暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「おんな城主・直虎」ゆかりの地を訪ねて・・・井伊谷(1日目)

2017年11月10日 | 
           
              「おんな城主 直虎」のポスター

           
            龍潭寺(りょうたんじ)庭園・・・・小堀遠州作


5月頃からNHK大河ドラマ「おんな城主・直虎」にどっぷりはまっています。
静岡在住の大学時代の友人MさんとAさんを誘い、ツレと4人で「おんな城主・直虎」ゆかりの地を訪ねる旅へ出かけました。

10月14日(土)の早朝、新幹線に乗り、新横浜から浜松を目指しました。
天気予報では2日とも雨とのことだったので、浜松駅前でレンタカーを借りました。
主なコースは、
1日目(曇り)浜松駅~方広寺(ほうこうじ)~龍ヶ岩洞(りゅうがしどう)~井伊谷宮(いいのやぐう)~龍潭寺(りょうたんじ)~気賀関所・大河ドラマ館~鰻の名店で夕食~宿(奥浜名湖のホテル)

2日目(小雨) 宿~井伊共保公生誕の井戸~二俣城址~清瀧寺・信康廟~浜松城~浜松駅構内餃子の店・石松~解散


最初に訪れた方広寺は臨済宗方広寺派の大本山、井伊直政(万千代)の母(しの)の一族・奥山氏ゆかりの名刹です。
友人たちのお勧めで方広寺の精進料理を昼食に頂きました。
鰻のかば焼きが見た目も味もそっくりにできていて、材料は豆腐、蓮根、海苔だそうです。


   方広寺・・・広大荘厳で、見所がいっぱいでした




 鰻のかば焼き・・・もちろん本物ではなく「もどき料理」です

龍ヶ岩洞(りゅうがしどう)という鍾乳洞へ寄ったのですが、歩きやすく、美しい滝や芸術的な鍾乳石のある洞窟探検を楽しみました。


        龍ヶ岩洞の大滝


 龍ヶ岩洞の前に建てられた「竜宮小僧伝説」の碑



龍ヶ岩洞の入り口近くに「竜宮小僧伝説」の碑と泉(レプリカ?)がありました。
ドラマではおんな城主・直虎は竜宮小僧の化身とも言われているので興味深く、ここに記しておきます。
久留女木の棚田はドラマでは隠し里のシーンにたびたび登場している美しい棚田です。

久留女木(くるめぎ)の棚田
  竜宮小僧伝説

昔、久留女木の川に竜宮まで通じていると言われた淵がありました。
そこから小僧が出てきて村人と仲良くなり、いろいろな仕事を手伝ってくれるようになったそうです。
   
ある日、村人が感謝をこめて食事に招きました。ところが、うっかりして小僧には毒となる「たで汁」を出し死なせてしまいました。
悲しんだ村人が丁寧に小僧をここに葬ったところ、こんこんと湧き水が出て来ました。
以来「竜宮小僧がこの水を竜宮から送ってくれている」と言われています。
村人はその水を利用してたくさんの田んぼを作りました。それが久留女木の棚田であるという。

自ら名乗ることなく、困っている人には誰にでも手を差し伸べ、見返りを求めず、
死してなお棚田の水源となり、今も村に恩恵を与えてくれる竜宮小僧に、村人たちは感謝の気持ちを込め、
田植えや稲刈りの後には供物をして手を合わせている。
                                   久留女木「竜宮小僧の会」による

   

ドラマでは離れているように思えたのですが、実際に訪れてみると、井伊谷宮と龍潭寺は隣り合わせで、井伊谷宮では縁起が良いことに結婚式に遭遇しました。
雅楽の演奏者、神主、新郎新婦が続いて神殿に入って行き、遭遇した私たちもおめでたい気分になりました。


 久しぶりに雅楽の演奏に耳を傾けました


「井伊谷宮家門繁栄守護」と書かれた花火の筒の護符

井伊谷宮から裏道を通り、井伊家の墓地、井伊谷三人衆の近藤康用や菅沼忠久の墓に詣でてから、龍潭寺本堂へ。
小堀遠州作の庭園は国指定の名勝で、たくさんの人々が縁側に座って静かに庭園と対話しています。


右から22代直盛夫人(直虎の母)、井伊直虎、23代井伊直親、直親夫人の墓


 庭園の説明を聞きながら、しばし静かな時を過ごします・・・


復元された気賀関所と大河ドラマ館を見て、今宵の宿へ。
明日は天竜二俣の二俣城址、清瀧寺・信康廟、浜松城をまわります。(つづく)

   
     「おんな城主・直虎」ゆかりの地を訪ねて・・・(2日目)へつづく

         

茶友の古希をお祝いして・・・・その3(最終)

2017年11月04日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)
              

(つづき)
御茶一服差し上げたく・・・とご案内の手紙に書きますように、いつも濃茶に気合を入れます。

茶道口で茶碗を置いて座し、閑かに緊張感を感じつつ後入りを待つ瞬間・・・一番好きな時間かもしれません。
やがて襖を開け、茶碗を持って点前座に進みます。
心地好い緊張感を保ちながら帛紗を捌き、茶入、茶杓を清め、茶碗を浄めながら、自身の塵芥も浄めたいと・・・。
黒楽茶碗に凡鳥棗から茶を入れ、湯を汲むと、茶香がぷう~んと立ちのぼり、一心に茶を練りました。

              
                      凡鳥棗と伊藤庸庵の箱書

「お服加減いかがでしょうか?」
「大変美味しゅうございます」 (それまでの張りつめた気持ちがほっとして緩んでいきます)
濃茶は皆さまの長寿を願って「延年の昔」、星野園詰です。
黒楽茶碗は一入造、藪内七代・桂隠斎竹翁の銘「不老門」です。
中国・洛陽にあり、この門をくぐると老いることがないと言われている「不老門」。
KさまはじめAさま、Hさま、Yさまにこれからも元気に楽しくお茶を続けていってほしい・・・・と願っています。 

湯相も火相もほど好く、お正客から声が掛かりました。
「どうぞこのままで薄茶をいただきとうございます」
「それでは続いて薄茶を差し上げます」
皆さまといろいろなお話をしながら薄茶タイムが和やかに続きました。
薄茶器は西中千人(ゆきと)造のガラス茶器・銘「暁」、薄茶は金輪(小山園)です。
薄茶の茶碗は、お気に入りの御本三島とおめでたい祥瑞です。 

               
                 干菓子の「白鶴」と「千代結び」・・・佐藤愛真製  干菓子盆は大内塗です

最後に茶杓のことを書いておきます。
煤竹の茶杓は、大徳寺・寛道師の銘にて「紅葉狩」、安定性が良く掬い易い茶杓です。

当初、別の茶杓を使う予定でしたが、茶事の1週間前に愛媛県・宇和島市に住むSさんから電話がありました。
「思うところがあってお茶から離れることにしました。
 茶道具を全部整理したのですが、貴女に使って頂けたら・・・といくつか送りました。何かの折に使って頂けたらとても嬉しいです。」
送られてきた茶道具は、Sさんとお茶の先生をしてらした亡き母上が茶会や茶事の折に一つまた一つと購入し、大切に使われていたものでした。
お祝いの茶事に間に合うように贈ってくださった気がして、茶杓「紅葉狩」を有難く使わせていただきました。
・・・と言うわけで、今回の茶事はいろいろな方のサポートやご縁が力強く後押ししてくださいました。 


                              
 
今、古希をお祝いする茶事が無事終了して心から安堵しています・・・・。
この度も半東Fさんと懐石・佐藤愛真さんのお二人が強力なサポートをしてくださったので
茶席のお客様のおもてなしに集中することが出来、この場をお借りして感謝申し上げます。
ありがとうございました!


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