友の会会員向けの収蔵庫見学に参加。
普段は見れないところを見れる。興味津々。
先ず博物館の仕事について説明があった。
①展示 ②普及・教育 ③研究 ④標本を保管し未来に伝える。
班分けで、2班は尊敬する志賀学芸員さん・河合評議員さん・もう一人女性お名前?がお世話役。
諸注意を聞いた後、一般立ち入り禁止の通路へ。
ほとんどは一般とは関係のない部屋の前を抜けると
トラックヤード
大きい荷物用に天井にはクレーンも備え付けられていた。
エレベーターで地下1階へ エレベーターも特大 これで大型のものも運べる。
地下1階が収蔵庫になっている。
重い防火扉の向こうには、前室があり、奥に一般収蔵庫 特別収蔵庫 液浸収蔵庫がある。
前室 頭に付けたレンズで見ながら、昆虫標本にラベルを付けておられた。
米粒より小さい昆虫 ラベルの字も超細かい。わあ~細か~。大変な作業。
次の扉を開くと
一般収蔵庫
ここはあまり保存に気を遣うなくてもいいもの。石・貝・骨・化石などを保存。
一般収蔵庫 部屋の高さは5m 上下2段に分けて使っている。
ザトウクジラの骨 他に三葉虫やルビー・アンモナイト。サヌカイトは叩いてみれた。
棚にはトロ箱や蓋つきの箱、そのままむき出しの標本などが並ぶ。 右)地層の入った箱
学芸員さんが運んできたという木の化石などもあった。
次の扉は
特別収蔵庫
入るとひんやりして、ナフタリンの匂いが鼻につく。ロッカーが並んだ部屋。板壁 一般収蔵庫とは様子が違う。20℃ 湿度50%に保たれているという。
ここには虫が付きやすかったり、暑さや湿気に弱いものなどを収蔵。
ロッカーが並ぶ 昆虫標本
「お宝です」と慎重に取り出されたのは、包んだ紙の色も古めかしい標本帳。
畦田翠山(くろだすいざん)というシーボルトと同時代の人の標本帳 和歌山の下級藩士の子で、薬草園の管理の任を勤める傍ら採集された、紀伊山地や金剛山の植物標本だそうだ。
名前も知らなかったが、1800年台中頃~と言うからずいぶん日が経っているのに標本は傷まずに保存されているのに驚く。
ロッカーの中には標本入りの引き出しや植物標本が並ぶ。
ロッカーに入りきらないフタゴヤシの大きい葉は高い所に乗せてあった。
ヤマザクラの標本 鹿ケ谷カボチャの標本
このひと包み全部がヤマザクラの標本。花・蕾・葉・芽・種などいろんな状態の標本。
それにいろんな地域のヤマザクラの標本を1冊にしてあるとのこと。
言われて見ればそうだなあと思うけど、気がつかなかった。
作物は品種がすぐなくなるので見つけ次第買ったりして標本にするという。
厚みのあるものはスライスして標本に。縦切りにしたり横に切ったり。すごいなあ。
標本は、買う。もらう。採集してくる。などして集めるそうだ。
次は
液浸収蔵庫 大小さまざまなビンが並ぶ。 ここは乾くと困るもの 魚や両生類・ハ虫類・内臓標本などをエタノール・アルコール・
ホルマリンなどに漬けて収蔵。 内臓や筋肉まで標本になるとは驚き。
コーヒーの空き瓶ではだめなの?との問いには規格が揃っていた方がやりやすいとのこと。
蓋の材質とかも関係あるかも。でも1つだけコーヒービンがあった。
ビンは大小7~8万個あるという。細かいものまで何がどこにあるか分かるらしい。
当たり前のことだろうけど・・すごい。
模式標本は新種かどうかを見る時の手本となる大事なもの。
標本に赤いラベルが付いている。
志賀学芸員が発見した「シモツケコウホネ」 初宿学芸員の「ヒラサンヒメハナノミ」の極小の昆虫標本にもちゃんと赤いラベルが貼ってあった。
エレベーターで2階へ。2階には各分野の研究室や標本作製室などが並ぶ。
特別展の準備をする部屋を見学。大きいコピー機が3台。特別展のパネルなどはすべて学芸員さんたちの手作りだとか。徹夜になることもあるそうで大変だな。
植物研究室では、パソコンで標本データを入力している人、新聞紙に挟んだ植物を台紙に貼って標本作りをしている人もおられた。どちらも細かく根気のいる作業だ。古そうな新聞紙は昭和30年代のものだった。
台紙は劣化に強い中性紙・ゴムはアラビアゴム・ラミントンテープという特殊なテープ・テープを貼る時に使うコテ・ピンセット 七つ道具が並ぶ。
「ヒマだから手伝うって言っても無理ですよね」冗談で聞いた。だいぶ知識と経験がいるらしい。やっぱりね。私にはそんな根気もない。
1階へ。
実習室では
女性の方が小型のネズミの体の各部を計測中。その後はく製にするという。
右)ヒメハリテンレックの「仮はく製」(動物園で死んだもの)
アカネズミと筋肉の液漬標本、作業ノートや手書きの標本台帳も見せてもらった。
使う道具も工夫しておられた。
横では和田学芸員がハヤブサのはく製作り。 順番待ち?のヒレンジャク・メジロ
ハヤブサは内臓がすでに取り出され、これは胸肉だよ。ここに胃が・・中身は・・と胃を切り裂いてみると・・鳥の羽根が見えた。目玉をくりぬいたり・・「苦手な人はみなくていいです」
鳥は体を洗えないので、羽根を汚さないように作業しなければいけないそうだ。
このハヤブサはスカイビルの窓に激突して死んだものをもらいうけたとか。
透明なガラスを空と間違えて衝突死する鳥も多いらしい。「年末から40羽ぐらい来たかなあ」
鳥にとってはちょっとお気の毒。でも末代まで人さまの役にたつので無駄死にではなかった?
どの場所を見ても感心することばかり。
私たちがお目にかかる学芸員さんは「外の顔」。実はこんな根気のいる作業や地道な研究をしておられたんだとあらためて感心。
標本というものも思っていた以上に重要で意味のあるものだとわかり、来た甲斐があった。
博物館友の会は平日も利用できるようになり、植物園も入れるようになったらしい。また来よう。