アウトドアな日常

インドアからアウトドアへのススメ

川の記憶

2010年04月16日 | 読書日記 その8
「川は静かに流れ」  ジョン・ハート著  早川書房

「殺人事件の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていたのは自分を勘当した父、不機嫌な昔の恋人、そして新たなる殺人事件だった」(裏表紙より)

ミステリー調ですが、家族の再生をテーマに物語は進んでいきます。
外国作品の訳というのはどうも苦手ですが、この作品はすらすらと読めてしまいます。
読了感は良いです。(長い作品ですが・・)

まえがきで著者はこのように記しています。
「家族崩壊は、豊かな文学を生む土壌であると、わたしは折にふれ発言してきたが、心からそう思う。この肥沃な土壌は、秘密や犯罪という種を蒔いて緊迫感あふれる物語にまで育てるのにうってつけの場所だ。裏切りがもたらす傷は深く、悲しみはいつまでの消えず、記憶は永遠に残る。作家にとってまさに天からの恵み以外の何ものでもない」

まさにまえがき通りの作品です。
river作品といえば、映画「ミスティック・リバー」を思い出します。
この映画は救いようのない終わり方をしますが、どちらも幼少期の悲惨な記憶というものが、その後の人生に影響を与えています。

川は記憶を留めるのか、それとも流れ去ってゆくのか、それでも一本の川となって僕達の人生に大きな影響を及ぼす。

この本の原題は「Down River」、悠久の流れは僕達の心を癒してくれるのかもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする