今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

810 錦糸町(東京都)公園は売り手買い手で花が咲く

2018-02-04 09:15:57 | 東京(区部)
JR総武線を錦糸町駅で降り、北口広場に出て北斎通りを西に向かう。土地鑑の薄い街だから、この方向で間違いないはずだと思いつつも、違ったかな?と疑念が芽生える。だが程なくそれらしき人混みが現れ、会場だと知れる。向島に本部を置くNPOが毎月1回、日曜日に開催しているフリーマーケットだ。正式には「市民・リサイクル」の冠が付くようで、手作りの素っ気ない会場ながら出店数は多く、なかなかの賑わいである。



ネットで探したのだろう、「行ってみましょうか」とこのフリーマーケットを見つけ出したのは妻である。東京では毎週末、どこかで骨董市やフリーマーケットが開かれている。出店数が少なかったり、自分の趣味に合わない品ばかりと、がっかりさせられることもあるけれど、ガラクタの一歩手前のような品を見て回ることが私は嫌いではない。さほど儲けが大きいわけでもないだろうに、頑張っている売り手を観察しているだけでも面白い。



妻にとっては初めての墨東散歩になる。会場は「イベント広場」とあるが、多分あそこだな、と見当をつけたのは、墨田区の中心部を南北に延びる大横川親水公園だ。隅田川と荒川に挟まれたこの地域は、江戸の街の水運を支える運河が東西に掘られ、二つの流れを結んでいるが、そうした運河を南北に貫く堀が、火除け地として開削されもした。だからこのあたりは道路も鉄道も、碁盤の目状に街を形成している。北の空にスカイツリーが近い。



錦糸町はそうした街区の中央にあって、墨田区の中心街だ。東京都は都市機能の都心集中を防ぐため、新宿・渋谷・池袋など7ヶ所を副都心と定め、都市業務の分散を図っている。錦糸町は隣の亀有とともにその副都心の一つだ。かつては駅南口の風俗店街が有名過ぎたせいか、どこか猥雑なイメージが付き纏っていたものだが、最近は北口が再開発され、おしゃれな、それだけにどこにでもありそうな、駅中心の街に変わったようである。



フリーマーケットは多くが公園など公共の場で物品を販売する露店であるから、仕切りのルールがある。錦糸町の場合、自ら「超極小の市民団体」を名乗るNPOが1区画(畳3枚)2500円で150区画を運営している。1998年から開拓し、都内有数の老舗マーケットに育てたのだという。あくまでもリサイクルにこだわり、プロやプロに見える人の出店は断り、販売価格は2万円を上限とするなど厳しい10ヶ条ルールを維持している。



出店されているのはほとんどが衣料品で、見定める眼を持ち合わせない私には面白みのないマーケットだが、女性には興味深い品揃えであるらしい。会場近くの通りに「錦糸町を侮るなかれ」で始まる看板が並んでいる。「日本初の国産燐寸の工場があった」「錦糸堀は歌舞伎の舞台にもなった」と、ここが誇るべき街なのだと教えている。若者の街興しグループだろうか、猥雑な街のイメージを払拭しようと、新「錦糸町の心得」でくすぐっている。



北斎通りを両国まで歩く。かつては鉄工所や金属製品を扱う問屋が並んでいた通りは、北斎美術館も建てられてすっかりおしゃれなマンション街になった。そのマンション価格は、都心に近いのに実に手頃だ。この日は1月場所の千秋楽で、国技館前は場所入りする力士を見ようと人だかりができている。駅の隣りでは相撲甚句場所も千秋楽で、上州甚句会などが「アーどすこい、どすこい」と唄い、ジジババが笑顔で囃している。(2018.1.21)
















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