拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

愛シチュー/セロ弾きの左前

2023-10-01 10:03:59 | 言葉

ベランダのバジルが開花しました。これ1株だけ咲いたのは、多分、この株だけ摘心をしなかったからね。

植物と言えば、「らんまん」が終わりましたね。久しぶりにいい朝ドラだった。最後、万太郎がスエ子に「あいしちゅう」と言ってたけど、これって「愛のこもったシチューを食べたい」じゃないわよね。「愛してる」の土佐弁よね。ってことは、土佐弁では「てる」を「ちゅう」と言うのね。だから「草花がまっちゅう」も「草花がまってる」。でも、「ちゅう」になるのは語尾の「てる」で、語頭の「てる」はそうはならないわよね。「てるてる坊主」が「ちゅうちゅう坊主」にはなりませんよね。

「セロ弾きのゴーシュ」で書きそびれたことがあって。ゴーシュが弾く曲の中に「トロイメライ」って曲があってね、あたし、名前は知ってたんで例の友達に「ねえねえ、ゴーシュはね、ロマンチック・シューマンのトロイメライを弾いたのよ」と言ったら、もんのすごく馬鹿にした顔をして「トロイメライを書いたシューマンはロベルト」って言うの。「だって、『セロ弾きのゴーシュ』に『ロマンチック・シューマン』って書いてあったんだから」と言うと「それは、多分、なんかに外国語で『ロマン派のシューマン』てあったのを宮沢賢治が勘違いして全部人名だと思ったんだろう」って今度は宮沢賢治を敵に回してる。それにしても、音楽マニアってホントに音楽の話をするとき人を馬鹿にした顔をするわよね。だから、その彼、あたし以外に友達がいないんだわ。

でもね、「セロ弾きのゴーシュ」のことを書いたおかげで、詳しい人から面白い話を聴きました。「ゴーシュ」てフランス語で「左」って意味で、そこには「下手」って意味もあるんですって。なるほど!だからゴーシュはセロが下手なのね。なんで、「ゴーシュ」って名前なんだろう?と不思議だったけどガテンがいきました。因みにその話を例の友達にしたらね、「そっか、そう言えば『チェロ』を『セロ』って発音するのはフランス語っぽいなぁ。でも、フランス語で正確に言うと『セル』なんだけどな」なーんてことをごちゃごちゃ言ってた。

たしかに日本語でも右と左じゃ右の方が良くて左は悪い意味のことが多い。うまくいかないことを「左前」って言うしね。左利きの多くの子供は無理矢理右利きに直されるし。あたし、それで小中学校の体力測定の「ソフトボール投げ」が苦手だった。あたしって、もともと左利きなんだけど親に右利きに直されて、でも直されたって言っても生来の左利きがホントに直るはずがなくて。だからソフトボール投げも右手で投げたんだけど全然飛ばなかった。試しに左手で投げたら、右手のときと同じくらい飛んだわよ(左右で投げた距離の合計ならきっと一番よ)。今では、左利きの不便さは駅の改札を通るとき実感する。パスモを持つ手は自然と左手だから、改札でタッチするとき身体をよじるのよ(タッチパネルは右側)。改札で身体をよじってる人を見たら左利きと思ってまず間違いないわ。

って言ってずっと親をうらんできたんだけど、江夏豊投手っているじゃない。え?知らない?剛速球を投げてたのよ。その江夏さんがあたしの逆で、もともと右利きだったんだけど買ってもらったグローブが左利き用だったんでしかたなく左で投げたんですって。それであの球ですからね。親に文句を言ってた自分が恥ずかしくなりました。因みに、江川さんのことじゃないわよ。江川投手も剛速球でしたけど。

そんな具合にだいたい「右>左」なんだけど、律令時代では、右大臣より左大臣の方が偉かったんですって。不思議。「源氏物語」にも左大臣さんが出てくるわね。

そう言えば、競馬場は右回りの競馬場と左回りの競馬場があるけれど、人間が陸上競技で走るときは必ず左回り。別に左大臣が右大臣より上だから左回りというんじゃなくて、人間は身体の左に心臓があるんで左回りの方が走りやすいんだ、って聞いたことがあります。

因みに、さっき「愛シチュー」のことを書いたけど、「シチュー」っていつ頃日本に入ってきたのかしら、と思ってググったら、「1871年の洋食店のちらしに『シチウ』の記述がある」ですって(Wikipedia情報)。あら、だったら、万太郎の「あいしちゅう」が「愛のあるシチュー」である可能性は、時代考証の点からは棄てきれないわね。

 



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