第3章 未知と魅惑の微生物の世界
P.289 抗生物質は細菌と真菌が闘うときの武器
抗生物質の腸内フローラへの影響を調べた研究では、
サンフランシスコとその周辺の都市で過去2年間に抗生物質を
1錠も飲まなかった人は2人しかいなかったことがわかっています。
ドイツでは4人に1人が平均して1年に1度抗生物質を飲んでいることが
わかっています。抗生物質の服用理由で一番多いのが「風邪」です。
微生物学者はそれを聞くと、胸がチクっと痛みます。
というのも「風邪」を引き起こすのはほとんどの場合、細菌ではなく、
ウイルスだからです!
抗生物質がもつ能力は、「細菌に穴を開けて破壊する」、
「細菌に毒を与える」、「細菌から繁殖能力を奪う」この3つだけです。
抗生物質はウイルスに対しては何もできないのです。
抗生物質はほとんどの場合、風邪には効きません。
著者の主張は、
P.290 風邪が細菌性のものだとわかったら、抗生物質を飲みましょう。
もちろん、抗生物質がいい菌を殺してしまうという欠点はあります。
でも、細菌性の感染症の場合、長所が短所を上回ります。
たとえば、重度の肺炎にかかった人や、後遺症が残る可能性がある
重度の感染症にかかった子どもは、絶対に抗生物質を服用しなくては
なりません。(中略)
病気の治療で大事なことは、メリットが多い選択をするということです。