ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

なんで清朝時代ほかの中国人が英語を話すんだよ(笑)(ラストエンペラー)(ネタバレあり)

2015-12-11 00:00:00 | 映画

新・午前十時の映画祭」で、「ラストエンペラー」を見ました。主要な出演者のほとんどがアジア人(レジナルド・ジョンストン役のピーター・オトゥールを除く)であり、坂本龍一が音楽、出演をしていることもあり、日本でも知名度・人気ともに高い映画だと思います。

それで見ていますと・・・いろいろずっこける映画です。なお、以下(たいしたことはありませんが)ネタバレがあるので、知りたくない人は読まないでください。

 

 

 

 

 

 

 


いいですか? では書きますよ。

映画の最初から、登場人物がみな英語を話します(笑)。

ね、ね、ね、ね、ね。なんで清朝の人たちが英語を話すの(笑)?

この映画が製作されたのが80年代後半で、まだこの時代の映画界は、中国人が中国で英語を話すことがOKだったわけです。このあたり、この映画が今日に製作・公開されたらさすがに中国語で会話され、英語(その他)の字幕がつくと思いますが、どうなんですかね。

余談ですが、字幕(進藤光太でした)で「パパ」というくだりがあり、確かに実際の台詞でも「パパ」みたいなことが言われていましたが、清朝の人が話す言葉としては「パパ」ってのはさすがに妥当とは言いかねるんじゃないんですかね。このあたりは誤訳という問題じゃないので、いや、自分はそうは思わんといわれれば仕方ないですが。

あと、最後のコオロギは、あれ変ですよねえ(笑)。たぶんあれ、「市民ケーン」の「ばらのつぼみ」を意識(あるいは同工異曲)しているのかと思いますが、まあこれは、現実のシーンでなく、溥儀の夢・幻覚と解釈すればいいんですかね。なぜか溥儀が消えちゃうし。そういえば「西鶴一代女」にもそんなシーンがあったかな。田中絹代が消えちゃうってのが。完全なフィクションの映画と、実在の人物を取り上げた映画を比較してもしょうがないけど、それもどうかです。そもそも論として、溥儀が故宮のあんなところまで単独でいけるはずもありませんが。

余談ですが、コオロギのたぐいってのは、多産のイメージがあるみたいですね。台北の故宮で、お約束の有名な展示物に豚の角煮白菜がありまして、白菜にはバッタ、キリギリスの彫刻があります。なお溥儀に子どもはいません。

ほかにも幼少期の溥儀は、どう考えても成人してからジョン・ローンみたいな顔にはならないと思うぞとか、つまらんことを考えます。それにしてもジョン・ローンは、この映画以降あまりいい活躍ができませんね。アジア系の俳優としての活動の狭さみたいなものがあるのかもしれません。

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10 コメント

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Unknown (凡太郎)
2015-12-11 10:40:35
最近知ったんですが、陳凱歌監督もカメオ出演してたんですね。
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伊、中、英、合作 (shizukata)
2015-12-11 23:23:22
伊、中、英、合作ですから英語になったのでしょうかね。
私は見ていないのでわかりませんが、リアルさを出すためには
現地語(中国語)がいいと思うのですが。
以前見たマカロニウエスタン、舞台は南北戦争時代のアメリカなのに
ジュリアーノ・ジェンマさんはイタリア語でした。吹き替えだったら
良いのでしょうが、南北戦争でイタリア語はないでしょうと、見ていて
変な感じでしたね。

ジョン・ローンなかなかいい男でしたがその後さっぱりですね。
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Unknown (Rawan)
2015-12-12 05:14:10
こういう類の作品では、通訳を使って英語圏の人間としゃべるというシーンは撮れないですね。
いや、というか、平気で英語を英語通訳するシーンで撮る可能性の方が高いかな(笑

まあ、商業用ハリウッド映画というのは何であれ「英米語」でしゃべるってのが当たり前になっちゃって、観客もそれが普通であり、「字幕文化」はありませんからね。
全編中国語の英語字幕を読まされるなんて、アメリカの観客には耐えられず、興行が成り立たないでしょう(笑

「十戒」や「ベン・ハー」「クレオパトラ」「サムソンとデリラ」といったいわゆる史劇作品もみんな英語だから本当はおかしいわけで。
最近では、ケイト・ウィンスレットがオスカー主演女優賞を獲得した「愛を読む人」だってドイツ語じゃなく英語ですからね。

本作については、中国では中国語吹替え版が上映、放送されるんじゃないでしょうかね。
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>凡太郎さん (Bill McCreary)
2015-12-12 08:31:14
あと戦犯収容所の関係者だった金源氏も顔を出していますね。このあたりなかなか渋い選択だったと思います。
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>shizukataさん (Bill McCreary)
2015-12-12 08:34:59
>私は見ていないのでわかりませんが、リアルさを出すためには
現地語(中国語)がいいと思うのですが。

そうですよね。映画の中で、中国人の登場人物が、独特のゆっくりした英語を話しますが、やはり無茶ですよね(笑)。

>マカロニウエスタン、舞台は南北戦争時代のアメリカなのに
ジュリアーノ・ジェンマさんはイタリア語でした。吹き替えだったら
良いのでしょうが、南北戦争でイタリア語はないでしょうと、見ていて
変な感じでしたね。

そう、こういう逆なパターンもありますね。これはこれで面白いところです。

>ジョン・ローンなかなかいい男でしたがその後さっぱりですね。

なかなか彼も活躍できませんね。残念です。
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>Rawanさん (Bill McCreary)
2015-12-12 08:46:02
>こういう類の作品では、通訳を使って英語圏の人間としゃべるというシーンは撮れないですね。
いや、というか、平気で英語を英語通訳するシーンで撮る可能性の方が高いかな(笑

わはははは。そうですよね。

聖書なんかをネタにした映画や古代ローマやギリシャはまだしも、「ニュールンベルク裁判」みたいな映画も英語だし、「ガンジー」も、みんな英語で話をしているし、「インビクタス」もたぶんアフリカーンスで会話しているはずであり、ご指摘の

>ケイト・ウィンスレットがオスカー主演女優賞を獲得した「愛を読む人」だってドイツ語じゃなく英語ですからね。

ですからねえ。やはりドイツとか旧植民地については見逃してもらおうというところもありますかね。そう考えると、メル・ギブソンの「パッション」はエポックメイキングな映画だったのでしょう。「ブラック・レイン」なんかでは、特に最初の方は日本語の台詞も多かったのは、やはり日本人の観客を意識したんでしょうかね。

>本作については、中国では中国語吹替え版が上映、放送されるんじゃないでしょうかね。

そういう感じでしょうね。Wikipediaによると、中国ではあまりこの映画は知名度は高くないそうですが。
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Unknown (Rawan)
2015-12-12 16:19:55
>「ブラック・レイン」なんかでは、特に最初の方は日本語の台詞も多かったのは、やはり日本人の観客を意識

結局はどこをマーケットとして主眼を置いているかということに尽きちゃいますよね。
字幕に対する文化的違いは除いても、この意味では日本映画も例外ではなく、まあ、商業映画、商業作品の宿命的性質ということですね。
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>Rawanさん (Bill McCreary)
2015-12-13 14:57:57
「ブラック・レイン」と「ラストエンペラー」はほぼ同時期の映画ですが、明らかにマーケティングの影響でしょうね。

>この意味では日本映画も例外ではなく、まあ、商業映画、商業作品の宿命的性質ということですね。

健さんが出た映画版「ゴルゴ13」も、たしかイラン人が日本語吹き替えでした。それもどうかです。
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Unknown (美羽)
2015-12-26 08:45:24
コオロギに関しては、溥儀の一生は虫篭の中のコオロギのような物だったという寓意ですね。
人生の最後にやっと篭から出て自由になれたという。
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>美羽さん (Bill McCreawry)
2015-12-27 08:51:38
どうもコメントありがとうございます。

>溥儀の一生は虫篭の中のコオロギのような物だったという寓意ですね。

あ、なるほどね。そういうい意味合いならわかります。

実際には、文革時のエピソードにもあるように、溥儀もいろいろ大変だったわけですが、それでも皇帝だったり思想改造されているときよりは相対的に自由だったということですかね。
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