まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 876

2014年01月15日 |  マツタケの林地栽培 

1月17日(金)は、まつたけ山復活させ隊第422回活動日です.気温が低いため、寒さ対策など暖かい服装が必要です.午前10時に京都市左京区岩倉香川山( 自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.  当日の活動報告は、宮崎 昭さんです.

 前回の活動日に、玉城山のナラ枯れ木にたくさんのヒラタケの発生を見つけた(写真1).このまま腐らせることはもったいないと写真を撮り採取してきのこ汁で食お うとなった.地面から高さ4-5mはあるというので猫田車が出動し(写真2)コナラの幹を切り倒した.早速、きのこ通の榎本さんが、センチュウこぶを探す. ヒラタケは、毒素を出してセンチュウを捕まえ、不足気味の窒素源を補うという生活をすることで有名だ. 

写真1) 2)   左クリックで拡大.

 また、センチュウはヒダ上に白いこぶをつくり、その中にセンチュウの運び屋であるきのこバエの幼虫もいる.そのことについては、岐阜県立森林文化アカ デミーの津田 格さんが論文をだしているので、簡単に紹介します.

 ヒラタケという菌が線虫を捕食して食べてしまう能力のことで、1987年に報告されていたのです.捕食といってもヒラタケの子実体に口があるわけではあり ません.ヒラタケの菌糸に線虫を捕まえて食べてしまう能力があるのです.菌糸が線虫などを捕まえて食べる例は他にもあり、くくり罠式のトラップを作った りする種も存在します.
 ヒラタケが線虫を捕まえる方法は、毒素を含む液滴を分泌する細胞が栄養菌糸上に生じて、その毒滴のそばを通りかかった線虫がそれに触れると、体がしび れて動けなくなるというやり方です.そしてその動けなくなった線虫に周りからヒラタケの菌糸が襲いかかるのです.そういった能力をもった菌の子実体にこ ぶができ、そこに線虫がすんでいる(写真3).

写真3)

 一連の調査で明らかになった線虫の生活史は次のようになります(図1).こぶ内で菌食性メス線虫が産卵し、その卵からふ化した線虫はこぶの内部で成長し て感染ステ一ジのメス線虫とオス線虫になり、子実体の崩壊にともないこぶを脱出します.ほぼ同時期に、子実体に食入していたナミトモナガキノコバエの幼 虫も子実体を離れ土壌中に移動し、蛹化します.その蛹化の前後に受精した感染ステ一ジのメス線虫がナミトモナガキノコバエの体内に侵入し、その血体腔内 で成熟しはじめます.
 ナミトモナガキノコバエが羽化して成虫となる頃には、血体腔内の線虫も成熟した寄生ステ一ジのメス線虫となっており、多くの卵を産卵します.それらの 卵からふ化した幼虫はやがてナミトモナガキノコバエの卵巣に侵入し、そこから産卵管に移行します.そしてナミトモナガキノコバエがヒラタケの子実体を訪 れた際に、その産卵行動を介して線虫の幼虫が子実体に生みつけられます.それらの幼虫がヒラタケのひだにこぶを形成しはじめ、巨大な菌食性のメス線虫へ と成長するのです(津田 格 きのこと昆虫を利用する線虫たち(微生物生態学への招待 京大出版会 2012)).

図1)

 ヒラタケのついている幹は車で(写真4)香川山に運び、幹はきのこ発生スペースに保管している.次の大発生を期待しよう.ヒラタケは、センチュウこぶの ないものを選んで味噌汁にした.冷えた体を温めてくれた.旨い.

写真4)

 前回の活動日に、正月の飾り付けを最近とみに見なくなったと話題になった.拙宅は門松と小さなしめ縄を取り付けたが、この新興住宅地では珍しい.改めて松とは何だと調べてみました.まずはインターネットでマツを調べると日本樹木百話(http://www.mokuhen.net/mk83.htm)がヒット.

松とは               
常緑高木.
 高さ40m、直径2mにもなる.本州、四国、九州に生育する.広く分布している樹種はクロマツ(雄松)アカマツ(雌松)があり、黒松は海岸地帯に、赤松は内陸部に育ちやすい.共に陽樹で剪定に耐え、大木も移植可能、特に黒松は庭園、公園、並木、砂防地にも植えられ乾燥する土壌海岸砂地を好む.
 赤松、黒松共に構造材として梁に良く使われ、水中における保存性が高いので杭、仮設用矢板等に多く使われる.また、樹脂分が多いのでフローリング、敷 居床板に賞用される.
 葉は緑色二本が対になっていて松葉、落ちても二人連れと夫婦愛の標本みたいに言われ松竹梅と共に寒に耐えることから、歳寒の三友として祝事に使われる . 岩手県、群馬県、島根県、岡山県、山口県、福井県愛媛県、沖縄県はそれぞれ松を県木としている. 花言葉は「長寿」

 2012年に生誕150年を迎えた植物学者の牧野富太郎の「植物記」に「年首用の植物」という話がある.日本では、身近に登場したのは西暦500年頃と考えられ る.いってみれば「新興植物」なのに形態、色、生態的特徴などで人は惹かれたらしい.

年首用の植物
 お正月は年の甫めで何もかも芽出度くなければならない.人々が氣を新たにしてこれからまた踏み出さうといふところで軍でいへば出陣といふ場合である. ゆゑに萬事縁起を祝つてその門出を賑やかにせねばならぬ.そこでお正月のお飾りの植物は芽出度づくめのものが取り揃へてあるわけだ.
 先づ家の入口に門松を立てる.一方は右に一方は左に對をなして二本である.そしてその深い緑色は何となく新鮮な色を漂はしてゐる.また一方は雄松(植 物學界では黒松といふ)一方は雌松(同じく赤松といふ)を用ふるのが實いへば正しい譯だ.松は昔から千歳を契るともまた年の齢を保つともいはれ、幾歳も 幾歳もその翠の色を保つてをりその上、松は百木の長ともいはれて誠にこの上もない芽出度い貴い樹である.
 松は四季を通じていつも緑の色を湛へた常磐木で、それが雪中にあつてもなほ青々として凋まず、いわゆる松柏後凋の姿を保つてゐる.その繁き葉の一つ一 つは簪の脚(かんざしのあし)のように必ず二本の葉が並んで、これを幾千萬の夫婦の偕老の表象だとも見立て得べく、それは「こぼれ松葉をアレ見やしやんせ 枯れて落ちても二人づれ」と唄はれた通りである.また松の枝が幹に輪生してゐる有様は車座に坐りて睦み合ふ一家團欒の相とも觀るべく、また雄松は幹の膚 黒みて強健なれば男の勇敢豪壮を表はし、また葉も剛ければ不撓不屈の精神を表してをり、また雌松はその幹の色赤ければ女の赤心貞淑を表はし、かつ葉は柔 らかなれば温順な心情を表してゐるともいへる.
 このように松はどこから見ても誠に嘉祝すべき樹であれば、これを年首の門松に用ふることは眞に意義深いものがあつて、世人は能くもこんな良木を選んだものだと感嘆せざるを得ないのである(牧野富太郎著 植物記(桜井書店版の生誕150年記念復刻版 2012 バベル社)).

 更に松を眺めましょう.三好 學が「植物生態美観」を1902年に表している.その中にマツのことを書いている.少し長いので抜粋の紹介です.まずは三好學の経歴から. 
 1862年1月4日(文久元年12月5日)-1939年(昭和14年)5月11日).明治・大正・昭和時代の植物学者、理学博士である.日本の植物学の基礎を築いた人物 の一人である.    
 美濃国岩村藩士の子として岩村藩江戸藩邸に生まれる.東京帝国大学理学部生物学科を卒業し大学院在学中にドイツに留学し、帰国後の1895年(明治28年) に帝国大学教授に就任.理学博士になる.植物学の研究を続け、東京帝国大学教授時代の論文は100編以上、その著書も100冊以上といわれている.
 日本に「記念物(デンクマール、denkmal )」の概念を広めた人物である.1920年(大正9年)には帝国学士院会員となり、1923年(大正12年)には東京帝国 大学名誉教授となる.終生植物研究を続け、桜、菖蒲の研究、及び天然記念物保存事業に力を注いだ.地理学者の辻村太郎が、1937年に著した『景観地理学講 話』の中で「景観」という言葉を生み出した人物としてとりあげている(wikipedia).

【松】
 日本の松と外国の松とは種類が一様でない.日本の松の中では赤松と黒松がふつうで、五葉松と偃松(ハイマツ)とは深山にある.沖縄に行けば琉球松があり、朝鮮には朝鮮五葉松があり、台湾には支那松がある.中国北部には白松または白骨松といって、膚の白い松があるが、中国南部一帯に見る松は支那松で、葉が長くて柔らかい.ヒマラヤには有名なヒマラヤ松があって、針のはなはだ長いのが特徴である、そのほかフィリピン松、アメリカ松、ドイツ松など、一つ 一つ特色を現している.
 
 日本の赤松や黒松を見慣れている眼で外国の松を見ると、異様に感じられて美感が起こらない.日本の風土にはむろん日本の松が適していて、それが固有の風景を形づくっている.赤松は山野にふつうで、黒松は海辺に多い.庭園などに植えるのには、赤松の膚の赤いのと、葉の細くて色の淡緑なのが趣があるが、潮風の吹く海辺の景には針の太く、黒っぽく、勇ましい黒松が適して見える.また、深山の五葉松、高根の偃松なども、それぞれ山中の景色に釣り合っている.そのほか、琉球松も特色があって、枝が高く広がり、傘形になり、外形は多少、イタリー松に似ている.朝鮮の五葉松は海松ともいい、大木になって大きな楕円形の実がなる.
 
 松の美観は時と場所とで一様ではない.まず春先、翠(みどり)のだんだんに伸びて、若葉の出てきたとき、花が咲いて花粉の飛ぶとき、枯葉の落ちて積もったときなど、それぞれ趣がある.また小松の多く生えた山、老松の孤立した峠、そのほか海岸の松、川辺の松、並木の松、社頭の松など皆風景をなしている.房総あたりの松山は海岸の風光に配合して面白く見え、京都付近の松山も絵のように美しい.播州路にいくと、須磨舞子の松原をはじめ、尾上の松、高砂の松、曽根の松などいたるところ黒松の美観がある.そのほか、松島、天の橋立、田子の浦、三保の松原など、海辺の松の絶景は少なくない.松並木では東海道駅路の景が昔からよく人に知られている.松と気象との関係も絶えず観察されてきたもので、日の出の松、月の松、雪の松、雨の松、風の松などそれぞれ吟詠の材料になっている(三好 學著 植物生態美観、1902(復刻版 2011 富山房)).

 私たちはマツタケの生活するアカマツ林づくりに取り組んでいるが、そのこと以外にアカマツ林は美しいという気持ちを日本人は持っている.そのことも重要視したいと考えている.それを僕は、勝手にアカマツ風致林づくりと考えている.
 アカマツ林は、日本国土約38万平方キロメートルの4分の1を占める里地里山のそれまた230万haを占める.今年もティームメンバーの献身的ともいえる努力でアカマツ風致林面積が増えます.全体から見れば、微々たるものと言われましょう.もちろん承知ですが、これは、日本の里山再生事業の課題の一つです.でも.山の神がほほえんでくれること信じます.今年も無事故でいきましょう!
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§カンパありがとう!

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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まつたけ山復活させ隊活動   

予定日  2014年1月~年6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ

422 1月17日 金 宮崎
423 1月25日 土 三輪
424 1月31日 金 榎本
425 2月08日 土 池内   松本
426 2月14日 金 内田
427 2月22日 土 宮崎
428 2月28日 金 三輪
429 3月08日 土 池内   小原
430 3月14日 金 榎本
431 3月22日 土 宮崎
432 3月28日 金 内田
433 4月05日 土 池内   松浦
434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 三輪
436 4月25日 金 宮崎
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪

  
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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から,終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費(実費)+消耗品費として400円を徴収.見学者は要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?


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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 matsutake10@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

コメント
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