今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

766 清水(京都府)和服着て話す言葉は外国語

2017-04-15 15:37:59 | 滋賀・京都
私としては清水焼の故地を訪ねたことで、今回の旅の目的は果たしたようなものだから、「あと2日、ホテルでのんびり過ごそうか」と提案した。しかし奥様に「そんなのつまらないわ」と一蹴され、さて、どこに行こうかと考える。京の桜は遅れていて、どこもまだ蕾が硬い。とりあえず「茶わん坂」の雑踏に身を任すことにする。それにしてもこの混み様は何だ。カラフルな着物姿の女性にジジババの団体客。すれ違うこともままならない。



五条坂に三年坂、そして二年坂と続いて八坂の塔。やたらと坂が多い。「最近は坂と名付けるのが流行りでしてな」と、茶わん坂の老店主は冷ややかである。「八坂」というのだから、坂は八つあるのかもしれない。そうした坂の両側に、張り付くように土産物店がひしめく。菓子と漬け物、焼き物に雑多な土産物、そして目に付くのがレンタル着物の店だ。私が高校の修学旅行で来たころには、こんな店はなかった。50年も昔のことだが。



女性の3、4割は着物姿ではないか。レンタル着物は安物なのだろうけれど、カラフルかつ大胆な花柄はとにかく目立つ。着物で街を歩くことが、京都を目指した彼女たちの最大の目的なのだろう、寺の門前で写真を撮り合い嬉しそうだ。裾を膝までたくし上げ、ふくらはぎを丸出しにして石段を登る姿には「ヤマトナデシコもここまで来たか」と仰天したけれど、会話が中国語だったのでほっとした。海外旅行客の方が多いかもしれない。



京都市の「京都観光総合調査」によると、2015年の観光客は5684万人に達し、前年より120万人増えて過去最高を更新したという。宿泊客も1362万人と最高値を更新中で、なかでも外国人宿泊客は前年比73%も増えて316万人にのぼった。この数字がどのようなヴォリュームなのか想像し難いけれど、人口147万人の街にその40倍近い観光客が押し寄せるという現実は、「ごった返す」などとありきたりの表現では伝えきれない。



増え続ける観光客と、重荷となる観光インフラ整備の折り合いをどうやって保つかは、この街の永遠の課題であるようだ。市長選では主要な争点となり、駐車場税や拝観税、ホテル税などの導入が叫ばれるが、実現はされていないようだ。京都ではかつて「古都税騒動」があった。拝観料に上乗せし、古都保全に当てようとしたのだが、寺社の反対に市が負けた。その結果、狭い坂道を大型観光バスが往き交う危うい古都が続いている。



古都税に反対した寺社は、拝観料は宗教行為だと主張、その1例の清水寺では門前の商店も寺に同調して拝観停止を支持したという。しかし今でも本気でそう主張できるだろうか。寺と商店は観光マネーで潤う一方、観光客はますます危険に曝され、市民は慢性的渋滞に悩まされる。課税がおかしいというなら、自腹を切って門前の整備をしてはどうか。京都の有名寺社はもはやそういう存在だと認識すべきだ。それこそが宗教行為であろう。



和装の女性観光客のことを「風情も何もありまへん」と嘆く京オヤジがいたが、わが奥方は「いいじゃないですか、日本を感じてもらういい方法よ」と鷹揚である。日本の女性が韓国ではチマチョゴリを、ベトナムではアオザイを着たがるのと同じことなのだろう。確かに服飾は文化だ。私が口を挟むことではない。ただ、べったりとドウランを塗ったレンタル舞子に出くわし、卒倒しそうになった。あれだけは何とかして欲しい。(2017.3.28)










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