WALKER’S 

歩く男の日日

健脚二人 2

2020-05-01 | 日記

 少ない出会いの中で印象的な人はびざんで同宿だった北海道の男性。四国に移住希望で自治体の移住支援をいくつか当たっているがなかなか希望通りにはいかない、自治体としては若い人に来てもらいたいから仕事ができるかどうかわからない高齢の人には条件が合わない。本当に移住したいのならそんな援助はなしに自ら気に入った家を買い取るか新しく建てるかする方が早いと思うけどそれだけの経済的余裕はないみたい。金子やの近くの宿に連泊して如意輪寺に行きたいと言っていたけれど、結局はやめたみたい、いろんな希望はあるけれど思い込みが強くて計画性がなくて行き当たりばったり、そのわりに人の話を聞かない。もりあんで同宿だったYさん夫妻と正反対でいちばん力になれないタイプ、荷物が多くてザックのひもが切れて雨の中新しいのを買い替えたばかり。ザックのひもが切れたなんてことも初めて聞いた、宿に泊まるならもっと荷物を減らせばいいのに、そういう融通もきかない、自ら苦労を背負って歩くタイプ。それがその人の個性だから周りとしては何の手出しも援助もできない、それもお遍路、自ら気づいて自ら改めるしかないし、改めなくてそのままの感じで全部自ら受け止めるのもその人のお遍路。
 あなたのお遍路を一言で表すならと Facebook の外国人グループでの問いがあって、一人は gratitude と答えました。感謝の気持ち、報恩の念、そう答えることのできる人は立派なお遍路だと思います。ぼくも回数を重ねるにつれそういうことが当たり前になりすぎて慣れすぎていい加減に流すことがないとは言えない。せっかく四国を歩くのだからそのことだけは一番大事にすべきだし忘れてはいけないと、自らを省みるきっかけにもなりました。
 その北海道の男性と鶴風亭の前で喋っていた若い女性とは金子やの前まで一言二言喋っただけで別れてしまいましたがちょっと残念、翌日の出発はぼくの方が早かったから会えなかった。鶴風亭に泊まったご夫婦とは鶴林寺の山門を抜けたところで追いついた、お二人は碧に泊まると言っていた、龍雅荘の前まで歩くようでした。龍雅荘は距離的に都合のいい人が多いけれど食事がないのでどうしても敬遠されることが多いようです。
 みかんの宿、さくら庵、キッチンみつ佳、sky and sea muroto 、お遍路ハウス美園と5泊連続同宿の人がいなかった。いないだろうと思っていた通りだった、でも宿の人と喋ることも多かったから寂しくもなかったし物足りないということもなかった。太龍寺の下りで逆打ちの大阪の女性としばらく喋って以来歩き遍路さんと出会うこともほとんどなくて、次に声をかけたのは神峯の登り口でした。この男性が表題の健脚の一人、今日の宿を尋ねたらまだ決まっていない、安芸までだと短いしその先には宿がない。住吉荘までだと奈半利から36kmあるから歩ける人は多くない。少しの受け答えだったけど明らかな東北訛り、そのときは初めての四国だと思い込んでいた。すぐに自分のペースでお先に行かせてもらった。
                      つづく、

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