ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

まあつまりは、与党(自民党・公明党)の政治家も、(まともな人は)対北朝鮮対応に限界を感じているのだろう

2018-06-15 00:07:58 | 北朝鮮・拉致問題

bogus-simotukareさんからコメントをいただきましたように、面白い会が開かれたようですね。

日朝国交正常化推進議員連盟総会、10年ぶりに開催/与野党議員40人が参加

“日朝首脳会談早期実現を支持”
日朝国交正常化をめざす超党派国会議員らの日朝国交正常化推進議員連盟(以下、日朝議連)の総会が、11日、衆議院第1議員会館で行われた。総会が開かれるのは、08年以来、10年ぶり。

総会には、自民党、公明党、立憲民主党、共産党、維新の会、国民民主党など与野の各党から約40人の議員らが参加した。

日朝議連は、02年9月17日、朝鮮と日本との間に採択された平壌宣言に基づく、両国間に横たわる諸懸案の包括的解決、国交正常化の実現と地域安全保障の確立を目指すことを目的としている。

さて、連立与党の一方のトップである公明党代表の山口氏も、このような発言をしています。

>拉致問題「北朝鮮と対話の道開くチャンス」公明・山口氏

2018年6月13日17時37分

山口那津男・公明党代表(発言録)
 (米朝首脳会談でトランプ米大統領が)拉致問題を提起したという話があった。この機会をぜひいかすべきだ。当事者である日本が、北朝鮮と拉致問題解決のための対話の道を開いて結果に結びつける絶好のチャンスですので、米国の協力、あるいは韓国の協力を得ながら前進を図る。そういう政府(の取り組み)をしっかり支えて参りたい。そのうえで日朝平壌宣言にうたわれた国交正常化への取り組みにつながるよう、その対応も含みながら努力を重ねていく必要がある。(党参院議員総会で)

山口代表の発言は、トランプ米国大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による米朝会談に基づくものですが、上の会も、その会談前日に行われているところからして、当然ながらそれにかこつけて開催されたものと考えられます。

で、私が注目したいのが、この議連のメンバーです。bogus-simotukareさんのコメントからの再引用ですが

>日朝議連の会長として、自民党の衛藤征士郎衆議院議員が、会長代行に自民党の額賀福志郎元財務相が就任。顧問には自民党の二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長、公明党の井上義久幹事長が就任した。また、副会長として、石原伸晃(自民党)、河村建夫(自民党)、塩谷立(自民党)、北側一雄(公明党)議員らが、事務局長に馳浩(自民党)議員が任命された。

なかなかの大物ぞろいじゃないですか。自民党の幹事長がまず会に入っているのが興味深いですね。幹事長といえば形式的には自民党No.2、時と場合によっては総裁(首相)をリードすることもある役職です。田中角栄氏など、自分は首相より幹事長のほうが向いていたと述懐(首相としてより幹事長としてのほうが優秀だったと自民党議員が語ったという話は、立花隆著『田中角栄研究 下』にも出てきます)していたそうですが、いろいろ党務でトップになれる幹事長がこのような議連に属しているということは、首相であり自民党総裁であって政府と政権与党のトップである安倍晋三がOKを出したということです。

さらに岸田氏の名前があるのも興味深いですね。彼はポスト安倍の首相になる可能性があるし、いずれにせよ現在首相である安倍晋三の内閣で、長きにわたって外相の要職を務めていたわけです。ということは、これもやはり岸田氏なりに相当な思惑があるということですよね。

ほかにも竹下亘、石原伸晃など、自民党の実力者といっていい人たちが顔を並べているというのは、やはりこれは、安倍晋三その他も、いまのような北朝鮮対応に未来はないと考えているということではないですかね。安倍が「そんなものに参加するな」といえば、それでも参加する人はごく少数でしょう。

連立相手の公明党も、これも最高幹部である井上氏、北側氏が名を連ねています。上で引用した山口発言でもわかりますが、公明党もそれなりの意欲は持っているということなのかもしれません。

ほかにも朝鮮労働党と犬猿の仲であるはずの日本共産党からも参加者がいるとかいろいろ面白いところがありますが、とりあえず政権与党について考えてみると、やはり自民党も公明党も、拉致被害者の全員の帰国を前提とする・・・なんて話は現実性がない、このままやっていてもしょうがない、という認識では、少なくともまともな議員はあるようですね。

そんなのは当たり前であって、トランプと金正恩が会談する以前からわかりきっていたじゃんということですが、米朝首脳会談が実現したことで北朝鮮が政治的に崩壊する可能性が低くなったということを、政治家や識者ばかりでなく、国民一般もある程度は認めざるをえなくなったのではないかという判断が働いたのかもですね。よくわかりませんが。

それは正しいことだと私は思います。安倍政権がそんなに長続きするとは思いませんが、この件に関しては次なる首相にそれなりの体制を整えて引き継ぐべきです。あ、これは北朝鮮の政権を私が支持するということではないですよ。しかし国交は早急に樹立するべきだと思います。inti-solさんもご指摘のように、

>どんなに酷い政治体制であっても、その土地を合法的に実効支配している政権として国際的に承認されているものと、没交渉であり続けることは弊害が大きすぎます。

ということです。国交というのは、その国の体制を支持することを前提としているわけではない。国同士の付き合いは、そういったことを超越してなされるべきです。こういってはなんですが、1965年の日韓の国交回復後、1970年くらいまでに日朝が国交を樹立していれば(現実にはそのような可能性はなかったでしょうが、あくまで仮定で話をします)、北朝鮮も、あのような無意味で無謀な日本人拉致は控えた、あるいは規模は小さくなっていたんじゃないんですかね? もちろんレバノンと北朝鮮は国交があってそれでもレバノン人女性が拉致されたということもありましたが、またレバノン人拉致と日本人拉致は、事情や状況も違いますからね。レバノン人女性は、脱走米兵の奥さん調達のためだったと考えられます。そうすると、よど号犯人たちの奥さんたちが北朝鮮に行った(北朝鮮シンパの女性たちが、行ってみないかと誘われて、北朝鮮に渡航した模様)というのと状況は似ているのかもです。もっとも曽我ひとみさんは、脱走米兵であるジェンキンス氏と結婚したわけですが。男女カップル(アベック)の拉致ではなかった側面も大きかったのでしょう。

そのあたりは細かく議論する余裕はありませんので話を戻しますと、まあでも日本と北朝鮮が国交を締結すれば、これはかなりのビジネスチャンスじゃないですかね。聞いた話によると中国は対北朝鮮ビジネスで大儲けしているそうですから、日本がそれに参入すれば確実に金儲けができます。ていうか、そういうバーター取引で拉致被害者は日本に返ってきたんですから、それはある意味当然するべきことです。

あ、すみません。こういうことを書くと、なんで被害者の日本がそんなことしなくちゃいけないんだ、盗人に追い銭じゃんという人も多いでしょうし、それはそうだと私も思いますが、でも世の中そんな「正論(?)」が通用しないシチュエーションはいくらでもあるとだけ書いておきます。

それにしても、こういうわけのわからないことをほざく手合いがいて困りますよね。

拉致犯罪や国際テロを行い、国内で人権弾圧という言葉ではとても語れない収容所体制・密告体制を敷き、しかも麻薬から偽札まであらゆる犯罪に手を染めてきた国の大使館が、国交正常化したら治外法権の場として東京のど真ん中に置かれるのですよ。

いや、日本だって平壌に治外法権の場所を確保できるじゃないですか(笑)。また冷戦時の米ソだって国交はあったし、双方とも大使館を設置していました。北朝鮮には、拉致被害者とまではいわずとも、日本人妻、日本国籍保持者、何らかの事情で北朝鮮に滞在している日本人がいます。彼(女)らの身辺の保護と日本の権益を確保するには、国交の樹立と大使館設置は必須でしょう。

しかし国交はそう簡単に開かれないでしょうから、まずは利益代表部や連絡事務所の設置です。日中国交回復前の北京にだって日本の連絡事務所はあったし、米国とキューバだってそれがあったわけです。上の世迷言をほざいた人は、北朝鮮とかかわることはなにがなんでも絶対嫌だということなのでしょうが、そういうことをいっていても話は始まりません。たとえばこちらの佐藤優氏の記事などはどうでしょうか。

>ハバナ勤務の米国務省職員

 外交を断絶すると、「利益代表国」を指定する。外交がなくなった国と連絡を取る必要が生じた場合は、利益代表国を通じて行う。大東亜戦争中、米国における日本の利益代表国はスペインで、日本における米国の利益代表国はスイスだった。

 1980年代末、ソ連とイスラエルは外交関係を断絶していた。ソ連におけるイスラエルの利益代表国はオランダだった。オランダ大使館には、オランダ人外交官のパスポートを持ってイスラエルの外務省と秘密組織「ナティブ」(ヘブライ語で「道」の意味。ソ連・東欧からユダヤ人を秘密裏に出国させるための機関)の代表者が赴任していた。表面上、対立しているように見える国でも、裏では交渉のチャンネルを作っているという事例は多い。

 キューバに関しても、これがあてはまる。キューバにおける米国の利益代表国はスイスだ。ハバナのスイス大使館には100人以上の米政府職員(主に国務省)が勤務しているという。この話を筆者が初めて聞かされたのは、85年に外務省に入省し、情報調査局情報課で研修生をしていたときだ。先輩の課長補佐が、キューバ勤務から戻ったばかりで、「アメリカとキューバの関係は、外から見ているほど、悪くはないよ」と言って、スイス大使館の話を聞かせてくれた。外交の実態とはこういうことかと筆者は興奮した。

ちなみに上の記事での85年というのは、レーガン政権の時代であり、社会主義陣営に対して米国が強硬な立場だった時代であることも留意すべきです。またこの記事は、産経系のメディアでの発表です(笑)。

ところで、安倍が黙認か積極的に動いているかはともかく(たぶん前者?)、これ、上のようなことを主張した人たちはどう考えるんですかね。さすがに安倍に向かって怒るか、今までの態度の通例として、見て見ぬふりをするか。福島香織などは、17年に、二階幹事長の訪中について、それを容認した安倍については見て見ぬふりをして 幹事長ばかり批判するというめちゃくちゃな態度を示しましたが、安倍が中国首相を歓待して北海道へ同行したら、その件について一切ツイートすらしない始末(笑&呆れ)。こんなのどこがジャーナリストなのよ、単なる政治活動家じゃんと思いますが、福島は北朝鮮のことについては触れたがらないのかもですが、しかし右翼連中は、たぶん中国との関係改善より北朝鮮との関係改善のほうを怒るでしょうからね。公然と意見を表明するかはべつとしても、けっこう本気で不快感をもつかもですね。たとえば櫻井よしこは、このようなことをどれくらい我慢するのか? たぶん我慢するのでしょうが、いろいろ興味深いところです。

本日の記事は、inti-solさんの記事とbogus-simotukareさんの記事にヒントをいただきました。感謝を申し上げます。

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする