柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

性格

2010-09-17 08:16:09 | Weblog
福岡の爪剥ぎ事件、あるいは深爪事件とも称されていますが、高裁控訴審で逆転無罪だそうです。新聞記事を読むと何と物々しいことです。論点(争点と呼ぶのでしょう、裁判する点を絞るという意味です)がどんどん大きく抽象化されていって、看護協会の偉いさんまでが目を三角にしてる。爪を切る行為がケアであるのかどうか、認知症患者へのケアとは何か、看護とは何かなんて話にまで膨らんでます、ありがちなことです。もちろん入院患者の清潔保持、安全保持(これをケアと言います。わざわざに横文字にする意味なんてないのですが)は病院の業務であり看護婦業務の本幹です、爪切りはケア行為に違いありません。そんなところを専門家引っ張ってきてあれこれやってる。裁判の流れとして仕方のないことなんでしょうが、まったく論点のすり替えです。要は、この看護婦が何の問題のもない爪を無体にも引っぺがしたのか、故意に深爪して結果剥がしちゃったのかですね。その時の写真がきっとあるんでしょう、それを裁判員に、あるいは一般人に(専門家じゃなくて)見せて常識的に判断させたらいいんですよね。どこまでが深爪なのか、なんてのは答えが出る筈がないです。爪切った後に当たったら痛い、あらら切りすぎたわと後悔する、それが深爪です。何センチの判断ではないです。新聞記事にはもともと浮いていた爪で、しばらく様子を見ていて、という経過だともあります。「被害者」の息子、60歳がらみとありますからまぁ言えば分別盛りですか普通は、はこんな判決では何でもかんでもケアの名のもとに許されることになってしまうと憤っているそうです。ケアか虐待か。見出しが大仰なのです、もっとこの例について判断しなさいということですわね。もっとも、無茶やる奴はいますからね、実際に生爪剥いだ奴、インシュリン射って殺した奴、「被害者」家族の気持ちもわからぬではないですが、さてこんなに事を大きくするほどのことなんでしょうかという話です。当の婆さんの爪はきっとすっかり治っていましょう。つまりこんな大問題化するには事件の重大さ以外に多くの要素があるというわけです。大きいのは病院側の対応不備、そして「被害者」意識。きっとこの看護婦の初期対応が不適切だったのか、病院側が居丈高だったのか。これがおそらく原因でしょうが、いえ、「被害者」側の性格問題も大きくあります。こういう話を聞くたびにこの業界の面倒さに溜息が出ることです。同業者として力が抜けます。
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3 コメント

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いつもの事ながら・・・ (マ様)
2010-09-23 17:20:46
毎度毎度・・・
理想論で申し訳ございません・・・。
結局いつも理想と現実のギャップに悩んで切れるのです。じゃあ理想なんて追わなければ良いのにといつも思うのに。やっかいなおばさんになっておりますが。
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マ様に (書翰子)
2010-09-23 12:50:11
いつもご意見ありがとうございます、お久しぶりにいただきました。現場の生々しさが伝わります、お憤り十分に伝わりました。厚労省が次々に施策を出し従来の方針を変更します、それに従うしかないのが町の病院診療所です、そこで鼻が効くか否か、新しい事業欲が湧き出るか否かで差が出ます。ベッド数緩和されれば即に増床する、看護婦が必要となれば大募集かける、3か月以上入院させると儲けにならぬとなればどんどん追い出す、病床が多ければ多いほどベッドの回転こそが儲けの原則ですから。でもかたやで乗り遅れる病院(つまりは院長の性格、意向、欲の深浅等々に律速されることです)あり、それが結果として「難民」受け入れ施設として機能している事はよく見かけます。他所が受けない人達を受け入れる病院。どの地域にもある存在でしょう。行政は社会的入院患者に健康保険支払うことを無駄と断じてますから、こういう存在には実は見て見ぬふりを続けるわけです。文中に有りましたように15年も入院しておくことができるわけです。追い出せ、金払わぬ、とは言わないですよ行政側は。あなたの勤めておられる病院は十分に存在価値のあるものと思います、もちろん華々しく最新の医療を追いかけている病院と比較すると色あせ色落ちして見えましょうが。身も蓋もなく言ってしまえば、院長がそれでいいと思っているならそれで、です。ただ、憤っておられるように言葉遣いとか態度とかは必ず伝播します。文字通り播き散らかされます。若い看護婦や学生たちが真似します。それが風土病化することをマ様は危惧しておられるのですが同感です。最後のところで医者や看護婦が忙しい、過重労働だと擁護していただいてますが、いいえ、院長に過重労働もくそもありません自分の病院です。看護婦もそうです、ちゃんとシフト組んでの立派な労働条件下の普通の仕事です。忙しいから言葉や態度を蔑ろにしていいなんて理屈は通りません。白衣の下はてめぇ次第ですから。看護婦のくせにそんな言葉遣いして・・じゃないんです、そんな奴が看護婦してるんです。医者もそうです。有難うございました。自らを戒めることができました。きちんとやらねばならぬと再認識しました。今後ともよろしくお付き合いください。
返信する
看護する側される側 (マ様)
2010-09-20 13:00:29
先日このようなことがありました。

お一人暮らしの78歳男性がご自身とは関係のない民生委員の家の前で倒れたと。

この民生委員さん近くの医院にお連れしてそこから私の勤め先の病院に紹介され「脳梗塞」との診断入院なさいました。

発語できない、足元がふらふら・・・。


そりゃそうでしょう・・・こういう方こそ本当に入院が必要なのですよ。


次の日もう一度きちんとした検査をということで検査依頼の連絡が・・・しかしなんというかじつは毎度のことながら不思議に思うことがある。

まず必ず「生活保護の方です」と付く。必ずである。だから、臭いのでお風呂につけていくというのです。つけていくですよ!お調子にのってこういう表現をするのかと思われるかもしれませんが違います。この担当看護師だけかとお思いになるかもしれませんが表現は違ってもほとんどの担当者がこのように言う「生活保護だから・・・」と。長がつく方々もだ!こんな調子で看護学生や若い看護師の前でいうから下のもの達も先輩に見習えで同じような態度をとるようになるんだ!!

あんた達が依頼してくる伝票に必要事項は書き落としてくるくせに「生活保護」という申し送りだけは繰り返ししてくる・・・。そんな情報こっちらぁいらんのじゃ!といいたくなる。

言い分を聞くと、人の税金で生きているくせに、仕事もしないで生きている、昼間っからお酒をのんで運ばれてくる・・・などなどその他もろもろ・・・。

確かに私が見てきたなかでもそういう人たちは多い気はする。生活費がなくなると救急車できては何とか入院できるよう努力される(笑)一度入院すると退院を拒む・・・。

けれどもそれは生活保護を受けていらっしゃる方々だけではありませんよね。はっきりいえば普通に生活できていらっしゃる方々のほうがたちが悪い場合が多い。家族がいらっしゃる方達のほうがいやらしい場合は多いような気がします。

最近多いのが未払い・・・入院費、治療費を支払わない患者さんは五万といる。当病院もものすごい金額回収できていないらしい。しかし、汚い言い回しをするけれど生活保護の方々は国が支払うのだから取りこぼしはないのだ。病院の経営からいえばだ。しかし、初診にも関わらず年配者を大荷物と共に連れてきてはなんとか入院をもぎとる。院長も雰囲気で短期間だけとこれまた承諾すれば家族にしたらこっちのもの
退院を促しても引き取れないだの本人も違うところが痛むと言い出す。こんな患者で溢れ返っている。認知症ならなおさらだ。当院なんて患者さんや家族間で「退院がいやなら院長に直訴しろ!なんとかなる」が基本らしく、院長外来には入院患者本人が待合室で待っているというのが現状、またそれを院長が受けるから職員の院長へ不信感嫌悪感が募る。「あんたが看るわけではないだろう!」と。そんなので15年以上入院している人はざらである。結局巡りめぐって幸い看護自体に影響を及ぼしたというのはないが、職員間でその人に対する言葉の暴力、「生活保護のくせに・・・」などという汚い発言になっていくのですよ。きれいごと並べていますが私も思ったことは何度もありました。(恥)


余談ですが当院は面白いですよ。同じ診療科目の病院からも「3ヶ月たったから退院してください、○○病院(当院)いってみては?」といわれたという。救急隊も最後は○○病院(当院)にお願いする。とぽろっともらしたらしい・・・。こんな世の中で何がどう幸せになれようかい!


実際、医師、看護師の業務の異常なほどの大変さは日々見ていて頭の下がる思いである。過剰労働も甚だしいくらいだ。そこの改善もしやしないで医学、医療はどんどん進んでいくのだからたまったものではないだろうと思う。真っ白い白衣のしたの心がすさんできているのだから
白衣もそれに反映し清い白さを失ってきていると思う。


また主文と違うコメントを長々と失礼しました。

ただきれいごとかもしれませんが、今一度私も含めて看護する側される側、人を心から思い、人の心を感じるという事を思い出さなければならないのでは?と思います。


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