MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

デジャブ

2019-09-03 21:48:55 | 通訳者のつぶやき
私は90年代からスペイン語の生活相談員をしています。

相談員を始めたのは
入管法改正で南米から日系人がたくさん出稼ぎにきた頃です。

日系人でも3世ともなれば
祖父の顔をしらない、日本語を話したことがないという人もたくさんいて
言葉が通じない、たくさんの借金を抱えて来日する、劣悪な労働現場でした。

そして最初の頃にうけた相談のほとんどが、
「在留資格」と「労働関係」でした。

医療では「労災」と「結核」で
指や腕が落ちたケースは覚えていないほどたくさんありました。
「たこ部屋」と呼ばれる劣悪な生活環境の中で
結核を発症するケースも後をたちませんでした。
それくらい過酷な現場でした。
今に比べて支援者も少なかった。

だから、日本人はあまり気づいていなかったと思いますが
当時から、外国人労働者の境遇は厳しいものでした。

あれから四半世紀が立ちました。
途中、ゆるい景気回復やリーマンショックがあり
経済が動くたびに、外国人労働者は景気の調整弁となってきました。
それでも、日本に住んで働こうと残ってくれている人たちがいました。

でもなぜだろう、ここ数年、私が仕事をはじめた当時のことが鮮明に蘇ってきます。
いや、それ以上に当時よりも劣悪な形で外国人労働者が切り捨てられています。

一時は少しおさまっていた労災隠しや賃金未払いが
再び目立つようになってきました。
陰湿ないじめや劣悪な労働環境も
当時と違うのは日本人労働者にも余裕がなくなっているということです。

私は相談員なので
これからのことより、今いる人たちを日本社会の中で守りたいと思って仕事をしていますが、
制度の整わない中で、もっと外国人労働者を増やして
きちんと社会的包摂の中で一緒に生きていけるのか、正直なところ自信がありません。

そんな中で、今考えているのは
外国人支援を、言葉ができる人や国際交流団体だけに任せるのではなく
みんなで考えていこうということです。
医療であれば、通訳者だけでなく
医療者や福祉職、行政、地域の人たち、みんなに現状を知って欲しい。
周りにいる誰もが外国人住民の支援者になってもらえるように。
また、私たちも外国人住民から吸収できるように。

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