万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

普天間問題―決断引き延ばしがもたらすジレンマ

2009年12月19日 15時26分04秒 | 日本政治
普天間問題「しばらく待って」首相、米国務長官に(読売新聞) - goo ニュース
 鳩山首相は、普天間基地移設問題について、クリントン米国務長官に対して、沖縄県民の期待が高まる中での強行は危険であることを理由に、しばらく結論を待つよう求めたと報じられています。しかしながら、その先の展開を考えますと、決断を引き延ばせば延ばすほど、事態は、抉れるのではないかと思うのです。

 来年の1月24日には、沖縄の名護市での市長選挙が予定されております。首相は、この選挙結果には必ずしも拘束されないと述べているようですが、もし、この選挙で、名護市への基地移設反対派の候補者が勝利するとなりますと、政府は、窮地に陥ることになりそうです。名護市への移転が不可能となれば、日米合意が白紙となるか(普天間基地存続)、あるいは、急ぎ代替地を探さねばなりませんが、新たな移設先を見つけることは、簡単なことではありません。また、名護市への移設計画を実行することは、沖縄県民の選択を無視することになりますので、現在以上に難しくなります。しかも、政権与党である民主党自身は、移設反対派の候補者を支援しているわけですから、たとえ選挙に勝っても、自らを苦しい立場に追い込むというジレンマに直面します。

 日米合意の頃よりも、現在の方がはるかに中国の軍事的脅威は増しており、むしろ、米軍の沖縄駐留の意義と必要性は高まっています。このことを考えますと、民主党政権は、何れにしても県外・国外移設は難しいことを前提にして、沖縄県民の負担を別な形で軽減するよう政策立案すべきと思うのです。

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