春めいて来ると蝶などが翔びはじめるが、
早春に見られる蝶のほとんどは成虫のまま越冬したものが多く、
それを「初蝶」と言ってよいかは疑問がある。
真冬の暖かな日には越冬蝶は越冬地から抜け出して吸水したり、
暖かな日光の下で日を浴びていることもある。
写真の蝶は「褄黄蝶(ツマキチョウ)」で、蛹からこの春に羽化した蝶で、
そういう意味では「初蝶」なのである。
この蝶は春にしか見られず、残りを幼虫や蛹の姿で過ごし、
春だけに羽化する特徴がある。
なかには2年間も蛹のままで春を迎える個体もあると言う。
今年の初蝶の出現はやや遅れ、これから繁殖期に入るのだが、
出合った翌日からは「菜種梅雨」のような雨が三日も続いている。
蝶にとっては、雨の一粒が弾丸のごとく体を打つので、
雨の日は採餌出来ないことが多い。