌構造や地形にも影響され林内一様に分布しないので、私たちの調査では、尾根や中腹部5カ所ずつ計10カ所を調べるが、平均すると、土壌断面50×50cmにアカマツの直径2~3mm以下の根は5~6本見られるくらいである。これは、全国的にも当てはまる値である。なお、アカマツの根はしがんでみると、いわゆるマツヤニの味がするので識別できる。(続く)


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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から,終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円
を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年2月~年6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ
426 2月14日 金 榎本
427 2月22日 土 宮崎
428 2月28日 金 三輪
429 3月08日 土 池内   小原
430 3月14日 金 榎本
431 3月22日 土 宮崎
432 3月28日 金 内田
433 4月05日 土 池内   松浦
434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 三輪
436 4月25日 金 宮崎
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪  
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§カンパありがとう!
 

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

 

コメント
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