暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

上七軒 「北野をどり」

2013年04月18日 | 京暮らし 年中行事
4月末まで京都の花街では「春のをどり」のまっ最中です。
桜見物に追われてアップが遅くなりましたが、チケットを2枚頂いて
第六十一回「北野をどり」へ行ってきました。 4月5日のことです・・(遅いぞ!)。
「北野をどり」は毎年3月25日~4月7日まで上七軒歌舞練場で、
「春のをどり」の先陣を切って開催されます。

上七軒は、京都の六花街(上七軒、祇園甲部、祇園東、嶋原、先斗町、宮川町)
の一つで、一番古く、面白いエピソードが伝わっています。

室町時代のこと、北野天満宮の社殿の一部が焼失し、
十代将軍・足利義植は所司代・細川勝元に社殿を造営させました。
社殿の残材を使って7軒の茶屋を建て、七軒茶屋と呼ばれたのが、
「上七軒」の名前の由来となっています。

天正十五年(1587年)八月十日、太閤・豊臣秀吉は北野大茶会を催しました。
その際、七軒茶屋が太閤休憩所となり、名物の御手洗団子を献上したところ、
大変気に入り、その褒美として七軒茶屋に御手洗団子を商う特権と、
山城一円の茶屋株を公に許したのが、茶屋の始まりと伝えられています。

今でも上七軒花街は御手洗団子に由来する、五つ団子の紋章を用いています。

           

           
                 (昨年の茶席ですが・・・)

日本舞踊も大好きなのですが、一番の関心事は開演前の茶席です。
二階に立礼の茶席が設けられ、芸妓さんと舞妓さんが応対してくれます。
その日のお点前は梅葉さん、おひかえは舞妓の梅ちえさんでした。

最初に梅葉さんが紅い蝋燭の手燭を持って現れました。
裾を引きずって、すっきりとした立ち姿がなんとも妖艶な美しさです。
正装の黒紋付に赤い帛紗が驚くほど映えて、帛紗の美の再発見。
お点前は裏千家流のようで、白く細い指がしなやかに動きます。
薄茶が点つと、梅ちえさんが古帛紗に乗せてお客さまへ運びます。

   

そんな様子に見惚れていると、小皿に菓子(薯蕷饅頭)がだされ、
薄茶が水屋から運ばれてきました。
いつまでも見ていたいのですが、開演時間が迫ってきたので
あわてて小皿を紙に包んで持ち帰りました。
この小皿は名物の団子がデザインされていて、
これを頂けるのも「北野おどり」の楽しみになっています。

           

第六十一回「北野をどり」のプログラムは
   第一部  舞踊劇「雲のかけ橋」
   第二部  純舞踊「再春京四季(またくるはるみやこのにぎわい)」
         魂まつり 雁金 京の顔見世 南禅寺楼門
   第三部  フィナーレ「上七軒夜曲」  
純舞踊も良いけれど、天狗をめぐる物語の「雲のかけ橋」が面白いかな。
でも、一番はこの華やかで粋な雰囲気にどっぷり浸ることでしょう。

ご贔屓といえば、尚鈴姐さん(・・しか知らない)。
淡交別冊「京の茶の湯」(No.60)で京都案内をしてくださった、
上七軒の芸妓さんどす。
昨年より一段と踊りに艶っぽさが増したような・・・「応援してますぇ!」

                                


           
                  (上七軒らしい郵便局)

           
                (上七軒で見つけた面白い光景)