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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国籍は帰属意識の証

2008年11月30日 16時26分47秒 | 国際政治
女優コン・リーさんのシンガポール国籍取得、ネット上で非難噴出(読売新聞) - goo ニュース
 国籍を変更すると、裏切り者のレッテルを貼られてしまう・・・。中国で起きたこの騒動は、どうやら、国籍というものが、個人の問題にとどまらず、国民あるいは民族という集団への帰属意識と深く結び付いていることを現わしているようなのです。

 国籍とは、特定の国家の国民というメンバーシップを意味しています。一たび、国家という共同体に属しますと、メンバーの間で連帯性が発生し、全くの他人ではなくなります。ですから、共同体の他のメンバーに対して関心を持ち、その活躍に一喜一憂したりもします。日本国でも、普段は取り立てて意識しなくても、日本人がノーベル賞を受賞しますと、マスメディアを挙げてお祭り騒ぎとなりますし、外国で事件があるたびに、邦人の安否が気遣われます。この現象は、おそらく万国に共通した感情なのかもしれません(同郷や同窓などでも同じ意識が起きる・・・)。

 今般、議論されている国籍法改正案については、反対論者は、とかくに民族主義者のレッテルを貼られがちです。しかしながら、集団と帰属意識の問題には普遍性があり、ステレオ・タイプに非難しただけで済む問題でもありません。国民とは何かを真剣に論じることなく、安易に国籍取得の要件を法律で改変することの方が、より粗雑な対応のように思えてならないのです。

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