暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

令和5年の初釜・・・(3)

2023年02月02日 | 暁庵の裏千家茶道教室

    (メジロやヒヨドリがやって来て、蜜柑を食べていきます)

 

          (後座の点前座)

つづき)

銅鑼が5つ打たれ、後座の席入りです。

濃茶席が2席あり、1席目の客4名が席入りしました。

縁高が運ばれ、花びら餅(石井菓子舗製)を賞味して頂きました。

KTさんの濃茶点前が始まりました。

茶入、茶杓の清めに続いて、茶筅通し、茶碗が清められ、茶入から濃茶が掬い出されました。

途端に抹茶の香りが茶室に漂い、皆、ご亭主の手元を待ち遠しいように見つめます。

 主茶碗はKTさんお持ち出しの唐津焼、私も大好きな茶碗です。

かなり前に唐津へ旅行した時に出合ったそうですが、きっと茶碗を使う度に旅の思い出が頭をよぎることでしょう。

各服点には大きいですが、上手に濃茶を練ってくれました。次茶碗は、赤楽の銘「玉三郎」、三客様からは水屋からお持ち出しです。

濃茶は「松花の昔」(坐忘斎お好み、丸久小山園詰)です。

 

 

濃茶2席目の亭主はAさんです。客は4名、暁庵も三客として席へ入らせて頂きました。

こちらの主茶碗もAさんのお持ち出しで、八事窯・中村道年の黒楽でした。

Aさんは愛知県の出身なので地元にゆかりのある窯元の茶碗を選んだそうですが、小ぶりなので各服点にピッタリです。

自宅で濃茶を練る修練を重ねていらして、Aさんが練る濃茶はとても美味しいのです。

次茶碗は御本(加藤錦雄作)、三客からは水屋からお持ち出しです。

暁庵は赤楽茶碗(妙義庵)で頂戴しましたが、濃茶が熱く、水屋の方の心遣いが感じられて嬉しかったです。程よい濃さが飲みやすく美味しく頂戴しました(アリガトウ!)。

正客から拝見がかかり、茶入が清められ、茶入、茶杓、仕覆が拝見に出されました。

茶入は黒薩摩(帖佐焼)、銘「翁」と古い箱に書かれていますが、命名者が不読です。形がよくわかないのですが、不識形としています。

仕覆は島モール(中嶋由美子作)、19世紀に東南アジアのどこかの島で織られたモールの古裂で作られています。

茶杓は大徳寺・後藤瑞巌師の銘「無事」です。今年1年の無事息災を願って・・・。

 

 

次はT氏の後炭です。

釜が上げられ、初履きで再び全員が炉を囲みました。炉中の風情の鑑賞が後炭のハイライトの一つです。

胴炭は残っていましたが、他の炭はほとんど燃え尽きていて時の流れを感じます。

一方で、今はすぐに乾燥してしまうので、炭を洗うのをもう一日遅らせた方が良かったかも・・・と反省も。

胴炭が割られ、ため息が漏れました・・・。

灰器から匙香が焚かれ、湿し灰がサラサラと撒かれました。

輪胴が置かれ、初炭とは逆に炭が継がれていき、最後の点炭で客は席へ戻ります。

ここからが後炭のもう一つのハイライトです。

薬缶が運び出され、水が注がれ、濡れ茶巾で釜が浄められました。霰釜なので濡れ茶巾でポンポンポンとゆっくり叩きながら浄めていきます。

ほのぼのと釜肌から湯気が上がり、その湯気が見どころの一つですが、いつも釜が喜んでいるように感じるのです。

・・・こうして後炭が終わり、最後の薄茶が始まりました。(つづく)

 

    (水を注ぎ、浄められた釜を掛けています)

 

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