まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ「十字軍」運動NEWSLETTER-432-

2009年08月25日 |  マツタケの林地栽培 
今年の8月はじめ、北海道のアカエゾマツ林で取れたマツタケ


まつたけ復活・里山再生市民運動


 世の中は、8月30日に向けて大いに盛り上がっているとマスメディアが伝える.これらメディアにとっては最高の稼ぎ時であるからだろう? 7割の選挙権を持つ人が投票にいくという.その割には、熱い議論が飛び交っている雰囲気は感じられない.政策担当政党グループに転換があることをどうも高い確率で起こると予測しているのだろう.
総選挙後しばらくすると、必ずいわゆる政党再編といわれる時が来るだろう.こちらも国民の生活に大きな影響を持つのだが、国民は蚊帳の外にならないようにせねばなるまい.
第204回活動日は8月29日(土)、岩倉です.

<目次>
マツタケの受難は続く
作業区と作業内容の紹介
お知らせ
9月11日(金、第206回) 「ポスト民芸」活動開催 
メール便り
内田正明さん
まつたけ十字軍運動に参加するには
カンパ! お願い
開催予定日 2009年8月―12月
まつたけ十字軍運動とは?
連絡先など

マツタケの受難は続く!
 マツタケは、北の方から標高も考えないといけないが、桜前線の逆の道をたどって、発生を見る.
 地球上で恐らく産地として最北に当たるスウェーデンでは、当初の見込みは良であったが、ふたを開けてみると雨不足で凶作に近いらしい.中国産は今のところ順調のようだが・・・・、シーズンが終わらないと全体像がわからない.
 日本では、8月半ばまで北海道で発生があったが、その後止まっているようだ.岩手県が、目下のところ順調であると聞いている.現地でいう「土用まつたけ」らしいが、ものはすこぶるいいとのことである.
 ここ数日、関西でも半袖では寒いくらいに冷えている.これがもっと冷えて、すなわち子実体原基形成の刺激になる地温(19℃未満)まで下がり、次いで残暑がぶり返すと不作になると予想される.なんせ、これからマツタケの発生期までは、昔風に言っても(京都府では10月の第1-2週目)期間が長過ぎるので、気候がどうぶれるか不明であるためだ.
 現在、日本のまつたけ流通量は、2007年が51t、2008年は少し持ち直してとは思えないが70tである.1990年代には年267tの生産量であったが、2000年代になって85t/年と益々減っている.
 マツタケは食文化上の位置づけのみならず、菌根性きのこ全般に言えるが林の構成樹種と共生関係を持ち、林を健全に維持するという重要な役割を持っている.菌根性きのこが生活できない里山になって久しい.ために生物の絶滅は里山という生態系から始まっている. 
生物の多様性を守ることの重要性を改めて考えさせられる.そこでロバート・メイ卿の記念講演を掲げて、読者の方々にもお読みいただければと願う.

生物の多様性について
■私たちの知識は限られている
 私たちは同じ地球で一緒に暮らす植物や動物、微生物の世界についてどの程度知っているだろうか。様々な客観的な基準に照らして、その答えは「よく知らない」ということになるだろう。
 これまで命名され記録された生物種の数は、140万から180万種と推定される。生物種の体系的な命名と記録は、1758年にリンネ式生物分類法で約9000種が識別されたのが最初で、比較的最近のことだ。そして、驚いたことに全ての生物種を1つにまとめた目録は存在しない。鳥類や哺乳類などにはコンピュータで処理した目録があるが、命名された種の56%を占める昆虫は、大半が個々の博物館やコレクションに目録があるだけだ。また、分類学者の1/3は4万5000種の脊椎動物を分類し、1/3は30万種の植物を分類し、残りの1/3が300万種以上の無脊椎動物を分類し、微生物や化石を分類している学者は極めてわずかである。このように生物によって分類に向けられる努力が全く違う。また、生物の命名には同じ種に別の名前を付けるという不確実性もある。こうした問題を考慮して、命名され記録されている生物の種数を推定すると、植物、動物、菌類なども含めて約150万種前後になるだろう。
 一方、現存する生物種の本当の総数は極めて不確かである。最近の私の研究では、明らかな事実と不確かさを勘案して、500万種から1200万種の範囲が可能とした上で約700万と推定した。しかし、300万程度、あるいは1億以上とする推定もあり得ないとは言えない。これらの推定はすべて昆虫の数に左右される。
■現在の絶滅速度は過去の1万倍
 多細胞生物の多様性が爆発的に増加したカンブリア紀以降、過去6億年にわたる地球上の生命の歴史には様々な変動や5度の大量絶滅があったにもかかわらず、多様性が拡大してきた。化石に刻まれた種の起源から絶滅するまでの生物種の平均寿命は、通常100万年から1000万年というオーダーである。この寿命より遥かに長い生物もあれば短い生物もいるが、この数百万年という平均寿命を6億年の長さと比較すると、これまで出現した生物種のうち約2~4%が現存していると推定できる。さらに、現存する種の大半が主に昆虫であり、1000万年よりも長い平均寿命で、約4億5000万年前から多様性が始まったと考えると、5~10%が現存していると考えることもできる。
 過去100年間で、正確に報告されている鳥類と哺乳類の絶滅の速度は1年に1種類だが、熱帯にいる生物は注目を集めにくいため、実際の絶滅は明らかにこれ以上だ。約1万3000種の鳥類と哺乳類のうち、少なくとも毎年1種が絶滅するとしても、種の平均寿命は約1万年になる。これは、化石に刻まれた100万~1000万年という平均寿命の1/100、1/1000である。そして、現在の絶滅速度は、過去の絶滅速度と比べて100倍から1000倍も早いことになる。
 直近の将来には、種の寿命はさらに短くなり、数百年から1000年になると推定される。これは熱帯林など生息地の破壊と生物の種数の関係などの手法による推定だが、この数値は過去の絶滅速度の1万倍に相当する。そして、次世紀にはさらに最大一桁あがる可能性がある。これは6度目の大量絶滅であることを示すが、環境の変化によるものではなく、ある単一の種の活動が原因である点が過去の絶滅とは異なっている。
■生物多様性はなぜ重要か
 このような将来を前にして、私たちは「哺乳類の25%を失うことは、それよりはるかに多い昆虫の25%を失うことより問題だろうか? あるいは同じくらい問題か、それとも問題ないのか」ということを問わなくてはならない。そして、政治的、経済的、社会的制約や人々の感情などを考慮に入れ、保護の優先順位と「ノアの箱舟」での居場所を割り当てるために、分類学上の希少性などを数量化して「生物多様性を計算する方法」を確立することが必要だ。
 生物多様性の保護を求める主張には、自然の産物から食物、薬などの恩恵を強調する意見がある。現在、薬局の薬の25%はわずか120種類の植物から得られたものだが、世界の土着的な人々は、伝統的に2万5000種の植物(全植物種数の約10%)から薬を作っている。地球上の遺伝的な多様性によって、私たちが利用できる原材料はますます増えている。
 また、地球の生物圏は生物学的また物理学的なプロセスの相互作用で生命が繁栄できる場所になっている。人間活動によって気候変動が起きようとしている今、地球の生命維持システムにおける生物多様性の役割を理解するまでは守るべきだという主張もある。賢い修理の鉄則は、全ての部品をなくさず取っておくことだ。
 そして、私が最も心ひかれる主張は、英国政府の白書の次の言葉だ。「地球の乗組員の倫理的な義務、それは私たちの地球を守り、将来の世代へ良い状態で手渡すことだ」 (エコロジーシンフォニー2001年12月号かじはらたつあき訳)

作業区と作業内容の紹介
山づくりエリアや作業内容を変更するときは、事前に連絡下さい.
1)香川山皆伐区も予定どおりに再生が進み、アカマツ幼樹の群落が美しい.斜面の
地掻など補整作業を実施している.マツのザイセンチュウ病による枯損木が周辺に目立っている.伐倒焼却の要あり.

2)澤田山は、この秋にでも、まつたけの発生調査をするつもりであるが、アカマツ林でマツタケの生息地を再生するというエリアとコナラ林を整備するエリアとがある.各整備地ごとにネライを定めて各班ごとに独自に作業を進めている.

第1整備地は、村上班(第1整備区)と阿閉班(第2整備区)で精力的にマツタケ山づくりが行われている.第1整備区は京都府のホンシメジ接種試験が相当前に行われ、そのとき整備もされたが、菌根性のきのこの発生には土壌上の問題があるのかもしれない.補整の手入れが必要な状態になってきている.
 その南側は、やはりアカマツ林帯で、阿閉班の担当で第2整備区と呼んでいる.やがて第1整備区につなげるという.エスケープした檜・杉など大径木の処理が進んでいる.

第2整備地は、ヤマガラの里と新しく愛称がついた.以前から整備を始めているところは「ヤマガラの里A地区」と呼び整備が完了している.その西に当たるところを尾根部(アカマツ林を再生)、傾斜地部(コナラ林にする)など3区に分け、それぞれ生態的特徴を生かした整備を進めている.ここは「ヤマガラの里B地区」と呼ばれる.分からないことなどは前田・小原さんにお尋ね下さい.

第3整備地の作業エリアでは、中広さんを中心に作業が進められている.どのような林づくりがなされるのか注目をしているところである.アカマツも減少しているようだが、アカマツ林再生を考えている.シイタケの原木栽培を 「ヤマガラの里」についで 行っている.

3)玉城山は、昔は、山全体がマツタケの発生に適したアカマツ林であったが、林道が造られたためにその下のエリアからマツタケが消えた.岩泉まつたけ研究所の向林試験林内で、全く同じことを経験している.林道を一つ通すだけのように考えがちだが、周りの環境ががらりと変わってしまうのである.
榎本班と三品班で山の上下からマツタケ山づくりをしている.マツタケの生活するアカマツ林の再生作業に取り組んでいる.地表の堆積物を堆肥化するコーナーを作った.マツのザイセンチュウ病害木の伐倒焼却活動が一旦終了.
尾根筋には、アカマツ林密度が比較的高く残っているので、尾根の下部から手入れ
を上部に向けて進めている.
ここは、市民によるマツタケ山づくりのお手本として有名になった.今まで、プロによる手入れで、マツタケ発生の復活は、「有から有は簡単である」と実証されている.
しかし、市民による手入れでマツタケ発生の成果が出たケースはここが日本初の地
である.撒水実験にも取り組むという意欲的作業が見られる.

4)田圃の草取り作業
1)草取り・・・8月、大勢の応援参加が必要.

<お知らせ> 
9月11日(金、第206回) 「ポスト民芸」活動開催
近藤高弘さんの提唱する「ポスト民芸」活動を始めることになりました.第1回目の集まりをいたします.近藤さんを交えてミーティング後、作品づくりをする予定です.
民芸品を越える作品を「岩倉焼」と名付け、レストランなどで使用できる器を制作し販売することになります.
土代や薪、温度センサーにパソコンなど消耗品は参加者負担となります.決して高くはなりませんが、実費の計算も必要です.

<メール便り>
1)内田正明さん
澤田山の蜜蜂箱の下で、スズメバチがまるで住み着いているかのように遊弋しています。ミツバチが狭い巣門前のテラス(?)で羽を震わせて緊張している様子が観察されます。
21日の活動日に、箱の周りにスズメバチ用トラップを6本設置しました。トラップは杉山さん発信(2009年5月27日 19:37)の図面のものを、誘引液は、基地の台所から料理酒・食酢・砂糖を失敬して調合しました。コッチノ水ハ、甘イゾ。
昼食材料変ジテ蜂トナル。しかしスズメバチには食欲は湧きまセヌ。はやく多量の蜜に変じますように!

<まつたけ十字軍運動に参加するには>
下記の1から7を了承の上、参加下さい.また、 “まつたけ十字軍運動とは?”も併せてご理解下さい.尚、初めての方は事前に連絡が必要(連絡先は下記主催者).
1)参加資格は問わない. 参加時間は自由、ただし、コアタイム(昼食時)の参加は必須.
2)事故を起こさないように各自勤めること.傷害保険等は各自加入のこととし、事故の責任は当事者に帰するものとする.

3)服装等:山で軽作業できる服装(運動靴か長靴か地下足袋、雨具、タオルなど).ノコ・ナタ持参が望ましい.
4)降水確率(京都府南部、午前7時)が60%以上の日は、原則的に山づくり作業は中止.しかし、山や畑にも、「雨の日には雨の、雪の日には雪の景色がある」といって、皆さんは補修や軽作業などされます.
5)持参するもの:昼食は作るので、MY皿と椀と箸、コップなど、料理の持ち帰り容器、飲料水(お茶があるので水筒)など.
6)道具類や備品は、個人購入のものや皆さんのカンパで購入したものです.大切に扱うよう願います.汚れは洗った後、保管場所に戻すこと.また、使用した食器やコップ類は洗って戻すこと.出したゴミ等は各自持ち帰ること.

7)参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.食材費(実費)+消耗品費として現在 400円を徴収.

<活動拠点へのアクセスなど>
8)集合場所:京都バス「岩倉 村松」行き終点「村松」.あるいは現地アカマツ林(京都市左京区岩倉村松町138-20バス停「村松」から北東へ450m徒歩6分).
叡山電鉄「岩倉」駅から現地アカマツ林へ2.3Km(徒歩30分)
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側(40分)
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル 1番、約10分)
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車) 

9)<皆さんの活動の様子を見ることができる>
ブログ画面左下ブックマーク(Bookmark)中のNikonまつたけ復活・里山再生運動を左クリックすると、ニコンオンライン写真集の画面に飛ぶ.ログインの必要はありません.写真一覧からお好きな写真を選び、<大きくみる>を左クリック.大きい写真を印刷したり保存したりできます.

<カンパ! お願い>
氏名: まつたけ十字軍 代表 吉村文彦 
銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

開催予定日 2009年8月―12月
活動場所は岩倉香川山. 活動開始は、午前10時頃.終わりは午後4時頃.
第204回08月29日(土)ブログ報告:榎本
第205回09月05日(土)ブログ報告:池内
第206回09月11日(金)ブログ報告:三輪
第207回09月19日(土)ブログ報告:榎本
第208回09月25日(金)ブログ報告:宮崎
第209回10月03日(土)ブログ報告:三輪
第210回10月09日(金)ブログ報告:榎本
第211回10月17日(土)ブログ報告:池内
第212回10月23日(金)ブログ報告:三輪
第213回10月31日(土)ブログ報告:吉村
第214回11月07日(土)ブログ報告:榎本
第215回11月13日(金)ブログ報告:宮崎
第216回11月21日(土)ブログ報告:三輪
第217回11月27日(金)ブログ報告:榎本
第218回12月05日(土)ブログ報告:池内
第219回12月11日(金)ブログ報告:宮崎
第220回12月19日(土)ブログ報告:三輪 大忘年会 感謝祭
年末年始で休み
第221回01月09日(土)ブログ報告:榎本


まつたけ十字軍運動とは?
今、1年間に40,000種もの生物が絶滅(約13分に1種)していると推測されている.生き物1種の絶滅は、10種から30種の生き物の絶滅を呼ぶという.
日本で、802種の動物が絶滅危惧種とされ、7000種の維管束植物の24.1%(4種に1種)が絶滅危惧種に挙げられている(2007年).
環境省によれば、絶滅危惧種の50%強に当たる生物の生息地は、人里離れた奥山でなく里地里山と呼ばれる私たちの生活の場である.緑が豊かになって生き物が追われている!
私達の周りにありふれた生き物であったフクジュソウやヒメシャガなど、メダカやチョウ類やニホンウサギなど、またオオタカやイヌワシなどが、消え続けている.マツタケも、京都府では絶滅危惧種に指定されている.
生物の保全・多様性上危機に瀕する里山(アカマツ林)をマツタケ山に戻すことが目的である.私たちのマツタケ山づくりは、山-川-畑・水田(-海)のつながりを重視する.マツタケ山づくりで生まれるバイオマスの利用を、「自然」との共生型すなわち徹底した有機物循環型「農林業」に組み込む.また、我々の成果は、情報として正しく発信し、全国に230万haあるアカマツ林に普及させることを願っている.
近代的マツタケ学発祥の地、京都市左京区岩倉を活動拠点として、我々は循環型農林「業」を楽しむ.「楽しむ」ということにおいて、いわゆる農林業的作業と異なる.
時折のイヴェントや開催日のコアタイムに集まることによって、作業の情報などを共有し、互いの知恵や技術を学び、また、里山復活の喜びをともにする.
運動は、食事を作る人、木を伐る人・運ぶ人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、設備を造る人、道具類を整備する人、多機能窯を守る人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人などすべての参加者が、互いに対等で支え合い助け合って維持運営されている.
まつたけ十字軍運動全体は、アリストテレス風に言えば、個の参加者の総和以上の意味を持つ.それ故、参加者はこの運動の全体性を見失わないようにしたい.

主 催 
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学者)  
〒607-8421 京都市山科区御陵岡ノ西町38-27.
075-581-8932, 090-6227-4305

共 催 
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典(京都大学こころの未来研究センター)
TEL/FAX 075-753-9682 / 携帯 080-6123-4706

香川理化学研究所
代表 香川 晴男
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