アウトドアな日常

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パイオニア

2010年04月11日 | 読書日記 その8
「おもかげ 松本清張 北大路魯山人」  阿井景子著  文藝春秋

ふたりの担当になった編集者としての目を通した記述です。

魯山人は、不義の子として生まれ、その生い立ちは人格形成にも表れていたのではと思わせます。
五回も結婚をくり返し、女中にも手が早かったといいます。
それは恵まれない幼少期を何かで埋め合わそうとしているかのようです。
ただ美に関しての感性は、もって生まれたものなのか一貫しています。
(人間国宝を辞退したのもその一端)

松本清張は、うってかわって魯山人とは対照的な人格です。
有名になるまでの御苦労がそうした人格を形成したいったということでしょうか。

どちらもパイオニア的な仕事を貫き、人には歴史があるのだなあと思わせます。
亡くなってからも尚、評価され後生の人たちに喜ばれる、それは作家としても本望ともいえることだろう。

そして、このような人たちの担当となり、かわいがられてきた著者のことも忘れてはならぬことなのかもしれません。
「魯山人はいとも簡単に許可した。勇を鼓舞して申し出た私はほっとする。魯山人が人々のいうわからず屋ではなかったからである。私は、世間の噂が如何にあてにならぬか痛感した。人々は魯山人を畏怖するだけで、ぶつかろうとしない。魯山人が苛立ち立腹するのは、彼等が唯辻褄をあわせ、誠実な優しさ・細やかさを持ち合わせていないからだと・・・・。」(本文より)


コメント
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