暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

喜寿を祝う三渓園茶会・・・(4)春草蘆濃茶席・第4席

2022年11月20日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

       (火相も湯相もよろしいようで・・・)

つづき)

濃茶席・第4席のことを書いておきます。

第4席の御正客は暁庵がお習いしているS先生、連客はSA奥様、宗瑞和尚、宗誉氏、宗貴さま、宗留さま(詰)で、全部で6名様でした。

S先生はじめ、お一人お一人とご挨拶を交わすと、一層茶会の喜びがいや増してきました。特にSA奥様とはコロナ禍もあり3年ぶりでしょうか、遠く関西からお出ましいただき、本当に有難かったです。お互いに元気で再会できたことがとても嬉しく感激しました・・・。

第1席に続いて待合で、EKさまが「猩々」の仕舞をお祝いに舞ってくださいました。

皆さま、ありがとうございます!

お点前はN氏、後見は暁庵がつとめました。日頃N氏が「この歳になると、なかなか緊張するということが無くなってしまって・・・」と言っていたので、S先生の前でお点前をして頂こう・・・と思いました。N氏もこのような機会はめったにないことと緊張して(?)臨んだのでは・・・と推察しています。

S先生やお客さまにN氏の綺麗なお点前をゆっくり見て頂きたくって、一碗目が出る直前に席へ入りました。それに濃茶ではお正客様に一碗目を飲んでいただくまでお話を控えた方がよろしいように思いましたので・・・。

 

 (午後になると、点前座に光が入りスポットライトのよう)

       (お点前の写真は社中のF氏です・・

「こんなにたくさん・・・一人でよろしいのでしょうか?」とS先生。

実は、茶会直前に濃茶の量を1人4gから5gへ変更しました。濃茶の各服点なので美味しい濃茶をたっぷりと味わっていただきたいと思ったからです。

「お服加減はいかがでしょうか?」とN氏。

「大変結構でございます」(きっとN氏は心から安堵したことでしょう・・・ヨカッタ!

続いて次客様、三客様からは水屋からお持ち出しし、皆さまに濃茶をゆっくり味わっていただきましたが、お服加減はいかがでしたか?

主茶碗(黒楽、一入作、銘「不老門」)と御本三島の2碗を清めてから拝見に回しました。この2碗は暁庵が京都に一時住んでいた時にご縁があった茶碗ですが、なかなかS先生に飲んで見て頂く機会がなく初めてでした。

それで、私も茶碗も喜んでいます。 

 

      黒楽茶碗(一入作) 銘「不老門」

S先生から待合の掛物や床の御軸のお尋ねがありました。

御軸「暁雪満群山」は坐忘斎お家元にお願いする前にS先生にいろいろとアドバイスをいただいたので、今回お目にかけることが出来て本当に良かったです。

このお軸を掛けると、とても清々しい気持になり、いつも襟を正します。

「頑張るように・・・」というお家元の励ましの声が聞こえ来るようです・・・と申し上げました。

茶入のことを書いておきます。茶入は古備前丸壷、小ぶりで侘びていますがかわいらしい茶入です。2碗を点てるのがやっとの大きさなので、三客さまからお持ち出しにしました。

この古備前丸壷は炎によって生み出された景色が魅力的で、小堀大膳宗中(遠州流八代家元)の箱書があり、古歌(古今集)に因んで「かわな草」という銘が付けられています。仕覆は優美な慶長裂です。

茶杓は、淡々斎の御作で銘「幾千代」です。

香合は「六瓢」、作者は西条一斎、「六瓢(むひょう)」は無病息災に通ずとのことで、有難いです。

大正11年4月19日に原三渓翁が催した春草蘆の茶室披きのことを少しだけお話し、しばしその時代の春草蘆に思いを馳せました。

第4席では残念ながら狸は出てきませんでしたが、S先生をはじめ東京教室で顔を合わせている方が多かったので、いつものお稽古のような和やかな雰囲気があり、私もご一緒にお席を心から楽しみました・・・。

この後、皆さまを蓮華院へご案内し、薄茶席に同席させて頂きました。つづく)

 

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