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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

世界市民主義のパラドックス

2008年11月26日 17時03分11秒 | 国際政治
 現在、参議院で審議されている国籍法改正案の背景には、しばしば、国家なき世界を理想とする世界市民主義の思想があることが指摘されてきました。異なる人種、民族、文化など、異質なものが融合すれば、そのエネルギーによって新たな世界が生まれると・・・。カルロス・ゴーン氏なども、固有の民族や文化の持つ均質性に対して批判的な意見を述べています。

 しかしながら、この説には、否定しがたいパラドックスがあるように思うのです。それは、絶え間なく異質なものを融合させて行けば、やがてこの世界から多様性が消滅し、すべてが均質化してしまうことです。つまり、人類は、異文化融合反応によって、もはや、”新たな文化”を作るエネルギー得ることができなくなるのです。残されるのは、すべてが平坦で、何処に行っても同じ文化が広がり、地球上の誰の顔つきも同じ、退屈な世界であるかもしれません。

 このように考えますと、もし、異文化融合のエネルギーを主張するならば、むしろ、多様性こそ維持しなくてはならないことになります。私には、異文化融合を唱えて固有の文化を破壊しようとする人々は、その行く先を見ていないように思うのです。

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コメント (9)
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