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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イラン―神政体制が動揺する時

2009年12月28日 16時28分17秒 | 国際政治
ムサビ氏のおいら8人死亡か=反体制派デモ、警官隊と衝突-イラン(時事通信) - goo ニュース
 この世に神の国を実現すること、これこそが、神政体制の目標とするところです。人とは理想郷を求める存在ですので、誰もがもろ手を挙げて賛成するように思えるのですが、神政体制は、何故にか長くは続かない傾向にあります。それは、何故なのでしょうか。

 第一の理由は、神政体制が成立するためには、国民全員が同一の宗教や宗派の信者であることが望ましいということです。このことは同時に、神政体制が全体主義に転じ、異教徒や批判者に対する排斥や迫害が、神の名の下で起き易いことを意味してます。政府弾圧に対する抵抗は、やがて、反政府活動に繋がる下地となるのです。

 第二の理由は、神の権威をバックに、宗教的指導者が独裁者になったり、権力を濫用しがちなことです。自らを神の代理人とすることで、あらゆる権力を行使できるのですから。

 第三の理由は、政府の腐敗と背信行為です。神政である以上、政府が不道徳な行為を行ったり、国民を不幸にすることはあってはならず、国民の政府に対する倫理的な要求が格段に高くなるのです。神の如きはずの政府が、神聖性を失った時、それは、体制崩壊を招くことになるのです。

 イランの情勢を見てみますと、反体制派の弾圧、宗教的指導者による強権政治、大統領選挙の不正疑惑、核開発、北朝鮮との協力関係、どれをとりましても、政府側が、自ら不安定化の種を蒔いているとしか言いようがありません。イランの動揺は、起こるべくして起こったのではないかと思うのです。

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