暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

前田酒店お別れ茶会

2011年01月17日 | 茶会・香席
渋谷にある前田酒店が1月で閉店することになり、
そのお別れの茶会へおじゃましました。
店主はインターネットの真ML茶の湯コミュニティのお仲間ですが
まだお会いしたことはありませんでした。

2年前渋谷店を開店した時から一度伺いたいと思いながら
今まで足を向けなかったことが悔やまれました。
せめて最後の席へ馳せ参じて枯れ木も花の賑いになれば・・・
と申し込みました。

客五名で2時間半の茶会ということでしたので、
不調法な私では役不足と思い、お酒大好きな茶友のIさんを誘いました。

店はすぐにわかりましたが、四畳半(京畳)の茶室で占められていて
酒屋さんの奥に茶室があるらしい・・・という私の想像とは大違いでした。
客5名が集まり、お正客はBさん、席順もスムースに決まりました。
床、花、炉、釜、煙草盆を拝見すると、お詰さんが白湯を用意してくれました。

間合い好く襖が開いてご亭主が現れ、挨拶を交わしました。
床のお軸は表千家即中斎筆で、ご亭主の心を表しているようでした。
 年々歳々花相似 (ねんねんさいさい はなあいにたり)
 歳々年々人不同 (さいさいねんねん ひとおなじからず)
 (ねんねんさいさい時は流れても花は同じように毎年美しく咲くけれど
  さいさいねんねん時が移ろえば人は変わり同じではないのだ ) 

しみ竹の一重切に赤い椿が生けられています。
黄瀬戸の深向に入った甘酒がだされました。

                 

初炭手前が始まりました。
大西浄本(八代)造の雲龍文様の釜、ご自作の備前平鉢の灰器が目を愉しませ、
南山焼の鶉香合は大きさといい、繊細な羽根の色模様といい、ご亭主にぴったりでした。

このあとすぐに濃茶になるので、お詰さん(同門?)が炭の置き方を心配しています。
でもご亭主は
「大丈夫でしょう。煮えがつくまでいろいろ用意してありますので・・」
と泰然自若です。
・・・確かに、それからが大変でした。

順不同ですが、甘酒、栗羊羹、あんことみたらしの団子、花びら餅、
それから三種の干菓子で、計8種類の菓子のおもてなしを受けました。
お酒は越乃寒梅ともう一種がだされ、茶友Iさんの幸せそうなこと。

ちょうど湯相も良く、六人で炉を囲みながら頂戴した濃茶のなんと美味しかったことか。
濃すぎず薄すぎず、アツアツの濃茶を一入造の黒楽で堪能しました。

「今までのお客様に褒めて頂くのは道具ばかりでして・・・」
「とんでもございません。久しぶりにアツアツの濃茶を美味しく頂戴しました」
続き薄茶で頂いた薄茶も美味しく、二服めはおもあいでした。

イヌワシの羽根と勇壮なモンゴルの鷹匠の話、
水は千葉県の酒の仕込み水で横井戸から汲んできたとか、
越乃寒梅を飲んだあとのもったり感は好い酒だけが持つ味わいだとか、
はじめて茶会に参加した合気道のお仲間の感想など
素晴らしい茶道具とともに席中で飛び交ったお話が興味深く、楽しい茶会でした。

アッという間の2時間半でした。
お心こもるおもてなしの数々に深く感謝申し上げます。ありがとうございました!
前田酒店さまが年々歳々素敵な花を咲かせてくださるよう、祈念しております。
またご縁がありますように。

                                

      写真は上から、「散歩道の梅の木」
                「赤い椿」 (我が家の置き床です)            

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