アウトドアな日常

インドアからアウトドアへのススメ

不審者

2023年01月17日 | 日記・エッセイ・コラム

ニュース記事を読んでいたら、不審者というのは日本独特の表現という指摘をしていた人がいました。(その時点で何か犯罪をしているわけでもないという意味で)日本らしいなと思います。

昔の雑誌を見ていたら、冒険家 故植村直己さんの講演の内容が載っていたのを読み返してみました。

日本縦断3000キロを行った時に、北海道で空き巣の疑いを持たれ、警察に連行されたことがあったそうです。本人は徒歩での縦断だったので警察車両には乗りたくなかったのですが、連行されたそうです。

「あの人に間違いない」という人がいたそうですが、植村さんの持ち物は替えのパンツ一枚と3万円ほどの現金のみだったそうです。

身元を保証してもらうために、雑誌のカメラマンに連絡を取り、身元を保証してもらったそうです。その際に指紋と靴形を取られたそうです。

心理学用語で「投影(projection)」というのがあります。(自己のとある衝動や資質を認めたくないとき、自分自身を守るためそれを認める代わりに、他の人間にその悪い面を押し付けてしまうような心の働きをいう。wikipediaより)

パワハラ、モラハラ、無視、受動攻撃、いじめ、陰口、万引き、ネットで叩き、煽り運転などは、投影という形で、他者に向かってしまうのであろう。

不審者というのもその一つで、どこかで敵対する誰かを見つけてリンチをする。劣等感や無価値感が、こうしたことの裏返しで他者攻撃へと向かう。

もし誰かの嫌がれせを受けたとき、その誰かの劣等感や無価値感を理解してあげることが、嫌がらせを受け流すのに効果がありそうです。

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「知性が脆弱な人々は、陰気な迷信に動かされ、そして考え方が自分たちと異なる人間を犯罪者に仕立ててしまう」(寛容論 ヴォルテール)

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2023年01月12日 | 本と雑誌 その2

「葉っぱはなぜこんな形なのか?(植物の生きる戦略と森の生態系を考える)」(林将之著)を読む

著者は学生時代から葉に関する研究を続け、出版社に持ち込むも出版には至らず、逆に「うちで働かないか?」と言われ働きます。(現在はフリー)

何年かした後に出版されることになり、版を重ね累計10万部以上のベストセラーになっているそうです。

熊に関する記述があり、環境省の統計データによれば、2009年〜2018年ヒグマ、ツキノワグマによる人身事故による死亡者数は19人、10年間で熊を捕殺した数は約2万9000頭だそうです。(毎年1〜3割のクマが殺されている計算)

九州では、1957年に絶滅し、四国では現在50頭ほどしかおらず、絶滅の危機に瀕しているそうです。

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↓ 写真家 故星野道夫氏談

「クマと出会ったらどうしたらいいかというのは、僕にも正しい答えは分からないとおもうのだけれど、ぼく自身の経験では、よく死んだふりをしたらいいというでしょう?それはやはり正しいと思う。死んだふりというのは、自分の気持ちを落ちつかせるということで、とっても難しいことかもしれないけど、例えば、犬も、犬を嫌いな人間をすぐみわけるでしょう。犬は瞬間に察知する。相手の気持ちが分かる。つまり、犬の嫌いな人間が緊張するという気持ちを犬は察知します」

「クマは人間がすごくこわいからその時にクマは二つの判断を選ばなくてはならない。一つは怖いから逃げる、もう一つは怖いから襲う。その時にやっぱりこちたが落ち着いていたら、そういう気持ちを少し察知するような気がします」

「ぼくの友達でクマの研究者がいて、彼と一緒に山を歩いていた時に草むらからクマが突然出てきて、その時、ぼくはびっくりしたのだけど、友達はクマに話しかけていました。「大丈夫だから、僕たちは何もしないから、早くいきなさい」って、それを見た時、クマは聞いているような感じでした」

「ぼくたちはよく、「獰猛な動物」という言い方をしますが、獰猛な動物というのは存在しないとぼくは思います。みんなやっぱり何かを食べて生きているわけで、ぼくたちの持っている獰猛な動物と言うイメージは人間が勝手に作り上げたもので、そういう風に見て行くと、クマはちっとも獰猛でないと思います」

「キャンプをしていると、夜もクマのことが気にかかります。どこかにクマがいる−−と。でももしアラスカにクマがいなかったら、それはとてもつまらない自然になってしまう。クマがいるかもしれないから、心配をしなくてはならないし、ちょっと危険かもしれない。でも、自然に対して怖いなあ、と思うということが、実は大切な気持ちなんだということをいつも感じています」

星野さんは、アラスカの仲間たちから「危険だから銃は保持しろ」と再三助言されていたそうですが、頑なに断っていたそうです。星野さんの最期はクマに襲われてのことでしたが(詳しい事情は割愛)、自分自身もまた自然の一部だと感じていたのかもしれません。

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野生動物の警戒心

2023年01月09日 | アウトドアエッセイ その2

「動物たちの内なる生活(森林管理官が聴いた野生の声)」からの抜粋となります。

野生動物に恐怖を植えつけてきたのは、狩猟という行為だそうです。

「ヴェルト誌が2010年に報じているように、恐怖を骨の髄に至るのみならず、遺伝子にまで達するのだ。

ミュンヘンのマックス・プランク精神医学研究所が、精神的外傷(トラウマ)を受けるほどの経験をすると、特定の分子(メテル基)が遺伝子に付加されることを見出した。その分子はスイッチのように働き、遺伝子の働きを変化させるという。

研究所はマウスの実験を通じて、それにより行動の変化が一生涯にわたって持続する可能性を示した。

言い換えれば、身体的な特徴だけでなく経験も遺伝子的なコードによって受け継がれるというのだ。

さて近しいものがひどい怪我を負ったり死んだりすること以外に、トラウマを与えられる経験などはあり得ない。

私たちの周囲で生きる動物たちの多くが、精神的外傷を負っているのだと思うと、辛い気持ちになる」(198頁)

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ニホンジカを山で見かけると、一目散に逃げます。どこからともなくニホンジカの警戒声が聞こえることがあります。人間をひどく恐れています。そういったことが遺伝子レベルで組み込まれているのだろう。

逆に幸福感を与えられ感じられるようになれば、遺伝子もまた変わってくるのかもしれません。

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鳥たちの旅

2023年01月06日 | 本と雑誌 その2

「鳥たちの旅(渡り鳥たちの衛生追跡)」(樋口広芳著)を読む

渡り鳥は何を目標に的確に目的地へ向かうのか?星の位置や地場、その他色々とあるそうですが、はっきりとしたことは不明という。

渡る目的は、食料であるそうです。

サンコウチョウは激減しているそうですが、その原因は熱帯雨林の減少と著者は推測しています。

渡り鳥である限り、人間による自然破壊は命にかかわりますが、渡り鳥の生態を知ることによって、人間がどのような態度をとるかを選択しないといけないのだろう。

私は、ある年の10月に沖縄南西諸島の島を歩いて旅行したことがあります。その時にツバメを目にすることがあり、なんとも不思議な気持ちと懐かしさが混在した思いをしました。

春にツバメがやってきて、いつしか自然に目にすることがなくなり、旅立ったことも忘れてしまう。その鈍感さを10月のツバメが私に突き付けた。

長い命がけの旅を終え、いつも外敵からの攻撃に警戒しながらも、大空を舞うツバメは、生きることの一点だけを見つめて飛んでいるのだろう。

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あなたの中の動物たち

2023年01月02日 | 本と雑誌 その2

「あなたの中の動物たち(ようこそ比較認知科学の世界へ)」(渡辺茂著)を読む

本書の目的は、「なにが人の特徴なのか、なにが動物のどのような能力から進化してきたのか?人の動物の脳の違いについて」(22頁)

別の機能では、人間よりも動物の方が優れている場合がある。生き物たちによって心があり、それぞれが進化をたどる。よってその動物の能力は人間に喩えると何歳ですか?という質問は成り立たない。

ハイイロホシガラスは、秋に3万3000回もの餌の貯蔵をする。コガラは隠した餌を2〜3ヶ月で回収する。

ゾウは自分の鳴き声(コンタクトコール)を100個以上持つ。

動物実験でも憶えた直後に睡眠をとると、記憶が保持される。それは他の記憶が上書きされないから。

忘れるという機能も、大事な記憶を憶えていくには必要。実験によって教えることも可能。(43頁)

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人はどうしても他の生き物を見ると擬人化してしまいがちです。鳥は人よりもはるかに視力がよく、餌の隠し場所の記憶力は格別です。

それぞれの生き物は、別個に心の進化をしてきました。擬人化することによって見えるものも見えなくなってしまいます。

人と他の生き物たちとの大きな違いは、記憶を言語に交換して、それを再生するのはヒトしかできないそうです。それは言語が複雑だからそうです。(本書より)

人と動物、この違いがわかれば、人の特性が見えてきます。それはより良く生きるための助走ではないだろうか。

だから動物(自然)は、人にとっても最も大事な相棒だと思うのだ。

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