アウトドアな日常

インドアからアウトドアへのススメ

恐れ

2009年05月31日 | 読書日記 その6
「木」 幸田文著 新潮社

「材のいのち」という随筆には、斑鳩の宮大工の棟梁の話が綴っています。

「大工さんの木は立木ではない。立木としての生命を終わったあとの材をさす。」(本文より)

「若い大工さん仲間には、<刃物を入れたらご命日>という笑い言葉がある。
間違って切ったが最後、もう処置なしだということである。
こんな場面に出逢うと、棟梁さんたちはニコニコしながらドンと肩をたたいてやって、おじけるな、しくじれば後始末は俺がしてやる、という」
「楢二郎さんは、未熟な若い人たちのこの恐れを、金額の損失におびえるだけではないと断定する。
大材に気敗け、位敗けするのだし、そこへ切るという決定的な作業が加わるのだから、並の感覚をもつ若者なら、恐れを生ずるのが当然だ、という。
大材には何百年の年数をかけた、それだけの威容というものが具わっている。だが、ただ若い大工を圧迫しているのではない。圧迫を与えると同時に、彼の胆力気力を育ててやっている。
これは見逃せない大切な点だ、と説く。
その証拠に、一度大材を扱った若者は、ぐんと精神安定してくるそうである。」(本文より)

「寿命を使い尽くして死んだ木の姿は、生きている木にはない、また別の貴さ、安らぎがあって、楢二郎さんはたまらなく心惹かれるという。
・・生きても死んでも、木は立派だ、知っておいてもらいたいし、一度それをみておけば、きっとあなたのなにかの役に立つと思う、という。」(本文より)

この本も、木を原料にしているわけだし、文字という生命を吹き込んで、ここに存在する。
恐れを感じることができれば、より多くの息吹を、その本から感じとることができるのではないだろうか。

季節が巡るような、何度も何度も読み返したい随筆郡である。


コメント (2)
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坂本竜鹿

2009年05月30日 | 絵 その8
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「今の日本は、見ちゃおれんぜよ」


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人生は楽ガキ(落書き)だあ! 53

2009年05月29日 | 絵 その8
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FMの深夜放送を聴いていたら、尾崎豊の歌が流れてきました。

MCは、世間という中で、「僕が僕であるために」悩んでいたんだろうね、という主旨のコメントをしていました。

尾崎(「呼び捨て」という敬称)の歌はたまに聴いたりしますが、知らぬ間に、がさつな人間になってしまうんだなあと我を振り返ります。


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2009年05月28日 | 読書日記 その6
「ずっと使いたい、和の生活道具」  藍野裕之著

和の道具が好きだったりします。
ひとつずつ増やしていきたいと、思っていますが、その前に減らせるものは減らさないといけません。^^



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刑罰

2009年05月27日 | 読書日記 その6
「拷問と刑罰の歴史」 河出書房新社

死刑というのは、殆どの先進国では廃止されています。
死刑というのを、勉強すればするほど廃止に賛成するといわれていますが、確かにこの本を読んでいると死刑の残虐性がよくわかります。

日本では殺人事件そのものは減っていますが、最近の無差別な殺人事件を検証してみると、死刑(自殺)になりたいがために、あかの他人を巻き込む事件が何件かありました。

死刑というのもに抑止効果はない、と言わざるをえない事件ですが、日本ではもっとこうした議論は必要なのかもしれません。

新型インフルエンザにしても、不幸にも感染した人が差別を受けているというニュースをちらっと見ましたが、日本には今尚、排除思想というものが残っているのだろうか。

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