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駒ヶ岳と世界の氷河地形

2012-09-30 00:09:30 | Weblog
駒ヶ岳の氷河地形には、
千畳敷カール」と「濃ヶ池」の「カール地形」がある。

「カール地形」は、「氷河」がゆっくりと移動するときに、
氷河の重みで、山をスプーンでえぐり取ったようなくぼみ。
日本では、3000メートル級の高山に「カール地形」がある。

千畳敷カール」。2012年8月20日。

後方の「宝剣岳」(2931m)から手前に、
スプーンで削り取ったようなくぼみが「千畳敷カール」。

手前は「剣ヶ池」で、最下点にできたくぼみに水がたまってできた。
氷河によって運ばれた「モレーン」と呼ばれる堆積した土砂が、
剣ヶ池の土手になっている。
土手の先は、急激に落ち込む。

「千畳敷カール」を上から見ればわかりやすい。2012年8月21日。

「宝剣岳」から「千畳敷カール」を見下ろす。

カール地形の終わりに「剣ヶ池」がある。
堆積物モレーンが剣ヶ池の土手になり、
土手の先は急激に落ち込んで崖になる。
そして、この崖に滝ができる。

「剣ヶ池」の右の建屋は「駒ヶ岳ロープウェイ」の千畳敷駅。
正面奥は南アルプス。その奥、中央に薄くあるのは「富士山」。

高山植物のパトロールの人は、
「今シーズンは大雪のため、雪解けが遅かった」
「高山植物は、今も見ごろです」
と言う。
そのためか、「剣ヶ池」の水は多い。

「千畳敷カール」は高山植物の宝庫。
チングルマ」。2012年8月20日。

千畳敷カール。

駒ヶ岳のもう一つのカール地形は「濃ヶ池」。2012年8月20日。

濃ヶ池の奥には、夏というのに、「雪渓」が残っている。
濃ヶ池の水は例年よりも多いのだろう?

「濃ヶ池」を上から見る。2012年8月20日。

「駒ヶ岳」から降りる途中、見下した「濃ヶ池」。
左奥は「将棊頭山」(しょうぎかしらやま)、2730m。

駒ヶ岳から続く左の尾根を見ると、
右の濃ヶ池側(伊那谷側)は、急に落ち込むが、
それに比べて、左の木曽谷側は、なだらかである。
右の濃ヶ池側は、氷河にえぐり取られたカール地形である。

「濃ヶ池」は高山植物の宝庫。
ミヤマキンバイ」。2012年8月20日。

濃ヶ池。

駒ヶ岳(2956m)や宝剣岳(2931m)に登るのは、これで3回目。
「いつでも晴天!」
それにはわけがあって、
前日に天気予報を確かめて、
「明日は晴天」という日の早朝に出かけるから。
駒ヶ岳ロープウェイが長蛇の列にならないうちに、
早めに乗って千畳敷に上がる。

駒ヶ岳の氷河地形と世界の氷河地形を比べてみたい。
氷河期」には、アメリカ、ヨーロッパ大陸は
分厚い氷河に何千年も覆われていた。
カナダ、フィンランド、イギリス、
オーストリア、スイスの氷河地形を見る。

カナダの氷河地形。
カナディアン・ロッキー」。バンフ。1987年9月。

氷河に削られた「U字谷」。
手前の「ペイト・レイク」は、
氷河に削られたくぼみに水がたまった。
「ペイト・レイク」の周囲は「針葉樹林」で覆われている。

カナダには「氷河」が残っている。
コロンビア大氷原」。ジャスパー。1987年9月。

氷河は、右の山を下り、左に回って手前に移動してくる。

フィンランドの氷河地形。
森と湖の国、フィンランドは氷河によってできた。
氷河の移動によって表土が削られた。そして、
削られたくぼみに水がたまって湖になった。

森と湖」。ヘルシンキ。2001年4月。

湖の対岸を見ると、針葉樹に覆われている。

ラップランド」。フィンランド。2001年3月22日。

手前の湖は厚い氷と雪に覆われている。奥は針葉樹林。
穴釣りをすると、氷の厚さは40センチあった。
3月22日だが、ラップランドの春はまだまだ遠い。

湖はモーター・スキーで駆け抜けたり、穴釣りをする。
疲れたらサウナバスで暖をとり、ビールでうるおす。
針葉樹の中にあるのはサウナバスの小屋。

イギリスの氷河地形。
スカイ島」。スコットランド。1988年8月。

スカイ島はスコットランドの西の島。
イギリスは分厚い氷河で、何千年も覆われていた。
湖のまわりは針葉樹林。

「湖」。スカイ島。1988年8月。

手前には黄色の花が咲いていた。
奥の山は針葉樹林。

オーストリアの氷河地形。
ダッハシュタイン山塊」と「ゴーザウ湖」。1989年8月。

「ダッハシュタイン山塊」(主峰は2995m)には氷河がある。
手前は「ゴーザウ湖」。
山は針葉樹林。

ゴーザウの牛の放牧地には、お花畑がある。1989年8月。

牛は花もいっしょに食べる。
奥には針葉樹が見える。

手前は、薪を切って冬の準備。
その奥はトレッキングをする人。
トレッキングは、牛のウンチを避けながらになる。
新鮮なウンチには注意! それで、下を向いてトレッキングをする?
花は大きく育つ。

スイスの氷河地形。
マッターホルン」、4478m。1995年10月。

美しい姿に息を飲む。
左斜面の東壁には雪がある。
ツェルマットで買った赤ワインを、
雪に刺して冷やした。そして、しばし、
「マッターホルン」を見てから、乾杯!

ゴルナー氷河」。1995年10月。

正面はリスカム4527m。
「こんな神秘的な景色があるのか?」
と、自然に畏敬する。

北アメリカとヨーロッパ大陸は、
氷河期」には、何千年も分厚い「氷河」に覆われた。
そのために、それまでの「植物」は絶滅した。
氷河地形のまわりは、針葉樹が多い。

日本では、氷河のカール地形は、
3000メートル級の高山にだけある。
日本の「氷河」は限られた場所だから、
昔からの植物に、新しい植物が増えていった。
日本は「植物多様性」になっている。

「植物多様性」は日本の「紅葉」の美しさに、大いに関係がある。
アメリカにもヨーロッパ大陸にも、あざやかな紅葉はある。
しかし、日本の紅葉がきれいなのは、
広葉樹も針葉樹もあって、
赤であったり、黄色であったり、いろんな色で、
しかも、さまざまな葉の形で、つぎつぎに紅葉していくから。
庭に咲く花が一種類か、それとも、
多くの種類があるかの違いであると思えばいい。

日本の「氷河」は限られた場所だった。
だから、「植物多様性」になった。
それで、美しい「紅葉」がある。
この秋も、「自然の贈り物」を楽しもう、と思う。
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