(「點笑」のお軸、茶壷、花の諸かざり・・・終了後の撮影です)
2021年11月6日(土)に「炉開きと口切の会」をしました。
茶人の正月とも言われている「炉開き」のお祝いと、新茶を茶壷に入れて保存し、11月になって茶壷の口を切って初めてその年の茶を飲むという「口切」の行事、暁庵の裏千家茶道教室ではその2つを一度に行う「炉開きと口切の会」を開催し、毎年交代でいろいろなお役を担当してもらいます。
今年は参加人数が多くなり、11月14日(日)の「口切の茶事」へ参加する方と、泣く泣く二手に分かれて頂きました。
10時に待合集合です。
茶人の正月にふさわしく、皆さま素敵な着物でいらしてくださり、「炉開き&口切の会」らしいお目出度い雰囲気が漂います。男性4人が参加、N氏は十得、Y氏とT氏は袴姿、若武者F氏は新調の黒スーツで、きりりと座を引き締めてくれました。
(私は薄紫の紋付に紺地に円文白虎の帯を締めました。書いておかないと毎年同じになりそう・・・)
初座は正客から順にN氏、Uさん、Y氏、F氏、T氏、詰Sさん、亭主はIさん、初座の半東はKさん、後座の半東はUさんでした。
待合の掛物は「秋耕(しゅうこう)」野沢蓼州画(川合玉堂門下)です。
詰のSさんが板木を打つと、半東Kさんが白湯の入った汲出し(笠間焼)をお出し、腰掛待合へ案内しました。
蹲を清め、心身を清め、亭主Iさんが迎え付けをしました。蹲をつかって順次席入りし、全員で挨拶を交わしました。最初に暁庵がご挨拶し、あとは亭主Iさんにお任せしました。
床のお軸は「點笑(てんしょう)」、東大寺・清水公照師の御筆で、「笑いを絶やさないこと」という意味です。コロナウイルスの脅威が約2年間続きましたが、その中で笑いがあることの大切さ、笑いを絶やさないように心がけることを教えてくださっています。花は黄色の小菊、「献上飾り」にしてみました。
(黄色の小菊の献上飾り)
「ご都合によりお壺の拝見をお願いします」正客N氏から声が掛かり、いよいよ茶壷の拝見と口切です。
この日のために自主練習を重ねて臨んでくださったIさん、床の間から壷を持って網袋を脱がし、正客前へ運びます。皆さま、茶壷を回しながら慎重に拝見し、御茶入り日記が出され、茶壷が戻されました。
茶壷は丹波焼、小さいながらもきりりと緊張感のある形や釉薬の味わいが楽しめる、市野信水作です。
(刃が入り、皆、固唾をのんで見守ります)
葉茶漏斗(じょうご)が運び出され、皆が固唾をのんで見守る中、小刀の刃が入り、茶壷の合口がゆっくりと切らていきました。
「いずれのお茶にいたしますか?」
「ご亭主にお任せいたします」とN氏。
いつも通リの口切の所作と問答ですが、毎回主役が違うのでとても新鮮な気持ちでドキドキしながら魅入ります。
詰茶が葉茶漏斗に出され、選ばれたのは「壷切抹茶」、丸久小山園詰で口切の時期だけに登場します。
(詰茶が葉茶漏斗から挽家へ・・・・)
その後の所作と音がステキ・・・でした。詰茶が葉茶漏斗から挽家へ、それから茶壷へ戻されるのですが、
サラサラと葉茶が流れる様子、トントントーンと葉茶上戸を叩くリズミカルで力強い音が微妙に変化します・・・口切の楽しみの一つです。
糊がたっぷり塗られ、再び口が紙で封され、葉茶漏斗、茶壷、入り日記の順で水屋へ下げられました。
これにて口切が終わり、初炭になりました。
(湿し灰が撒かれ、大きな炉の炭が置かれました)
初炭はKさんです。初掃で皆が炉辺に進み、炉中や湿し灰を撒く様子、炉を全員で囲んで炭手前を拝見するのはY氏とF氏にとって初めての経験ではないかしら・・・あとで感想を伺うのが楽しみです。
瓢の炭斗、香合は赤絵宝珠香合、京焼の岡本為治作です。練香は松栄堂の「雲井」でした。
サラサラと初炭が終わり、次は台天目で濃茶です。
台天目の点前はUさん、正客N氏、次客Sさんで、四畳半に入っていただき、あとの方は見学です。
炉になって初稽古を兼ねての台天目、しっかり自習をしてきてくださって、こちらもすらすらと進みました。
天目茶碗で濃茶がN氏に出されました。各服なので次客の一碗は水屋からお出ししました。お菓子は練切で、銘「錦秋(?)」です。
天目茶碗と台はいつもの稽古道具ですが、茶入は薩摩焼・胴締め、15代沈壽官造、仕覆は大黒屋金襴。茶杓は象牙の利休形です。
ここで昼食のため休憩に入りました。昼食はなだ万の弁当と吸物をお出ししました。
昼食後に主菓子の汁粉(小さな餅入り)と柿と栗の小皿をお出しました。(つづく)