「サピエンス全史(文明の構造と人類の幸福) 上」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読む
・人類が初めて姿を現したのは、約250万年前の東アフリカで、約200万年前、この太古の人類の一部が北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの広範囲に進出して住み着いた。
・ヒトは卓越した視野と勤勉な手を獲得する代償として、腰痛、肩こりに苦しむことになる。女性の代償は酷く、直立歩行するには腰回りを細める必要があったので、産道が狭くなった。
それによって、お産の時に女性は命の危険にさらされるようになる。
頭の小さな赤ん坊が早い段階で出産した方が女性が無事に行き長らえることができるので、自然選択によって早期の出産が優遇される。
しかし、生命の維持に必要なシステムの多くが未発達になり、何年にもわたって年長者を頼りにしなくてはならなくなるが、教育によって、キリスト教にも仏教にも、資本主義にも社会主義にも、戦争を好むもの平和を好むものにも育てることができる。
進化は強い社会的絆を結べるものを優遇した。
・人類が頂点への道のりにおける重大な一歩は、火を手懐けることだった。一部の人類種は80年万前には火を使っていたかもしれない。約30年前には、ホモ・エレクトス、ネアンデルタール人、ホモ・サピエンスの祖先は日常的に火を扱っていた。
・サピエンスの成功の秘訣はなんだったのか?今なを議論は尽きないが、最も有力なその答えは、議論をすることが言語のおかげではないだろうか。
・人はなぜ肥満に陥るのか?多くの生き物に食べ尽くされる前に、食べられるだけ食べるというのが理にかなった答え。そうした本能はDNAに刻み込まれているのだ。
・平均的なサピエンスの脳の大きさは、狩猟採集時代以降、縮小しているという証拠がある。狩猟最終時代には、生き延びるための素晴らしい能力があったのだ。
・古代の狩猟採集民は、感染症の被害が少なかった。その理由は、家畜(感染症の多くは家畜から)が少なかったから。
・多くの学者は古代の狩猟採集民は、一般にアニミズムを信じていた傾向がある。アニミズム(魂や霊を表す「アニマ」というラテン語に由来する)とは、ほぼあらゆる場所や植物にあり、自然現象には意識と感情、人間と直接思いを通わせられるという信念。
・1万年ほど前に全てが変わった。いくつかの動植物種を操作することで、全ての時間と労力を傾けた。一日中、種子を蒔き、青々とした草原に羊を放ち、より多くの果実、穀物、肉を手に入れた。すなわち人間の生活の革命、農業革命だ。
・歴史の数少ない鉄則の中に、贅沢品が必需品となり新たな義務が生じさせるというものがある。それに慣れてしまうと当たり前となり頼り始める。果たしてそれは前よりもゆとりのある生活だろうか。
・野生の鶏の寿命は7〜12年くらいで、牛は20〜25年ほど。それとは対照的に家畜された鶏、牛の寿命は数週間から数ヶ月で殺される。経済の視点からいうと、それが最適だからだ。
・農業革命のせいで、未来が重要になった。農耕民は未来を念頭に入れて、未来のために働くようになった。
・農耕のストレスは、広範な影響を及ぼす。それが大規模な政治体制や社会体制の土台となった。至る所で支配者、エリート層が台頭し、余剰食料で暮らす。その反面、農耕民は精一杯の生活に甘んじる。こうして没収された余剰の食料が、政治、芸術、哲学の原動力となる。近代後期まで、人類の9割以上は農耕民で一日中、額に汗して働いた。