最近 本の虫が騒いで。DVDを借りに行ったついでに本コーナーで見つけたのが、この
『未来のきみが待つ場所へ』だ。
こちらにも詳しい内容が。
内容は小学生からでも読めるようにルビがふってあり、簡潔な文章。非常に読みやすい。早い人なら短時間で読破すると思われる。わたしもあっという間に読みあげた。読みやすいだけではなく内容に引き込まれたのだ。
著者の宮本延春さんは 現在高校の教師。しかしその教師になるまでの軌跡は すさまじい。
いじめられっ子として中学生まで過ごした日々を思うと ここまで?いじめを止める教師はいなかったのか?と思う。彼が早晩 諦めを抱くのもわかる。彼を救おうとする人がひとりも現れなかったのだ。教育の現場に彼が憩える場所はなかった。
この本では半分がいじめられていた時期について書かれていて、あと半分がそこからどのように人生が転換していくのかを書いている。この後半の彼の人生を読むと 人間の限りない可能性を感じる。ほとんど絶望とどん底しかないはずの人生の未来図を塗り替えていくのは やはり自分自身しかなく、自分が変わっていくのは人との出会いであり 深く真剣に物事を考えることであり、「知る」意欲を持てるものが変容を遂げることができるのだということ。
彼はアインシュタインを知り、物理学 数学への魅力を感じ取るわけだが、そこからの彼の物凄さは筆舌に値する。困難 奇跡だと周りから思われる難関大学を受けるために頑張る姿勢に周りも応援する。彼のすさまじい学ぶことへの意欲に圧倒される。小学・中学と味わえなかった学ぶ楽しさを20代になり初めて知ったことの喜び!苦しくなんかない、楽しいのだ そういう気持ちが文面からにじみ出ている気がした。今の子供たちが果たして 彼のような学ぶことの喜びを味わっているかどうか・・・
彼は自分の経験が 子供たちにこそ役立つのではないかと思う。教師になることで自分の生きた軌跡を伝えていくことができると思ったのだ。
ここで わたしは最近感銘した『大人が変わる生活指導』の冒頭に書かれていた「心を広くする」ということに まさしく当てはまる!と思った。
「心を広くする」というのは、感動した体験や苦労して得た経験でも惜しまず人に与えるほど 自分の心はどんどん広くなっていく。それは他の人からも惜しまず与えてもらえるようになる ということです。
彼が自分の経験を子供たちに伝えていくことはすなわち 子供たちに人生に前向きに生きることの素晴らしさを知ってもらうことであり、子供たちからはより多くの感動を与えてもらうことだと わたしは思う。
彼が教師になったのは なるべくしてなったのだと感じずにはいられない。
がんばってほしい。ずっとがんばってほしい。