ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

LCCに乗りまくる

2009-09-14 00:06:32 | 書評ほか書籍関係
今回書評するのは、下川裕治著 格安エアラインで世界一周 (新潮文庫)です。



著者は、格安航空会社(Low Cost Carrierなどの英語表記。以後LCCとする)のみで世界を一周しています・・・のではなく、厳密には、ロサンゼルスから東京まではシンガポール航空に乗っています。米国と日本の太平洋路線は一般の航空会社の料金がとてもリーズナブルなので、LCCの登場する余地に欠けるからです。

なお、LCCについては私もこのブログで以前記事を書いたことがあります。ごく簡単に説明すると、機内食その他のサービスを簡素化し、さまざまなコストを削減してシートピッチなども狭くすることによって安い運賃にて運航する航空会社のことです。wikipediaをリンクしておきます。

著者の下川氏は、アジアを中心とする貧乏旅行の話をたくさん著書にしている人物です。彼の独特の「下川節」とでもいうべき語り口は、正直かなり鼻につくところもあるのですが、でもたくさん本を出版しているのですからファンは多いんでしょうね。

著者は、同じく新潮文庫書き下ろしで 5万4千円でアジア大横断 (新潮文庫) という本も出版していて私も読んだのですが、正直あまり面白い本ではありませんでした。なぜかというと、この本は仲間2人と延々バスに乗ってイスタンブールまでいくという内容なのですが、前に著者の本で読んだようなことが多いというところもあるのですが、いかんせんバスに乗りっぱなしなのですね。もともとこの旅は、通信社の企画によるもので、前半、後半で旅を分けているのですが、特に後半はある程度時間の都合も付くと思うのですが、かなり無理に目的地へ急いでしまっています。現地の人との触れ合いもないし、ちょっと面白みに欠けました。なお、リンクしておいたAmazonの書評でも、同じようなことを指摘されている方が複数いますね。

そういう意味では、この本も同じようなものなのですが、しかしこれはけっこう面白く読めました。なぜかというと、LCCなるものを現地現地で予約していくという過程に新鮮味があったからだと思います。著者は、カメラマンの相棒と無名の若い人(余談ですが、前回の本の旅でも、無名の若者を同行者に加えています。たぶん、ベテラン旅人でない人を参加させることによって旅にアクセントをつけるためでしょうね)とともに、大阪→マニラ→マレーシア→シンガポール→インド→UAE→エジプト→ギリシア→ロンドン→ダブリン→ニューヨーク→ロングビーチとLCCを乗り継ぎ、ロサンゼルスから東京までは一般航空会社を使用します。著者らは、シンガポールまでとロンドン以降は日本で航空券を手配し、その間をインターネットで格安航空会社を検索しながら旅をします。

ビザのある国は、日程上の制約があるため入国できず、しかもいわゆる観光地も著者の趣味(笑)でまともな観光もしないというかなり無茶苦茶な旅です。といいますか、そもそも著者のように飛行機を乗る人はほとんどいないわけで(当たり前ですが、普通世界一周する人はあらかじめ航空券を手配するし、そうでなければゆっくりした旅をするわけで、著者のように急ぎ足にしかもいちいち航空券を予約しながら世界を旅する人間など、いるわけがありません)、かなり特異な旅ではありますが、しかしそこに私はとても新鮮味を感じました。時間と体力があれば誰でもできるしまたたくさんの人たちが実行しているバス旅行より、たぶんあまり今まで多くはされなかったと思われる今回の旅行のほうが面白く思いました。

格安航空会社は、機内食や飲み物などは有料で発売していますし(無料のところもあります)、ある意味まだ飛行機というものに特別なイメージを持っている人が多い(かもしれない)日本人には少しなじみにくいところがあるかもしれません。が、慣れれば別になんてことはなさそうです。新幹線と同じだと考えればいいんですよ、新幹線では飲み物なんか出してはくれないじゃないですか。

興味深かったのは、著者がギリシャのLCCを予約しようとした際、ギリシャの納税者番号めいたものを聞かれたということです。そんなのギリシャ国籍以外の人が持っているわけがないですが、著者はでたらめな番号を入力してそれで通ったという話です。今はどうだか知りませんが(といいますか、著者らがこの旅行をしたのは今年の初旬ですので、たぶん変わりはないでしょう)、そんないい加減なことでいいんですかね。それともギリシャ国内法で、そのようなことを聞かなければいけないという規則があるのかな。

バスの本同様、この本での旅行も、ひたすら飛行機に乗りまくる旅ですが、それでも前著よりはいろいろ興味深いところもありました。アマゾンの書評などでも、必ずしもバスの本の評価が高くなかったせいもあり、その辺は著者も考えたのかもしれません。

実は私も先日、某国を旅した際この本にも出てくる某LCCを利用しました。で、予約の際は、この本もいろいろ参考にさせていただきました。その詳細については、後日の記事にします。

これから私も、いろいろなところでLCCを使用することになりそうです。
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