昨日 番組表を見て これは見てみたいなと思っていたのに、忘れていて途中から見てしまったんです。(それが返すがえすも残念!)
泣きながら生きて
出てきた画面は、丁 尚彪(てい しょうひょう)さんが長い間会えなかった妻と再会していたところ。何も言葉が出ていないのに なぜか涙が次々と出て止まらなかった。その前の部分を見ていないにもかかわらず・・・
彼の顔を見ているだけで 画面から何か真摯なものが伝わってきた。
ドキュメンタリーの第5弾だそうだ。これが最終章。詳しい内容は リンク先の「企画内容」を読んでいただきたい。
彼が娘の医者になりたいという希望を叶えるために日本で働き続けてきたこと。最初は北海道の阿寒町に出来た日本語学校に夢を抱いて 借金してやってきたこと。ところが過疎の町では日本語を学びながら仕事をして借金を返そうという思惑はゼロになり 借金を返すために上京する。だが、ビザがおりず彼は不法滞在者となりながら仕事を三つもこなし上海にいる妻子に仕送り・借金を返していった。一度上海に帰ると二度と日本に戻れないため 彼は借金返済終わるまで働き続ける。そしてさらに娘が海外の大学で医療を学び医者になりたいという夢を知り、借金を返したのちも日本で働き続ける。娘は無事ニューヨーク州立大学入学。そして晴れて産婦人科の医師になる。
昨日のテレビでは 上海にいる妻が彼に会いに来る。72時間の短い間 語りあう言葉は画面からほとんど聞こえてこないが、声にならない心の声が聞こえそうだった。成田駅で降り、成田空港駅まで行けない彼。妻が乗る座席をじっと見送る彼の目は赤く染まっている。電車が出るとそれまでこらえていた妻がさめざめと泣き出した。我慢していたのだろうか。
彼は上海に帰ることにした。娘も医者になることが決まった。彼が日本ですべきことは終わった。彼は「親は子供に学問を学ばせる責任があるんです」と言う。自分が大学までいけると信じてやってきた日本で叶えられなかったから、娘にはなんとしても・・・という思いだったろう。
彼は帰るまえに 行きたいところがあるとスタッフに言った。それは 阿寒町だった。
彼は言う
「ここは私のふるさとですよ」
今はもう廃校となってしまった場所。そして6人(当時一緒に学んだ)で住んだ住宅。荒れ果てた廃屋を見ながら 彼の思いはどれほどだったか。希望を抱いてやってきた日本。そこで手痛い現実を突きつけられ、それでも彼が最後に行きたかった場所は その北海道の過疎の町。
希望を踏みつけられても 彼のなかに残るふるさとなんだな、ここが。
彼は二度と日本に戻れない。
1989年に日本に来て、それ以来一度も上海の地を踏んでいない。
飛行機に乗る彼の目に去来する思いを想像すると 胸が詰まる。
今こうして入力していても 昨日の画面が目にちらついて涙がにじむ。
彼の人生 いかばかりか・・・彼に問う。「15年たってみて 人生とは?」
「人生とは悲しいものだ 弱いものだ・・・しかし 今は 捨てたもんじゃない」とかすかに微笑んだ。
ナレーターが言う。
背負った運命をなげくことなく、恨みごとひとついうこともなく 自分の人生を恥じることなく・・・
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これは ぜひ再放送してほしいですね。ほんとに。
できればシリーズで続けて見たいです。番組企画の方 ぜひぜひ叶えてくださーい♪