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合掌土偶のなぞ

2012-01-29 00:01:29 | Weblog
合掌土偶」のなぞ
「合掌土偶」は、座って祈っているのか?
それとも、座ってお産をしているのか?

是川(これかわ)縄文館」で国宝「合掌土偶」に会えた。

青森県、八戸市。2012年1月。

最寄りのバス停「是川遺跡 縄文学習館」からは、
遠くに、豪華な建物が見えた。
なんかのクラブ・ハウスかホテルだろうと思った。

それで、近くには「竪穴(たてあな)住居」の復元があったから、
「あれだろう?」
と思って行ってみると、「縄文学習館」だった。
そこに案内板があって、それによって歩くと、
クラブ・ハウスと思った「是川縄文館」に着いた。

入り口には、レンガ造りの門があって、
雪かきをした長いアプローチが
「是川縄文館」の玄関に導く。

中央の切妻の屋根が玄関で、
その前には庭が広がり、
さらに前は広い駐車場。

中も豪華。空調は快適。

建物の写真撮影はOKだった。展示室内は、撮影禁止。

展示室を見学するが、受付でお嬢さんは、
ボランティアのガイドさんを付けてくれた。
たった一人のために。ありがたいことである。

「合掌土偶」が国宝に指定されたのが2009年7月。
国宝を記念して、2年後の7月に間に合わせて、
「是川縄文館」を造りました(2011年)、
と、ガイドさんは説明してくれた。

2階の右半分が展示室になっている。
「漆塗り」、「土器」、「とちの実」をさらすための「灌漑(かんがい)」、
縄文時代の後期から弥生時代まで続いたことなどを、
説明していただいた。
そして、待望の「合掌土偶」は展示室の最後の部屋、
国宝展示室にあった。

合掌土偶」。八戸市のホーム・ページから。

八戸市の風張(かざはり)1遺跡から出土。縄文時代後期。

「合掌土偶」は、ちょこんと、座っていた。
「尖石縄文考古館」で見てきた、
国宝「縄文のビーナス」、縄文時代中期(の広場から出土)や、


重要文化財「仮面の女神」、縄文時代後期(墓の上から出土)が、

大きく、威風堂々としていたのに比べると、
「合掌土偶」は小さい。

「縄文のビーナス」、約5000年前は、27センチ、2.14キログラム、
「仮面の女神」、約4000年前は、34センチ、2.7キログラム、
「合掌土偶」、約3500年前は、19.8センチ、1.05キログラム。

「合掌土偶」が国宝になった理由を、
ガイドさんは、進んで説明してくれた。

合掌しているようなポーズが特異だった、
4つの部品に分散していたが、全部そろった、
青森県の「三内丸山遺跡」の「板状土偶」のように、
これまでの土偶は、ゴミ捨て場から出てきたが、
シャーマン(占い師)の家の竪穴住居の奥から出てきた、
ことなどによって国宝に指定された。

「合掌土偶」が出たシャーマンの家、
第15号竪穴住居は、
バス停から見えたものだった。

「是川縄文館」に来るときに通った、
「縄文学習館」の庭に復元してあった。1993年。

右が第15号竪穴住居、広さは16.4畳、
左は第16号竪穴住居、広さは6.9畳。
さらに左奥は「縄文学習館」。

第15号竪穴住居の中。

4本の柱が住居を支え(写真には、左右に2本が写っている)、
床には丸太を敷いた席がある。
土間の中央には炉らしきがあって、
ドラム缶を短く切って、伏せてあったから、
実際の炉は見えなかった。

「合掌土偶」は、入り口から突き当たりの、
祭壇」にあったというが、
「祭壇」らしきはなかった。

この第15号竪穴住居を復元した1993年当時は
「合掌土偶」を置く「祭壇」は、
定説になっていないのだろう?

さて、「合掌土偶」を見ると、
腹はペシャンコで、妊娠はしていない。
おっぱいがあるから、女性であることはわかる。

「合掌土偶」が「祈り」の姿ならば、
男の「合掌土偶」があってもおかしくない。

男にだって「祈り」はある。
うさぎやカモが獲れるように、
(シカやイノシシはいなかった、と説明を受けた)
とちの実やクルミがたくさん採れるように、
天変地異がないように・・・、
と、男が祈る姿があってもいい。
しかし、「合掌土偶」は男ではない。

「合掌土偶」は、「祈り」か?
それとも「お産」か?
その間を揺れ動く。

正面から「合掌土偶」を見た。
女性器がはっきりと見えるではないか!

撮影禁止だから、写真がない。
「是川縄文館」のリーフレットに正面の図がある。


この図を見ると、お気づきでしょう。
「合掌土偶」の女性器は強調されている。
まず、大きい。
「仮面の女神」と比べてください。
はるかに大きい。
「縄文のビーナス」では、細部まで表現していない。

つぎに、「合掌土偶」の女性器は厚ぼったく盛り上がっている。
その盛り上がりは、なぜか、左上で切れていた。

ところが、「仮面の女神」の女性器は楕円形で、つながっている。
それが、「合掌の土偶」では、つながっていない。
左上と下の2か所で切れている。
掘り出したときに欠けたのではない。

そして、女性器はオープンにした。
脚にはスパッツらしきを着け、
腹にもなにかを着けている。

腕にも手甲らしきを着け、
背中を見たが、まとっている。
しかし、女性器は見てくれ! とオープンである。

「合掌の土偶」の作者は、
土偶全体のプロポーションに比べて、
女性器を、異常に大きくし、
厚くし、切れをいれ、
しかも、オープンにして、
強調して作った。

なぜだろう?
腹がペシャンコだから、臨月ではない。
では、「合掌土偶」はなぜ、女性器を強調したのか?

「合掌土偶」の作者のつもりで予想した。
「合掌土偶」は出産した後のポーズ。
わかりやすく、腹はペシャンコにした。
女性器は、出産のときに切れてしまった。

「合掌」しているのは、
子どもが生まれたうれしさ?
それか、死産の嘆き、悲しみ?

「合掌土偶」の表情を見ると、うれしそうではない。
「仮面をかぶっている、という説がある」
と、ガイドさんは説明された。

眉毛は太く、それに左右がつながっている。
鼻は、高くとがっていた。
これは、仮面のため?

はたして、「合掌土偶」は、どんなメッセージを伝えようとしたのか?
強調した女性器は、なぞ解きのヒントだ。
女性の産婦人科医か、
進んで発言する女性がいないと、
「合掌土偶」のポーズは、永遠のなぞになる。

最後に、ボランティアのガイドさん、
1時間半にわたって、ていねいに、
ご説明していただきました。
たった一人のために。

ありがとうございました。
来たかいがありました。
ボランティアのガイドさんは、
「是川縄文館」の財産です。
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