アウトドアな日常

インドアからアウトドアへのススメ

誤解される人たち

2008年11月28日 | 読書日記 その5
『途方に暮れて、人生論』 保坂和志著 草思社

以前にも書きましたが、小林秀雄の演説のテープの中に、誤解されない人間は毒にも薬にもならない、というセリフがあったと書きました。

誤解されない人とは、極悪人か、よほどの善良な人たちなのだろう。
誤解されているということは、裏を返せば自分に後ろめたいことはないということで、なんら恥じることはないということで、大いに誤解をされてもいいのではないかと考える。

しかし、誤解されている人たちは、大いに悩み苦しみを抱えた生活を強いられる。
そんな人たちに著者は語りかける。(たぶん)

「とにかく、今はおかしな時代なんだから生きにくいと感じない方がおかしい。生きにくいと感じている人の方が本当は人間として幸福なはずで、その人たちがへこんでしまわないように、私は自分に似たその人たちのために書いた。」(あとがきより)

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旅の宿

2008年11月26日 | 読書日記 その5
『旅の民俗学』 宮本常一著 河出書房新社

宮本常一がよく歩いたのは戦時中だったといいます。
当時は民家に泊まらせてくれる人たちも多く、断られたのは2~3回だったそうです。

芭蕉の旅も歌仲間が世話をしてくれたりしたそうですから、現代では考えられない旅のスタイルなのでしょうね。
現代ほど情報がまん延していない社会でしたから、旅人を迎える方も、ある意味、新鮮な情報が得られるわけですから、むしろ歓迎されたりすることもあったのかもしれません。

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小津映画

2008年11月25日 | 絵 その6
081125
小津映画を見出してから、10年も経っていませんが、不思議と何度もみたいなと思わせます。
(といっても、まだ4~5作品しか観ていません・・)

その独特の世界観は、山田太一氏のエッセイに書かれてありましたが、不必要なものは徹底的に排除し、自分が描きたいものに確信を得たら、それに必要なもの以外は目もくれない。

僕が小津映画を観て思うことは、ホコリが映っていない映像と答えるであろうか。
だから電化製品のように劣化することもなく、いつになってもファンがいて飽きられることがない。

新しい技術があっても、それに頼らず、生身の人間のドラマを紡ぎ出す。
これが小津映画の魅力なのだろう。

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紅葉

2008年11月23日 | 風景 その2
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中間色の美なのか、
それとも多様性の美なのか、あおく繁っていた葉たちは、数々の色に変化して森を明るくする。

山々は眼下にあっても大きく魅せる。

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飛び出る本 永井荷風

2008年11月23日 | 読書日記 その4
081123
坂口安吾は永井荷風を嫌っていたそうです。
文章でも残っていますが、飄々と生きた荷風と切実に生きた安吾とでは、相容れないものがあったのかもしれません。
似たような作風の小説を、お互いに残しているそうで、川本三郎氏は安吾が長生きしていたら荷風のようになったのではないかと記しています。

散歩好きの荷風は「日和下駄」という作品で東京のノスタルジーを描いていますが、同じく散歩好きの植草甚一はノスタルジーを追い求めることはしなかった。
この辺が面白いですね。

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