国籍法改正案については、認知ビジネスの横行が懸念されておりますが、もう一つ、この法案には、重大な問題があります。それは、家族制度崩壊への道を開いたということです。
それでは、国籍法が通過すると、何故、家族制度は崩壊するのでしょうか。その理由は、国籍法改正の根拠となった最高裁判所の判決が、嫡出子と婚外子との間に権利の差があることは、憲法に定めた法の前の平等に反するとしたからです(しかも、制定時には合憲で、現在違憲である理由は、国民意識の変化としている・・・)。もし、この平等原則を民法にも適用するとしますと、婚外子は、母の戸籍ではなく、父の戸籍に入籍することができ(民法790条により原則として婚外子は母の籍に入る)、相続も平等としなくてはなりません(民法900条により婚外子は嫡出子の2分の1)。平等原則をさらに徹底しますと、法律上と事実上の配偶者との間にも、権利に差があってはならないことになります。
しかしながら、そもそも、家族とは、親子や兄弟姉妹などの関係を律するための法律であり、純粋に平等原則を適用できない部分があります。何故ならば、平等原則を徹底すれば、家族自体が崩壊してしまうからです(親も子もなく、兄弟姉妹もない平等な個人に還元されてしまう・・・)。結局、どの程度、家族や血縁関係の間に平等を組み入れるかは、国民の合意の下に決めるべき問題であり、本来、司法が判断すべき分野ではないのです。
この側面を考えますと、もし、国籍法を改正するならば、民法などの関連分野との整合性を確保しつつ、慎重に議論を重ね、国民的な合意を形成すべきと思うのです。
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