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今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

811 合羽橋(東京都)鍋釜を眺め歩いて皿茶碗

2018-02-05 12:13:28 | 東京(区部)
道具街で知られる台東区の合羽橋商店街を歩く。上野と浅草の間にあって、厨房用品を扱う店が集中している珍しい街だ。カリフォルニアから帰国中の妻の妹が、米国への土産に中華鍋を買いたいというので二人で付き合っている。近年は海外にもその名が知れ渡っているようで、店頭では様々な言語が飛び交っている。私たちはこの後、日暮里の繊維街に行くのだが、道具街と繊維街、いずれも人種を超えて、必須の生活用具街である。



東京合羽橋商店街振興組合のホームページによると、「かっぱ橋道具街」は南北800メートルの通りに食器、漆器、鍋釜包丁、厨房機器、食品サンプルなどの店が約170店舗営業しているとある。歩いてみると、道路の両側に並ぶビルの1階(なかには2階も)はすべてそうした店が並んでいて、店の看板やディスプレー、さらには営業用着衣まで扱っている。食堂を開店しようという人は、ここに来ればすべてが揃う実に便利な商店街だ。



ほとんどが厨房関係の店ではあるが、それぞれの店にはまた専門があって、すべて競合し合っているわけではない。かえって同業が集積することで、客を呼び寄せる効果があるのだろう。それは東京秋葉原や大阪日本橋の電気街、神田の古本街などにも通じる。ただ看板を眺めていると、経営が同じと思われる屋号の店が隣接したり道路の反対側にあったりする。空き店舗が出ると勢いのある店が買い取り、業容を拡大しているのだろう。



買い物客を観察していると、食堂を始めようとしているらしい若い二人連れがいる。調理用ガスコンロを探しているようで、若い女性店員が対応している。「都市ガスですか? プロパンですか? カロリーは?」と質問攻めに遭っているのは客の方だ。なるほど専門知識は重要だ。包丁の専門店で熱心に品定めしているのは白人男性グループだ。シェフの卵たちだろうか。さっきから塗り物の店先で箸を選んでいるのは、台湾の大家族か。



この方面には知識が薄い私だから、関心はもっぱら「道具街」というネーミングに向かう。江戸時代、この通りは堀が流れ、両岸に古物商が並んでいたという。そこに架かっていた橋が、今も交差点に名を残す合羽橋や菊屋橋だ。堀は関東大震災後に暗渠化され、通りは菓子関連から始まって、戦後は飲食店全般の道具街に発展したのだという。だが「道具」だけでは大工道具か婚礼道具か紛らわしい。そこで「合羽橋」を活かす知恵が働いた。



「カッパ」の響きを無駄にすることはない。「合羽橋に行けば厨房道具はほとんど揃う」といった評判が立ち始めると、すかさず「かっぱ橋道具街」と街の名称を決めた知恵者がいたのだろう。「かっぱ」といえば「厨房道具」と、言ってみれば商標登録のようなものだ(以上は私の勝手な推測だ)。地名の由来は、堀の開削に尽力した合羽屋喜八を讃えて、などいくつかあるようだ。その工事を隅田川の河童が手伝ったというのは余話であろう。



日暮里繊維街もその地位をすっかり確立している商店街だ。日暮里中央通りの両側1キロにわたって80軒を超す生地や織物の店が連続する。これを生地屋街とか織物街と言ったのでは語呂が悪い。「繊維街」としたから定着したのだろう。こちらも品揃えの豊富さから、国内外の女性客を引き寄せている。私には縁遠い街だけれど、生地を選ぶ女性たちの平和な風情はいいものだ。羽田まで彼女を見送る。中華鍋は断念したようだ。(2018.1.31)












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