ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

情報(ひし美ゆり子(菱見百合子)主演の成人映画が有料チャンネルで放送される

2020-06-05 00:00:00 | 映画

今日は情報です。『ウルトラセブン』で友里アンヌを演じたことにより伝説的な女優となったひし美ゆり子(菱見百合子)が1972年に主演した松竹配給の成人映画『鏡の中の野心』が有料チャンネルではありますが、放送されます。

鏡の中の野心衛星劇

>監督:小林悟
原作:戸川昌子
脚本:松浦健郎
出演:荒木一郎 堤杏子 白石奈緒美 野村明治 今泉洋 葵三津子

「ウルトラセブン」のアンヌ隊員役で知られるひし美ゆり子が、大胆なラブ・シーンなど、体を張った演技で挑んだ初主演映画。ヘアスタイリストとプレイボーイの天才詐欺師をめぐり、セックスと謀略が華麗に交錯するサスペンス。

美容界の最大勢力である谷本学園を乗っ取ろうと、一人の男が業界の勢力争いに乗じて画策する。すべては男の計画どおりに進み、彼は莫大な財産と権力を手に入れたかに見えたが…。

11日(木) 深 1:30 、 29日(月) 深 1:30

成人映画なので、放送は深夜です。

この映画は1972年の7月1日に公開されました。彼女はその年の3月31日で所属していた東宝との契約が終わっていたので(東宝が経営が悪くなっていたので、契約が更新されなかったのです。映画会社が役者をかこうのが難しくなってきた時代だったわけです)、形式的にはフリーでした。芸能人やめようかとも思っていたのことですが、脚本家の松浦健郎に請われての出演でした。松浦は、彼女が出演していた『37階の男』の原作者・メインの脚本家でした。東宝との契約に問題はなかったはずですが、成人映画のせいもあり、彼女は登場人物の名前である「筒見杏子」という変名での出演となりましたが(「早乙女愛」と同じパターンですかね)、ポスターでは「堤杏子」、映画のクレジットでは「ひし美ゆり子」、予告編では「ひし見ゆり子」となっているというわけで、どんだけ粗雑なのよ(あるいはデタラメなのよ)と思いますが、ともかくそのような映画なわけです。

わかりにくいですが、「堤杏子」になっています。

この後彼女は、以前に私的に撮影したヌード写真が雑誌に掲載されるなどして、けっきょくヌードをやたら披露する女優になりました。かの大島渚監督の『愛のコリーダ』にも、主演役で大島監督から直々にオファーがあったくらいです。彼女はけっきょくこれを断りますが、以前に『メス』で世話になっていた貞永方久監督(彼は、大島監督の松竹での後輩です。大島監督は大船撮影所、貞永監督は京都撮影所所属)に相談、そのアドバイスに従ったとのこと。

うーん、どうだったんでしょうね。あれはあまりに強烈すぎましたが、たぶん彼女が出演したら、かなり毛色の違った映画になったでしょうね。現行の映画よりも明るいからっとしたものになったのではないか。それがよかったかどうかは神のみぞ知るです。ちなみに彼女は、『不良番長 骨までしゃぶれ 』で藤竜也 と共演しています。

それで思うに、これはすでに有名な話ですが、アンヌ役も、もともと映画出演決定を理由に降板した豊浦美子の代役として急遽決まったのものでした。豊浦は、映画『クレージーの怪盗ジバコ』のヒロインとして、同作品監督の坪島孝の指名によって出演することとなって降板したわけです。現在の感覚からすれば「うわ、もったいない」ということになりますが、1967年の感覚では、いくら高視聴率が予想されるドラマではあっても、映画の出演で監督から直々にご指名があってそれを拒否するなんてことはあり得ませんでした。豊浦は映画出演は1969年まで、ドラマも70年放送のドラマで芸能活動をやめているようですし、現在語られるのも「アンヌ役に最初決まっていた人」というのがほとんどでしょう。彼女は1943年生まれですので、47年生まれのひし美よりだいぶアダルトなアンヌになったのではないかと思います。その後彼女は、仮に同じように芸能活動からフェイドアウトしたとしても、やはり「アンヌを演じた女優さん」として、いつまでも語り継がれたでしょうし、ひし美がこのドラマに出演しなければ、たぶん現在の豊浦のように、「その他大勢の女優さん」としての地位しかなかったかもしれない。ほんとこういうのを見ていると運命ですね。それが彼女らにとって幸せかどうかはわかりませんが、ともかくそんな偶然によって「その他大勢」「永遠に語り継がれる」という差が出てくるわけです。この話は、前にも記事にしました。

人生というのは、ほんのちょっとしたことで大きく変わっちゃうんだなと思った話

ところで上の映画はDVD化もされていますが、現在プレミア価格がついていますので、どうしても観たい、しかしなるべく安くとお考えでしたら、この映画を観るためだけでも衛星劇場に加入することをおすすめします。加入方法は、こちら。興味があれば加入し続ければいいし、なければすぐ退会すればいいわけです。

最後に映画のじゃないじゃんでが、アンヌ隊員の写真集と、今年の1月に発売となった彼女の本をご紹介します。

万華鏡の女 女優ひし美ゆり子 (ちくま文庫)


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