ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

法律にあまり強くない人が法相をすることは根本的に無理があると思う

2017-08-17 00:00:00 | 社会時評

旧聞ですが、8月3日にあらたな安倍改造内閣が発足しました。

やはり世間の話題・関心の1つが、岸田文雄氏の処遇だったと思います。次以降の首相の可能性がある岸田氏としては、たぶん安倍晋三が首相であるのが来年の9月いっぱいが最長であると考えると、外相を続けるか閣外に去るかはまさに自分の政治家人生の最大の決断のわけで、これはそれが吉と出るかどうかがまさに彼の運命でなく自民党ばかりか日本の運命もそれなりに決まるかと思います。

あ、別に私が彼を支持しているとかそういう話ではないですよ。ただ安倍晋三よりははるかにまともな人間だと思うし、また今後も自民党・公明党連立政権が続くとしたら彼が首相になる可能性がありますから、それはどちらにしても日本の将来に大きな影響があると考えるわけです。

それで今回の改造内閣の目玉(?)は、河野太郎外相、野田聖子総務相ですかね。お二方とも、河野氏はすでに安倍内閣で入閣経験がありますが、いずれにせよ建前としては安倍晋三という人とそれなりに考えが合わない部分があるみたいですから、閣議でも安倍に対してそれはそれなりに言うべきことは言ってほしいですね。いや、私はもちろん安倍には首相を即刻辞任してほしいですが(苦笑)、まあそれはそれということで。もっとも河野なんて人は、私の見たところ相当なオポチュニストのようですから、適当に過ごすのでしょうが。

そして今回書きたいのは、この改造内閣だけの問題ではないことです。法相という職務についてということです。

前回の安倍内閣で評判が悪かったのが、稲田朋美の防衛相は論外ですが、金田勝年前法相も、共謀罪などの答弁で問題がいろいろ指摘されていました。私は共謀罪にはもちろん絶対反対ですが、それはこの際別として、やや金田氏という人物が、法相としての適性に欠けるという評価がいろいろありました。

それで、私は政治家のプロフィールとかに詳しい人間では全くありませんので確認したところ、金田氏は、東京大学の入試がなかった年に一橋大学の経済学部に入学し(ってことは、かの竹中平蔵と同じパターンですね)、旧大蔵省に入省、主計畑から政治家に転身したという人です。

となると、たぶん本格的な法律の勉強とかはこの人はしていませんね。もちろん中央官庁に長くいたのですからいろいろな関係法令には精通しているでしょうが、たとえば刑事訴訟法とか民事訴訟法についてきちんと学んだ経験はあるのか。あるのかもですが、やはり同じ役人でも、法学部出身者と比べると、法についても判例についてもさまざまな周辺の知識・造詣もそうとう落ちるのは仕方ないところです。

たとえば法相の大きな仕事のひとつが、死刑執行の書類にサインをすることです(私は死刑反対論者ですが、それはこの際関係ない話)。それで金田氏は上にも書いたように、刑事訴訟法をまともに勉強したかも疑わしいし、していたところで、こういったことには役人(検事です)から書類を差し出されて、自分なりに考えを述べることができたかなあです。7月に2人の死刑囚が刑を執行されましたが、うち1人は1審での死刑判決を受入れた人です。私も指摘したとおり、このような人は早く執行される傾向があります。それでもう1人が再審請求中でした。金田氏は、ここであえて再審請求中の死刑囚の刑を執行するということについてどのような感想を持ったのかなあと思います。たとえば役人に、そのようなリスクのある刑の執行についてどうしてなのかとか説明を求めたのか、求めたのかもですが、たとえばある程度法的な知識や興味関心がなければなかなかそのような質問もできないし、してもろくな回答がかえってこないでしょう。江田五月氏は、法相就任中死刑の執行指揮をしませんでしたが、彼などは、それなりの哲学や見識をもとにして、またいうまでもなく彼は法曹としてもきわめて優秀な人間ですから、法務省の役人とも太刀打ちできます。ていうか、たぶん役人は江田氏にかなわない。金田氏はバリバリの死刑賛成論者なのかもですが、それ以前として「死刑とはどうあるべきか」なんてことをまともに考えたのかも怪しいような気がします。いやもちろんこんなのは個人の内面の問題ですから分かりませんけど。

そうなると、私の個人的な意見を言いますと、法相という仕事には、弁護士資格の持ち主あるいは法学者などを起用することがきわめて好ましいと思います。共謀罪のようなものの国会答弁を金田氏のような素人にさせるのはいかんせん酷です。法律というのは知識もそうですが、テクニカルな側面も大きいわけで、そういうのはやはり専門家のほうがいいと考えます。江田氏レベルの最高裁判所長官だって夢でなかったようなすごい法曹なら最高ですが、元判事や法学者が法相を経験したこともあります。

が、そうでなくても最低法学部法律学科出身者を起用したほうがいいんじゃないのという気はします。もちろん稲田朋美だって弁護士だし、法学部といったってろくに勉強もしない連中も多々で、安倍晋三(彼は法学部でも政治学科ですが)が大要芦部信喜を知らないと国会答弁したこともあるくらいですから(こんな無知な人間が改憲を声高に語るのも非常識きわまりないことです)、あるていどの常識と良識を備えた人間を任命すればいいでしょう。でもそういう話には、なかなかならないんでしょうねえ。たとえば南野知恵子なんて人はとても法相なんかできる人間じゃないんですが、やっていたもんね。安倍晋三が首相をしているのだから、そんなことは驚く価値もないのでしょうが。

新法相の上川陽子氏は法相経験者での再任ですから、優秀だしそれなりの見識もあるのでしょうが、彼女も出身大学・学部は東京大学の教養学部で国際関係論の専攻だそうですから、たぶん法律にものすごく詳しいというわけでもないのでしょうしね。法相というのは政府高官でも格が高いわけで、だから江田五月氏は参院議長を勤めた後あえて法相に就任したのでしょうけど、そのあたり法相の人選はたいへん慎重に考えなければいけません。外交や経済や福祉が苦手な人間が外相や財務相、厚労相をすることより、むしろ法律に弱い人間が法相を勤めることのほうがよろしくないということもあるんじゃないんですかね。

なお今回の記事は、bogus-simotukareさんのブログにしたコメントを基にし、またその記事で氏が追記してくださったことも参考にしました。感謝を申し上げます。

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