立命館大学の自由曲はアルプス交響曲。その演奏があまり良くないと感じたのには理由がある。ぼくがこの曲を最初に聞いた95年の明石北高校の演奏がすごすぎた。そのあと尼崎市吹奏楽団の全曲版を聴いたし、オーケストラの録音も手に入れた。でも、ぼくにとってのアルプスはいまだに明石北高校だけだといってもいい。結局オーケストラ版はいまだに一度も通しでは聴いていない。聴く必要がない。明石北の演奏だけで必要十分だと信じ込んでいる。そのイメージがあるものだから、今回の立命館の演奏も平凡で飽き足りないものに感じてしまった。当然関学の方により魅力を感じてしまうことになった。過去の思い出を美化しているだけではないかと、久しぶりに録音を聞き直してみると、やっぱり、何度聞き直してもすごいとしかいいようがない。金管楽器が全部鳴りまくっている、ラッパもホルンもトロンボーンもチューバも目立ちまくって格好いいことこの上ない。さらに、そういう金管に木管が全然負けていない。ものすごいスピードでスケールがぶっ飛んでくる。吹奏楽というのはこんなにも痛快なものなのかと呆れまくったものすごい演奏だった。この演奏が金賞だとすると、立命館の演奏は明らかに銀賞だ。誰が聴いてもそうするだろう。でも、そういう予備知識がなければ、立命館と関西学院の演奏を比べて、立命館を代表にするのは、間違ってもいないし、おかしいとも言えないかもしれない。立命館の演奏は堅実で曲の広がりを十分表現できてよりシンフォニックな演奏になっていたとも言える。どちらがどれだけよくその曲を表現できていたか、全く種類の違う二つの曲を細かく判定するのは不可能かもしれない。今回の審査は間違ってはいない、でも絶対ではない。兵庫県の審査と関西の審査が食い違うことなど何回もあった。どちらの審査員が正しいというのではない。どちらの審査員も正しい。そう感じたのだから仕方がない、すべての人が満足し納得するような審査など結局は存在しないのかもしれない。
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