暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

ライトアップ 長屋門公園紅葉の茶会

2011年11月27日 | 茶事
和服姿のきれいどころ(私たち茶会スタッフのことです・・)4名が
17時過ぎに長屋門公園へ到着すると、はや日はすっかり暮れていて、
たくさんの人たちが今日のイベントの準備をしていました。

母屋前の広場には手づくりの灯篭がたくさん並べられ(100基?)、
次々と蝋燭が灯されていきました。
東日本大震災への追悼や励ましの言葉が書かれています。
長屋門ならではの温もりのあるライトアップに感激です。

ライトアップされた楓や欅は、昼間よりも一層鮮やかになり、
闇と光の交錯する舞台で静かに舞い始めました。
床の軸は、「舞秋風」。
耳付きの萩の花入に白侘助を入れました。
香合は狸、信楽焼です。
久しぶりに火が入った炉も湯気をたてている釜も嬉しそう・・・。

               

               

第1席は18時から・・のつもりでしたが、
「公報に載せた18時30分からにしてください」とのことで、
のんびりしていると、
Akatsuki庵さんのブログと 暁庵の茶事クロスロードを見て来ました・・」
と4名さまが第1席(7名)へ入ってくださいました。
お出まし頂き、ありがとうございます!

とっても嬉しいことでしたが、ここで問題が発生。
「ブログを見て来ました。何か頂けるそうですが・・」
確かに京都のささやかなおみやげをいくつか用意していました。
ですが、長屋門公園の方からクレームがつきました。
「公共の機関なので、公報を見て来てくださった一般の方々と
 待遇に差があるのは困ります」
・・・言われてみればごもっともなことで、深く反省しました(シュン)。
それで、考え迷った結果、何も差し上げないことにいたしました。
ブログを見て来てくださった方々に多大な期待を抱かせたことを反省し、
お詫び申し上げます。 ごめんなさい!

               

第1席から第3席まで、お客さまと親しくお話ししながら
薄茶点前にて一服差し上げました。
お菓子は「紅葉」、薄茶は伊藤園の「宝尽の白」です。
第2席は男性お一人でしたが、堂々と愉しまれて喫み終えた頃に
ステキな着物姿の女性が席へ入りました。

「どうしても長屋門公園とこの茶会へ・・・」
ブログを見て東京から来てくださったのです。
お気持ちを嬉しく受け止め、Hさんのお点前で一服喫んで頂き、
水屋へ戻るとAkatsuki庵さんもYさんもいません。
「あらっ?}
水屋は水屋で、椅子席のお客さまへの点てだしに追われていたみたいです。

琵琶演奏の後の第3席は、男性4名(小学生1名)と女性2名のお席でした。
「クロスロードを見て・・・」と終了後に伺いました。
お茶をされている方でしたが、席中では年配の男性をたててらして、
謙虚な姿勢に感心したり、若い男性なのでついウキウキしたり・・・。

               

「お点前をしながらライトアップされた紅葉を堪能させて頂き、
 とても幸せな時間でした」とスタッフのHさん。
・・・本当に私も。

いろいろな思い出のある長屋門公園のページに紅葉の茶会が加わりました。

                         

               


追伸)カメラの電池が無くなり、写真はAkatsuki庵さんのご提供です。
    いつもいろいろ有難うございます。


長屋門公園・紅葉の茶会のご案内

2011年11月18日 | 茶事
  紅葉舞秋風

紅葉が美しさを増す時候になりました。
横浜市長屋門公園もステキな秋の装いに変わりつつあります。

               
               
今年はじめて紅葉の庭がライトアップされます。
夜の紅葉を愛でながら、
薄茶と琵琶演奏を楽しむ紅葉の茶会が下記の通り催されます。

囲炉裏のぬくもりに包まれた築200年の古民家にて
美味しい薄茶を点て、心をこめておもてなしをいたします。
どうぞ、長屋門公園・紅葉の茶会へお出ましくださいませ。

茶会は茶券がいりますが、その他は参加無料です。
茶券の予約・お問い合わせは長屋門公園へお願いいたします。
    紅葉の茶会              
  日時  11月26日(土)
  場所  横浜市長屋門公園 和室
       (〒246-0023 横浜市瀬谷区阿久和東1-17)    
        TEL&FAX 045-364-7072

  茶席  第一席 18:00~18:30
       第二席 18:30~19:00
       第三席 19:30~20:00
  琵琶演奏    19:00~19:20
  茶券  500円(主菓子付)  各席10名くらい

  交通アクセス 相鉄線三ツ境駅より徒歩18分
      地図参照: http://members2.jcom.home.ne.jp/9327mzss/use.htm

  (バス情報) 「三ツ境」駅からはバスも利用できます。
         「三ツ境」駅から「上阿久和(かみあくわ)」バス停まで約6分。
         バス停から公園まで徒歩5分です。

         「三ツ境駅」 → 上阿久和(長屋門公園入口)
         乗り場は(2)番です(地図参照)
         ・戸17「戸塚駅東口」(阿久和経由)行き
         ・戸19「戸塚駅東口(湘南泉病院経由)」行き
         時刻表(土曜日)17:00、17:15、17:30、17:45
            (14時~20時まで15分間隔で運行、大人170円)

      
      (菊花展   長屋門公園)      (茶を点てる・・雛の月茶会にて

 追伸) Akatsuki庵さんのブログまたはこのブログを見て参加された方は
        茶会スタッフにどうぞお声掛けください。
        何かよいことがあるかもしれませんよ(?)      

                

  

白露の朝茶事 (3)

2011年09月13日 | 茶事
濃茶をたっぷり点てて差し上げました。
最近は濃茶を煉るというより点てることを心がけていますが、
いかがでしょうか?
濃茶は小山園の「式部の昔」、前席の主菓子は寿々木製「庭の小菊」です。

濃茶が終わり、朝茶事では約束の続き薄茶にしました。
煙草盆と干菓子を運びだします。
干菓子は源吉兆庵の「陸の宝珠」と鶴屋吉信の「コハク栗」です。

茶会や茶事で水屋をお手伝いして頂いたYさんが次客でした。
15世市村羽左衛門に因む「うずまき茶碗」(で点てた薄茶を
最初に喫むことになりました。すると
「このお茶碗で薄茶を頂きたかったの・・・」
と嬉しそうです。
水屋で美味しい薄茶を点ててくださる、縁の下の力持ちのYさん。
Yさんの気持が伝わってきて涙がでそうになり、
あせりました(超涙もろいのです)。

              

もう一つは青磁の平茶碗(今高麗、古青窯)、
微妙なゆがみと色模様がお気に入りの茶碗です。
二つの茶碗で薄茶を賞味して頂きました。
最後に自服させて頂き、茶杓と棗を拝見に出しました。
       
ここでちょこっと道具(仕覆)自慢(?)です。
茶入は東美正札会で一目惚れした硝子茶入、岩田久利作です。
仕覆がなかったので、「なでしこジャパン」がWCで優勝した頃から
なでしこの着物裂で作り始めましたが、茶入の形に合わせるのに苦労した作品です。
朝茶事に間に合って良かった(・・・汗)。
茶杓は、藤井誠堂和尚作の「野分」、扇面蒔絵の平棗は宗水作です。

茶事後に皆様の思い出の古帛紗を見せて頂き、大いに語って頂きました。
どれも素敵で刺激的でしたが、Sさま持参の「古渡り更紗」が瞼に残っています。 

               

               

お客さまと融和した茶事タイムが忘れられず・・・
また茶事ができたら・・・困った病気です。

    静中成友  塵裏倫閑  
   (静かの中に真の友を得、世俗の繁忙の中に憩いが見つかる)

                           
 
   (白露の朝茶事(2)へ)     (この項トップへ)


白露の朝茶事 (2)

2011年09月11日 | 茶事
懐石をお出ししました。

お詰は昨年の長屋門の茶事で懐石をお願いした佐藤愛真さん
懐石と茶道の両方に励んでいらっしゃる頑張り屋さんです。
その方をお招きして、家庭料理をお出しするのですから、勇気がいりますよね。
佐藤さんのブログで教えて頂いた煮物椀をお出ししました。
鰻入り蓮根餅です。もって菊を少し添え、おろし生姜を乗せました。

朝なのでシンプルを心がけ、粥と汁のお代わりなしにしたり、
八寸で千鳥の盃のあとに
愛媛県西予市の郷土料理・ひゅうが飯(二の膳)をお出ししたり、
朝茶事の常とは違う懐石次第になりました。

懐石献立は
   向付   胡麻豆腐
        和え物  ささみ、きゅうり、みょうがの胡麻酢和え
   飯    粥
   汁    長芋 舞茸  合せ味噌
   香の物  三種(きゅうりと茄子の糠漬、梅のカリカリ甘酢漬)
   煮物椀  鰻入り蓮根餅  もって菊  おろし生姜
   箸洗   スダチ
   八寸   蒸雲丹   焼マツタケ(スダチ)
   ひゅうが飯  飯 鯛 掛け汁 薬味(胡麻、海苔、ネギ、山葵)
   香の物  二種(タクワン、きゃらぶき)
   湯斗
   酒    巻機(まきはた)  千代酒造(新潟県南魚沼市)
 
主菓子をお出しし、中立をお願いしました。
朝とは違い、腰掛待合のベランダには燦々と陽が射していて、
あわててパラソルを広げました・・・まだ暑いですね。

                 
                 

釣瓶の水指に注連縄をつけ、茶入を荘り、
銅鑼を五つ打って、後座の席入です。
竹尺八へ白い芙蓉一枝を入れ、露を打ちました。

襖越しに席入の摺り足や衣擦れの音を聞きながら
呼吸を整えて待つ瞬間・・・緊張感が高まり、とても好きな時間です。
座が鎮まってから襖を静かに開け、濃茶点前が始まります。

柄杓を引いて総礼すると、お正客から声が掛かりました。
「名水をご用意頂いたようで、ありがとうございます。
 名水を頂戴したく存じます」 (承知いたしました)
点前を進め、釣瓶のふたを開け、水一杓で茶碗をすすいでから
一杓半汲んで、たっぷり(?)味わって頂きました。

「おいしい水ですが、どちらの?」
神奈川県秦野市にあります弘法の清水でございます。
 丹沢山の名水を差し上げたいと思っていましたが、
 台風のため丹沢の麓で汲んでまいりました。
 昔、弘法大師が杖を突いたら湧水が噴き出したという伝説があり、
 今でも湧水量が豊かな清水でございます」

      (前へ)      (白露の朝茶事 (3)へつづく)
                     その日は  のち 




白露の朝茶事 (1)

2011年09月09日 | 茶事
9月6日、用事で上京されたぽちママさまを朝茶事へお招きしました。

我が家の都合でお客様3名~5名でさせて頂いてますので
ぽちママさまの承諾を得て、真MLの茶友へメールで相客をお願いしました。

   ・・前略・・・今日は朝茶事のお誘いです。
   9月に真ML会員の茶友ぽちママさまが関西からこちらへいらっしゃいます。
   せっかくの機会なので、朝茶事でおもてなしを・・・と思っておりますが、
   ぽちママさまの相客としてご一緒してくださいませんか?
   朝茶事と言っても我が家の都合で、待合8時30分の集合です。
   お出まし頂ければ大変嬉しゅうございます・・・

3名様から快諾の返信あり、真MLの茶友に感謝しています。
真MLとは、インターネットの真ML茶の湯コミュニィティ-のことで、
地域(国)、流派、茶歴、年齢を超えて、さまざまな「茶の湯」の交流が行われています。
詳しくは真ML茶の湯コミュニィティ-のHP及び
「ひよっこ茶人、茶会へまいる」(松村栄子著、朝日文庫)をご覧ください。

                    

茶事で一番心に残ったのは、「相客に心せよ」の精神でしょうか。
お正客と初対面にもかかわらず、すみやかなお約束、
お正客をたてて和やかに、自然体で融合できる精神の柔軟さと豊かさ。
そんなお客さまとの一座同心の茶事ですので、おもてなしが愉しかったです。

待合に、琴聖筆「白露」を掛けました。白の字が雫のよう・・・。
詰の佐藤さんが打つ板木の音で、白湯をお出しし、腰掛待合へご案内しました。
台風の影響で前夜に雨が降ったので、庭木や苔がしっとり濡れて、
白露を感じながら迎え付けをしました。

                       

床には、戸上明道和尚筆「白雲抱幽石」(はくうん ゆうせきをいだく)。

釜は責紐(せめひも)釜、作者は不明です。
責紐は水色と銀の水引で、蝉に見立てて紐結びで遊んでみました。
(・・蝉のつもりだったけど・・?)

初炭では風炉中拝見の後、
釜を水屋に引いて紐を切り(奥方さま方の前で刃物は無礼と思い・・・)、
濡れ釜にして持ち出し、一度釜敷へ置いてから一膝進み、釜を掛けました。
責紐釜の扱いについては自分なりに考え試みましたが、
その試行錯誤がとても面白く、また工夫してみたいと思います。

香合は、カワセミと露芝の蒔絵が描かれた黒柿の四方。
福井県鯖江市在住の女性作家、中林星山の作で、
お正客さまが福井にご縁があると伺っていましたので、嬉しい初使いです。

初炭が終わり、懐石をお出ししました。

       (白露の茶事(2)へつづく)
                           のち