恵みの雨、慈雨。
毎日、水やりをしている叔母にとっては、今日の雨は恵みの雨だろう。ここ数日、眠れなくて朝のウォーキングをさぼっていた私にとっては少し眠れるという恵みの雨だった。
シトシトという音がどこか頭の中でリフレインしていく。朝早く目が覚めたが、たぶん熟睡できたのだろう。いつになくスッキリした目覚めを覚えた。早い時間だったので、読みかけの本に手を伸ばす。
こういう日は本を読むのが一番いい。早朝のまだ何の音も聞こえない時間、集合住宅の住民はほとんど眠りの世界だろう。
『すぐ死ぬんだから』内館牧子著
書店の第一位だったか二位の位置にあった。前から気になっていたので、最近文庫本二冊と樹木希林さんの著書と一緒に購入していた。
最初は、なんだ仲良しこよしの夫婦の話かあ・・・って勝手に思い込んで読み始め、わたしには羨ましさしか感じないだろうなって、ほんとに勝手に思いながら読み始めたのだ。
それが、全然違った。全然といえば少し語弊があるが、あくまでも主人公は78歳の女性。夫との交流がいかにも理想のふたりみたいな雰囲気を醸し出して始まるのにすっかり騙されてしまった。でも、それだけだったらつまんない(笑)。何かが無いとね。
ハナさんは外見に磨きをかける。端から見れば10歳は若く見られる。78歳が68歳に見られるってすごいことだと思う。ハナさんがしていることを読めば、あ~、わたしはハナさんの半分も出来ていないなと思う。最近は特にファッションとかどうでもいいと思うことも多くなった。読みながら反省しきり。それがかなりの頻度で多い。今から反省ばかりでどうする? まだ先は長いぞ。
ハナさんとわたしが決定的に違うのは、ハナさんは相手に辛辣な言葉を丁寧に言えるということだ。ギリギリだけど、関係がうまく繋がっていく。本音が見え隠れしながらぶつかっているのがなんとも面白い。たぶん、ハナさんのように言いたくても言えない人の方が多いのだろう。まあ、ハナさんも全部を言っているわけではなく、言いたいことをギュッと心に入れて胸の内で吐き出している。その吐き出しに共感を覚える人が沢山いる気がする。
ハナさんがどん底の思いを味わってから再生していく様子は、どこかこれから先の自分の人生を考えさせられるものがある。果たしてわたしはハナさんのように胸を張って新しいことに飛び込んでいけるだろうか?