ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

さすがにこれはまずいでしょ(山武市の勲章引き渡し不備)

2024-06-05 00:00:00 | あまりに初歩的なところから粗雑すぎる

最初に断っておきますが、「勲章とは何か」とか「それにどのような価値があるのか」といった議論は、この記事では無しにします。私もそういうことを考えないではありませんが、とりあえず話の内容が違うので。

先日報道されたこちらの記事は、なかなかすごい(ひどい)ですね。


千葉 山武市教委 叙勲の「勲章」や「勲記」を紛失
05月29日 17時10分

去年千葉県山武市の男性に贈られるはずだった叙勲の「勲章」などを市が紛失していたことがわかりました。

山武市教育委員会によりますと去年8月、市内の小中学校で校長などを務め当時88歳だった矢田部秀雄さんが叙勲の「瑞宝双光章」に選ばれました。
その後、教育委員会が「勲章」と証書である「勲記」を渡すために複数回電話をしましたがつながらなかったため、担当課の当時の課長が直接手渡そうと金庫から持ち出したということです。
しかし、ことし3月に男性が亡くなり、遺族からの問い合わせで勲章などが渡されていないことが発覚し、教育委員会が当時の課長に聞き取りしたところ、持ち出したあとの記憶があいまいで紛失したことが分かりました。
内閣府によりますと、「勲記」は国家の印である国璽が押印されているため再発行はできず、今回代わりの証明書を発行したということです。
教育委員会はすでに遺族に謝罪し、作り直した「勲章」と証明書を手渡していて、紛失に関係した職員の処分を検討しているということです。
山武市教育委員会教育総務課の坂本あゆみ課長は「大切な物品を紛失することはあってはならずご遺族におわび申し上げる。事務の適正化に取り組み信頼回復に努めます」としています。

これはさすがにまずいでしょ。当たり前ですが、それにしてもこれはひどいですよねえ。

記事によると元校長(の家)に複数回電話をしたがつながらないということで、つまりこの時点で校長はおそらく入院もしくは何らかの施設にいたということなのでしょう。それは仕方ないことですが、非常にこれは重大な問題なので、おろそかにはできないでしょう。それで、違う記事をちょっと引用してみましょう。


当時、男性は入院中だったため、女性主事は平日に家族に電話で複数回、連絡を取ったが、つながらなかった。その際、家族側に折り返しの電話をかけるよう求めてはいなかった。土日の対応はしていなかった。

土日の対応うんぬんについてはともかくとしても、理由は不明ですが、折り返しの電話をかけることを求めなかったのは不備な対応です。で、やっぱり入院中だったということであり、この時の矢田部氏の家族構成は不明ですが、年齢的に入院していたり住民登録を変更しないで何らかの施設に行っている可能性は十分あり得るわけで、そういうことは市役所の役人なら容易に想像がつくと思いますがね。実際には恒常的に留守であったという可能性もある。詳細は不明ですので当て推量でこんなことを議論してもしょうがありませんが、ポストに郵便物ほかがたまっていないのであれば、定期的に人の出入りはあることが予想できるので、不在状を投函するとかあらためて役所から通知を出すとか、いろいろできることもあるでしょう。

ただこのあたりならまだそんなに致命的な問題ではありませんが、当時の教育総務課長のやらかしたことは、これは最高レベルにまずいですね。NHKの記事にはそれが記されていませんが、産経の記事から引用すれば


当時、男性と知り合いだった前教育総務課長が直接、勲章などを金庫から何度か持ち出し、男性宅に出向いたが、渡せない状態が続いたという。

ということだったわけです。東京都など大都市ならそんなこともありませんが、田舎では、役所の幹部職員と元校長が知り合いだなんてことはよくあります。ことによったら当時の課長が矢田部氏の教え子だった可能性もありうるし、教育関係の課長職なら元教員だったかもしれない(実際どうなのかはもちろん知りません)。それで、これ純粋に仕事としてやっていたのでなく、これは私の推測ですが、終業後とか、あるいは土日祝日に行ったとか、そういう勤務時間外に勲章を持ち出したのではないですかね。おそらくそうです。平日の昼間に行くのだったら、課長がでていくことはない。けっきょくそういうところが、管理が甘くなり不備が生じた大きな要因じゃないですかね。会えなくて金庫に勲章をしまいなおす際も、面倒だから車(公用車でなく自分の車)に入れっぱなしにしたとか、そういうたぐいのことがあったのではないか。これももちろん推測ですのでどうなのかは不明ですが、それにしても


持ち出したあとの記憶があいまいで紛失した

というのはあまりにお話にならない不始末ぶりです。当時の課長が自分の責任を最大限すくなくするため故意にあいまいに話をしているのかそのあたりは定かでありませんが、こういうことは1人の人間ばかりが職務をするからよろしくないわけで、個人的な関係があろうと課長なんぞが出る幕ではないでしょう。一般の職員と係長職が連携していれば十分な案件のはず。たぶんこれ元校長と連絡が取れないという話を聞いた当時の課長が、「じゃあ」と自分で渡すといったのでしょうが(さすがに部下が課長に依頼するということはないでしょう)、それでこんな不備をしでかしていたのでは、繰り返しますがお話にもなりませんね。当方そんなことに知識はありませんが、こういう勲章というのは、国→都道府県→区市町村というかたちでまわってきて、山武市が元校長に勲章を渡すという重大な責務を担ったわけで、であるならこれは非常に責任があることであり、こんな基本的なことがおろそかではしょうがありません。

さすがにこんなことがそうそうしょっちゅうあるわけでもないでしょうが、まさに拙ブログのタグである「あまりに初歩的なところから粗雑すぎる」にふさわしい事例だと思います。


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2 コメント

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Unknown (bogus-simotukare)
2024-06-05 05:02:51
https://www.sankei.com/article/20240605-PQVTM2DMNJKC7ILIJPSVI6CZ5Q/
 大阪府警は5日、交通違反の反則金仮納付書を破ったとして公用文書毀棄の疑いで、大阪府内の40代男性を誤認逮捕したと発表した。逮捕の直後に仮納付書が公用文書にあたらないことが判明し、府警は男性を釈放し、謝罪した。
 府警によると、4日午後5時ごろ、大阪府摂津市東一津屋の府道で、交通取り締まりをしていた摂津署員2人が、普通貨物車が黄色線をまたいで車線変更したのを確認。進路変更禁止違反として、運転していた40代男性に対し、青切符の交付手続きを行った。男性は受け取った反則金仮納付書をその場で破り、署員が公用文書毀棄の疑いで現行犯逮捕した。
 その後、署の幹部が、仮納付書は公用文書にあたらないと指摘し、逮捕の23分後に釈放した。公用文書毀棄罪は「公務所の用に供する文書」への毀棄を対象としているが、交付済みの反則金仮納付書は男性が自身の納付に使用するもので、公用文書にはあたらないという。
 府警地域総務課の奥田栄男課長は「逮捕された方に対し、心よりおわび申し上げます。指導を徹底し、再発防止に努めてまいります」とコメントした。
(引用終わり)

 これまた「逮捕したがそもそも逮捕容疑が無かった」とは「あまりに初歩的なところから粗雑すぎる」でしょう。
 素人ならともかく。
 それに数は少ないにせよ「警官の目の前でそういう挑発行為(?)をする無法者(?)(いかに犯罪に該当しないとしても普通の人間はそう言うことはしない)」は過去にもいたでしょうに。
 まあ、経験の少ない警官が、挑発行為にマジギレして速攻で逮捕なのかなと思いますが。
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>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2024-06-05 21:53:34
まあ公文書棄損の疑いを持ったとはいえ、現行犯逮捕するほどの案件かなあですね。どっちにしたって微罪でしかない。
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