・・・こうして「野月の飯後の茶事」が終了しました。
実は今まで、茶室の様子が分からず、水屋であれこれ心配していたのですが、この状況にも慣れてきて、亭主と半東に安心してお任せできるようになりました。何かハプニングがあっても二人で力を合わせて対処してくださるだろう・・・と。
茶事後にお客さまから届いたメールで、お客さまが存分に楽しんでくださったこと、AYさんの一生懸命のおもてなしを詳しく知ることが出来て、とても嬉しく思っています。
ご亭主にも礼状が届いていると思いますが、EKさまと小梶由香さまから頂いたメールを茶事の記念として記します。
EKさまから
まだまだ暑い日が続きますが、ビルの谷間にも夕方には涼しい風が吹いております。昨日は帰りの月も美しく、今も昨日の楽しかったお茶事に気持ちが残ったままです。
昨日(10月10日)はAYさんの初茶事にご招待いただき、本当にありがとうございました。彼女も初めての茶事ですから緊張して上がってしまうのは当然ですが、全体的にものすごく水準が高くて感激しました。まだ暁庵先生のところに入門して2年も経ってないのに、AYさんの茶人としての魂の萌芽がはっきりと見えました。これも先生のご薫陶のおかげと感謝しております。
茶事の中でも花や灯火、路地の様子、お道具類、特にあの小棗に合わせた野月のテーマに沿った秋の設えは、これからもずっと心に残ることでしょう。
AYさんが自分の足で探し、選んだお道具やお菓子、お酒、お花など、今までの道具なんて全く興味なかったAYさんの変貌ぶりにびっくりしました。
いろいろと相談はされましたが、彼女なりの考えでなにもかも自分の足で探し、作家や骨董屋さんと話しながら購入しておられます。いつの間にこんなに道具のセンスが培われたのかなと。お道具類も実物を手にとり、話をうかがって、すごいすごい!と・・・。
先生も彼女の意気を感じて総力を挙げて協力してくださったんだなあと嬉しくて・・・。おかげさまで私たち客は経験したことのないお茶事を心ゆくまで楽しむことができました。
特に灯火に浮かぶお茶室の雰囲気は特別でした。まさに虫すだき、遠くから管弦の音が風に乗って渡ってくる、武蔵野の風景。忘れられません。
また小梶由香さんもとても美味しい点心を作ってくれましたし、量もぴったりでした。
お菓子もAYさんらしく全国から美味しいものを集め、濃茶もまったりと美味しかったです。HMさんが薄茶点前を引き受けてくださったので、AYさんとも余裕を持ってお話ができ、お道具の話もゆっくりと聞けたのも有難かったです。
また社中の方がリンドウの花を届けてくださるなんて、なんて彼女は多くの方に応援されているのだろうと本当に嬉しく、彼女の来し方行く末を鑑みては胸がいっぱいになりました。
飯後の茶事も初めてでしたが、いろいろな可能性のある面白い茶事だなと感心しました。AYさんだけでなく、私もともに成長させていただいて、感謝でいっぱいです。またお目にかかる機会があることを楽しみにしております。 EKより
小梶由香さまより
昨日は野月の飯後の茶事での懐石依頼、またお招きをいただきありがとうございました。
AYさんの一生懸命な姿は清々しく、お花、「白珪尚可磨」のお軸(先生の親心を感じました)、茶椀、そして見事な細工の香合や茶入など集められたお道具に、AYさんの初めての茶事へのお気持ちが感じられて、何か熱いものが込み上げてきました。
そして中立後に入った茶室の素晴らしかったこと! 初めて経験するゆらめく灯火の下でいただくお点前や濃茶は格別なものでした。
手燭の下で拝見するお道具、時折聞こえる虫の音、相席の皆さまとの会話・・・何もかも初めて尽くしのひととき、忘れられないお席となりました。
茶事から三日経っても、まだあの日の感動が忘れられません。瞼を閉じると、灯火ゆらめく光景が映ります。
もう一つ、お詰めのTKさまと待合でお話ししていた時に、「茶事は失礼があってはいけないので、手順などとても緊張します」と言いましたら、「いやいや、茶事はいままでの稽古の集大成として、楽しまなければ・・・」との言葉をいただき、ハッとしたことが、とても印象に残っています。
本当にいろいろありがとうございました。
そんなお席に、花を添える点心ができたかどうか・・・。
栗ごはん、あとひと塩加えたかったです。量的にはちょうど良い感じかと思いました。吸い物椀を出すタイミングをもう少し早く向付をお出しして、すぐ次に運んだほうが、ご飯ものが食べやすいのではと感じました。
作るひと、食べるひとのどちらも同時に経験するというまたとない機会は気づきでいっぱいでした。今後に必ずや活かしてまいります。
先生に出会った事で、もっともっと茶事を知りたい学びたいという気持ちでいっぱいです。
どんな茶事の懐石でも、亭主の想いを汲み、またお客さまに美味しかったと思っていただけますよう、今後も精進して参ります。 小梶由香より