岡崎市の名鉄・東岡崎駅。こちらの駅ビル「岡ビル百貨店」がいきなり存在感アリ(別の意味で)。昭和30、40年代生まれの人間にとっては何とも懐かしさのこみ上げる風情で、まるで時間が昭和で止まったかのよう。大きな建物なのだが営業している店の数は少なく、空いているスペースが多い。昔は賑わっていたんだろうなァとついついウロウロしてしまった。そんな建物の3階は1軒を除いてもぬけのカラ。その1軒がこちら「キッチンこも」。昔は必ず商業ビルに1軒はあっただろう洋食の店だ。ワン・フロアーが完全に空いているというシュールな空間の端の端に店がある。食べ歩いていたのでお腹は全然空いていなかったが、ここまで来たら入らずに帰ることは出来ない。一日自転車で走り回って喉もカラカラだったのでビールのつまみに何かを注文しようと店に入る。
店はカウンター席とテーブル席で、窓の外には駅前の小さなロータリーが見渡せる。老夫婦でやっていらっしゃって、半端な時間だったから先客はなし。ビール(中瓶)と「手作り・カニコロッケ・ハンバーグ」を単品でお願いした。まずはグイッとビールを流し込む。ラジオから流れる中日ドラゴンズのデーゲームの音を聞きながら待っていると、銘の入った楕円の平皿に盛られた「カニコロッケ・ハンバーグ」が登場。付け合わせは千切りキャベツとポテサラとケチャップスパ。まずはハンバーグからナイフを入れていく。しっかりと肉が詰まったクラシックなタイプ。でも硬くはない。デミソースがかかっていて、そのソースも重くなくてちょうどいい。続いて細目の衣に包まれたカニコロッケ。意外な程しっかりと蟹の身が詰まっていて、ぽってりとした舌触り。うん、これは旨いなァ。とても幸せな昼の一杯になった。ここは機会があったらまた訪れたいナ。この百貨店ビルの行く末もちょっと心配だし、早いうちに…。(勘定は¥1,250)
※令和3年5月25日、岡ビル百貨店の閉鎖に伴い閉店されました。
↓ 「東岡崎駅」に隣接する「岡ビル百貨店」(昭和33年・1958・建造)◇。建物のそこかしこのデザイン、フォント、カラーリングがまさに”昭和”。ここでは著作権に厳しい某米国企業のキャラクターも治外法権(笑)。駅だから人も多いのにこの建物の空きっぷりは何でだろう? 色々使えそうな気はするのだが…。上がれなかったが屋上へ通ずる階段脇には何ともレトロなイラストの壁紙が(写真10枚目)。
↓ JRの駅の方角へかなり自転車で走って辿り着いた「服部記念館(旧・服部工業事務所)」(大正15年・1926・建造)◇。広い土地にこの建物だけポツンと残っているがしっかり整備はされているよう。先達の記録を見ると、JR岡崎駅周辺に点在した近代建築はほとんどが取り壊されてしまったらしい…。
↓ 針崎町にある「旧・日清紡績針崎工場竜城学園講堂(旧・愛知県立第二尋常中学校講堂)」(明治40年・1907・建造)◇。工場敷地が住宅用に分譲されたのだろう。新興の分譲住宅地の真新しい家々の奥にポツンと、しかも再塗装は済んでいるのに何だか放置気味に建つ姿がシュール…。
手作りの店 キッチンこも
愛知県岡崎市明大寺本町4-70 岡ビル百貨店 3F
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