(花は八重咲き紫色の槿とラベンダー 6月20日撮影)
恐る恐る再開した2020年水無月の稽古ですが、25日にすべての予定を無事に終了しました。
少人数の教室なので、生徒さんのそれぞれのご事情(特にコロナウイルス感染症)に対応するように心がけています。
・・・それでも、いろいろ思うところがあります。
(ある日の稽古・・・Uさんの初炭手前)
(ある日の稽古・・・M氏の葉蓋で洗い茶巾)
一番心配なのは、看護や介護の仕事をしている方々です。
そのお一人が最終日に稽古にいらっしゃいました。訪問看護師のSさんです。
3月以来なので元気な顔が見れて安心したものの、お話を伺うと、ハイリスクの方を看護されているので、気の抜けない緊張の毎日だったことがよくわかりました。
「疲れているみたいね・・・大丈夫?」
看護されている方から逆に声を掛けられて「はっ!」とし、もっと気持ちにゆとりを持たなくては・・・と反省したそうです。
「自分がコロナウイルスの媒介になってはいけないので、なかなかお稽古に来れませんでした・・・。今も自家用車しか乗らず、食料品の買い物以外の外出や外食もしていません・・・先生、マスクをしたままで失礼します」
(白い槿が咲き出しました・・・さんぽ道にて撮影 6月27日)
「そんな中、よくぞお稽古にいらしてくださったわね。しっかりお教えしなくては・・・」私も終始マスクを外さずに緊張して稽古に臨みます。
気温が26℃だったので茶室の窓を全開にし、除湿にしました。流石に手袋をしてというわけにはいかないので、アルコール消毒をしてもらいます。
先ずは風炉の薄茶と濃茶点前です。
お一人だったので、柄杓の持ち方や扱い、湯水の汲み方、注ぎ方や注ぐ高さなど、基本をじっくり見させていただきました。
「先生、自分ではわからないのでご指導が1つ1つ嬉しいです。お稽古は緊張感がありますが、この空間に居ることで気持ちがとても安らぎます。
7月もよろしくお願いします。しばらくは一人の稽古でお願いしたいのですが・・・」
「大丈夫です・・・午前中にお一人で、7月は初炭と茶箱をしましょう」
(主菓子は金団「よひら」、石井製)
訪問看護の現場やご家庭の日常とは違う茶の湯空間で、稽古に専念する自分の時間が持てたのがよかったようで、私も嬉しいです。
お仕事はもちろん大事ですが、私たちは今を精一杯”生きている”のです。一緒に頑張りましょう!
・・・そんな風に思いながら、涼しげな小紋の単衣姿のSさんを玄関で見送りました。