暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

口切の準備中です つづき

2011年11月02日 | 稽古忘備録
  (つづき)
茶友Hさんから頂戴した半袋(はんたい)3個は「初昔」「後昔」
そして「雲鶴」です。
「暁雲」と書いた半袋を用意し、全部で4個を茶壺に入れ、
お茶屋さんで買った煎茶を口いっぱいに詰めました。
巾五分(1.6センチ)くらいの美濃紙で封をし、印を押して、
口覆(くちおおい)を掛け口紐を結び、網に入れて床の間にかざりました。

さぁ、いよいよ口切の稽古です!
先ず、去年の口切を思い出しながらやってみましたが、
一番肝心な葉茶上合(はちゃじょうご)の扱いが今一つわかりません。

               

教本を広げて順番を確かめながら、所作を確認していきました。
「・・・うーん! こことここがわからないわ?」
先生へお電話しました。
「口切を稽古しましたが、どうしてもわからないところがありますので
 本番前に一度見て頂けないでしょうか?」

口切準備でお忙しいところ、お邪魔しました。
一番のポイントはいつ茶壺の拝見が乞われるかでしょうか。
教本では口切をしてから拝見ですが、
先生宅の口切は最初に拝見を乞います。
「まだ封を切らないうちに茶壺を見て頂いた方が好いと思うし、
 口切への期待感がつのりますよ・・・」と先生。

・・・去年のことをすっかり忘れていました。
もう一つは、かぎ畳を大きく回るかどうかの区別が曖昧でした。
最後に壷を水屋へ下げてから入日記を下げに正客前へ行きますが
茶壺が席中にないので、その時はいつもの足になります
・・・とご指導いただきました。

疑問に思っていた箇所や葉茶上合(じょうご)の所作を丁寧に教えて頂き、
これで安心して(?)本番に臨めそうです。
先生、いつもありがとうございます!

                 

今日(11月2日)が「炉開きと口切の会」です。
そろそろ着付けの時間です・・・帰宅したら投稿しますね。

          (前へ)               

口切の準備中です

2011年10月30日 | 稽古忘備録
    口切や 南天の実の 赤き頃    漱石

茶人の正月と言われる口切の季節が近づいてきました。

口切とは、茶壺の口を切ることです。
初夏、八十八夜以降二十一日の間に摘まれた新茶は、
茶師によって葉茶のまま茶壺に詰められます。

口と蓋を封緘紙を巻いて封印され、京都の山中で保管されます。
涼しくなって茶家へ届けられ、十一月の開炉後に茶壺の口を切って、
茶臼で葉茶を挽き、その抹茶を点てて客へ供します。
これを口切の茶事といいます。

                                   

先生から口切の亭主役を仰せつかり(順番で)、ただ今あれこれ準備中です。
今まで7回ほど口切を拝見していました。
しかも正客として茶事に2回も招かれています(汗)。
しっかし、見るとやるとは大違い!でした。

先ず、我が家の茶壺ですが、まだ口切に使ったことがなく、
もっぱら壷飾りの紐の稽古のみです。
それで、口切のお役をつとめるにあたり、茶壺を取り出してみると、
「あらっ?」
桐の盛蓋に和紙(封緘紙)が貼られていませんで、
それを貼ることから始めました。

貼り終わる頃には
「茶師のように一度自分で茶を詰めてみよう」
と探究心がムラムラと湧いてきました。

                      

1時間ほど歩いて、散歩の途中で見つけたお茶屋さんへ。
「口切に使う茶壺に詰める葉茶(本来は薄茶に使用)なので、
 お安いのはありますか?」
「安いお茶は売れないので置いていないのです。
 うちで一番安いのは100g300円ですが、美味しいお茶ですよ」
「それでは、そのお茶をいただきます」

このような会話がスムースにいったわけではありません。
お茶屋のおかみさんが口切とか、茶壺のことを全く知らなかったのです。
それで上記のようなことをお話ししました。

でも、考えれば無理はありません。
ここ5年ほどは毎年口切を拝見する機会に恵まれていますが、
茶家でも茶壺に茶を詰めて行う口切は廃れつつあるのでは?
・・・と心配になりました。

茶壺にしても口切のセレモニーや壷荘でだけ、その存在があるとしたら、
良い茶壷を持つ必要があるのだろうか・・・と考え込んでしまいました。
(良い茶壺を持たないと口切の茶事ができない・・・と思い込んでいたので)
とりあえず、持っている茶壺を有効に使いたいですね。

今日、茶友から昨年使った半袋(はんたい)3個が譲られることになり、
もう一つ半袋を作り足して、茶壺に詰めてみようと思います。

それからやっと茶壺の口切の稽古に入ります・・・(間に合うかしら?)。

                   
                       (散歩道で出会うカバ・・・好い表情・・)
     
              (つづく)            

真之行・台子点前の悩み

2011年09月21日 | 稽古忘備録
                (萩   隣花苑にて

               
                (我が家なので不備にて候)

7月、8月と体調不良のため、先生宅の稽古を休みがちでした。
9月に入って久しぶりに伺い、真之行・台子点前を見て頂きました。

先ずは真の炭手前からです。
順番だけはわかるようになりましたが、所作はまだまだです。
特に羽根の清め方や風炉の清め方が自分でもダメ!と思います。
上の点前になるほど清めが多くなり、意味するところも違うような気がします。

終盤になって釜をかけてからも清めが続きます。
釜敷を清め、火箸を清め、火箸を杓立へ戻します。
灰器、続いて神折敷を下げると
「座掃きをしてください」、先生から声がかかりました。

我が家に小間がないので、座掃きも久しぶりです。
最後に左手に渡して斜めに丸く掃く時に
「座箒の裏を客に見せないように。
 掃出口が実際にあると思ってやってください」
と、前回と同じご指導がありました。
「小間がない、座箒がない・・」なんて言い訳してないで
掴み羽箒で毎回座掃きをしなくっちゃ・・と反省しきりです。

香合が拝見から戻ると、再び風炉前に座り、
土風炉の胴を清め、火窓を清め、帛紗を捌き直して蓋を清め、蓋を切ります。
香合は、唐物・独楽でした。

               
               (ホトトギス  石槌山にて)   

Kさんに続いて真之行・台子点前を見て頂きました。
真之行(風炉)は一番好きな点前です。
なぜなら、一番シンプル(無駄がなく解り易い)であり、
これが体系の基本(現行点前の頂点)になっているからです。
それでも違和感や疑問が生じる箇所があります。

その一つ、水を汲んで釜に入れるときの角柄杓(?)の意味は?
先生にお尋ねしたかもしれませんが、いまだわかっていません。
もう一つ、違和感を感じるのは、釜の蓋を締めるときでしょうか。
「真に草あり」と、柄杓を構えて蓋を締めてから柄杓を尺立へ戻しますが・・・。

違和感があろうと、疑問があろうと、ただ稽古とは繰り返すことと
十分納得しつつも歳月で薄らぐものでもありません・・。

真之行・台子点前は端正な点前なので
繰り返し稽古することで、流れるような美しい所作を
先ずは身に付けたいものです。
Kさんの素晴らしい点前(所作)を拝見しながら
いったいどこが違うのだろうか? と考え込んでいます。

見て学び良いところは盗め・・という教えもありますが、
所作となると、なかなか盗めるものでもありません。
「あの手つき・・姿勢・・間合い・・(ふぅ~)」
ため息をついていても仕方がないので
少しでも近づきたく、今日はこれから真之行の稽古です。

9月中は台子を出しておいて稽古に励むことにしましょう。

                     たまには   ぞ!



茶筅荘  水無月の稽古

2011年06月27日 | 稽古忘備録
                    ( 額あじさい  季節の花300提供 )

「江上数峯青」(こうじょう すうほう あおし)

江上の大河は長江でしょうか?
河霧が立ちこめる河にいくつかの峯が青く重なっている、
幻想的な風景が目の前に浮かんできます。文浄和尚筆です。
露を含んだ額あじさいが三友籠に生けられていました。

水無月最初の稽古は小習と四ヶ伝でした。
Kさんが唐物と茶碗荘、私は初炭のあと、台天目と茶筅荘をご指導頂きました。

茶筅荘は水指などが由緒、伝来のあるものを用いたときに行う点前です。
茶事で万が一水指の拝見を乞われた場合
スムースに身体が動けるよう、昨年に続きお願いしました。

水指の上に、茶杓、茶巾に茶筅をのせて荘り、
水指前に茶入を入れた茶碗を置きました。
茶筅荘の場合、前席(待合)の床に何も荘られていないので
席入りして初めてお客様は茶筅荘ということに気がつきます。
それで、何故、茶筅荘にしたのかをお客様へお伝えしなくてはなりませんが、
二つの仕方があるとのことでした。

一つは亭主から申し上げます。
茶道口で建水を下座に置き、襖を開けて一礼し、
亭主から何故茶筅荘にしたかを話します。
「茶室披きの折に、菩提寺の興福和尚より
 お祝いに頂戴いたしました水指を使わせて頂きましたので
 茶筅荘とさせていただきました」

もう一つは、柄杓を引いて総礼のあとに、正客からお尋ねします。
「茶筅荘のようでございますが・・・」
「はい、還暦の折に菩提寺の興福和尚より
 お祝いに頂戴しました水指を使わせて頂きました」
「古格のある水指でございますね。水指は?」
「・・・」

・・・と亭主は答えてから、建水をすすめ、居ずまいを正します。
点前が進み、茶入、茶杓、仕覆を拝見にだします。
最後に拝見物について問答のあとに
正客より
「ご造作をおかけしますが、なにとぞ水指の拝見をお願いいたします」

亭主は一礼して茶入など拝見物を持って水屋へ下がり、
水指の水を空けて拭き清め、
白布(さらし)に載せて正客前に持ち出しました。
一膝下がって一礼して茶道口に下がり控えています。

正客は白布からはずし、水指を縦に少し寝かせて
茶壷を転がすように拝見し、白布に載せて次客へ送ります。
戻された水指を水屋へ引き、茶道口で一礼して終わります。

蓋の扱いについてお尋ねすると
「蓋は通常、水指の拝見に出しませんが、
 特に・・と所望されれば、別にお出しすれば良いでしょう」
「先生、お教え有難うございます」

                   

現実に帰れば、由緒、伝来のある水指などを持っていないので
茶事で茶筅荘はとてもできませんが、
茶友Hさんに新しいさらしを分けて頂いて、万が一に備え、
白布の用意だけはしております・・の(汗)。

                            



やっと満開です  相伝の稽古日

2011年04月12日 | 稽古忘備録

昨日はお稽古の日でした。
いつもより早めに起きたつもりでしたが
主人が先に起きていてマスターズ最終日のテレビを見てました。

主人を送り出して、すぐに「私のサクラ」の記念撮影です。
4月11日(月)、やっと満開になりました!
今年ほど「私のサクラ」が早く咲いてほしいと待ち望んだことはありません。
今年ほど太い幹に顔をあずけて話しかけたことはありません。
どうぞ、花の命、花の心をみてあげてくださいまし。

                                     

相伝稽古なので、気合いを入れて無地(江戸小紋)の着物を着ていきました。

以前お習いしていた稽古場では無地(できたら紋付)でないと相伝の部屋に、
たとえ見学でも入れない・・・という厳しい決まりがありました。
最初は驚きましたが、やがてその厳しさが当たり前になり、
緊張感を伴う相伝稽古が大好きになりました。

現在の稽古場ではそういう決まりもなく、着物も自分の気持ち次第です。
(先生はいつもきちんと着物を着ていらっしゃいます)
その日は襟を正して、相伝をご指導頂きたい・・と思い、
その気持ちを無地の着物という形で表わしてみました。
1年ぶりの真の稽古だったせいかもしれません。
先生は私の気持ちをしっかりと受けとめてくださいました。
これを機に相伝の時は無地(できたら紋付)の着物で・・と密かに思っています。

                   

Kさんが真之行台子、私が真之炭手前と大円之真をご指導いただきました。
真之炭手前から始まりました。
釜は加藤忠三郎造の真形・和歌の浦文、火箸は鴛鴦の頭です。
香合は形物香合の瑠璃雀で、瑠璃色の美しさに心惹かれました。
動物の香合は顔を自分の方へ向ける(真正面ではなく少し振る)ので、実は苦手なのです。
湿し灰は11回に分けて撒きますが、湿し灰はいっぱい灰器に盛った方が好く、
撒き残してよい・・・とご指導がありました。

次はKさんの真之行台子です。
相変わらず素晴らしい真之行台子の点前を拝見できて、シアワセでした。
天目茶碗は前田家伝来の梅花天目、天目台は尼崎台です。
茶入は南部家伝来の珠光文琳(写)、仕覆は有楽緞子です。
濃茶が熱く美味しく、小山園の慶知の昔でした。

大震災で3月の相伝の稽古が4月へ延期になったため
もう一度、炉の相伝の稽古があり、科目がKさんと入れ替わります。
それに・・・真之炭手前は順番を追うのがやっとなので
炉を塞ぐ前にもう一度稽古しなきゃ・・・です。