ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

The Cellar Door Sessions 1970 / Miles Davis

2018年07月06日 | ジャズ

 

The Cellar Door Sessions 1970 / Miles Davis (2005)

念願のボックス入手。マイルス・デイビス(Miles Davis)の1970年のワシントンD.C.でのライヴ盤。The Cellar Doorという小さなナイトクラブでの演奏。ここでは数日間連続でライヴ(それぞれ数回のステージ)があったようだが、この6枚組ボックス・セットにはうち6回のステージが収録されている。そのうちディスク5、6の演奏がテオ・マセロ(Teo Macero)によって編集され、1971年に「Live-Evil」というアルバムの一部となって発表されている(写真下)。

自分は「Live-Evil」が大好きだったのでボックス発表当時すぐに買えばよかったのだが、安くなかったので見送っていたら廃盤になってしまい、適正価格での入手が難しくなってしまっていた。マイルスやディラン(Bob Dylan)のブートレグ・シリーズやボックス・セットってすぐにこういう状況になってしまったりして厄介。箱物はこちらにも置き場所の事情や財布の事情があり、ホイホイとは買えないのでもどかしい。

このライヴでのラインナップは以下の通り。

Miles Davis (Electric Trumpet with wah-wah)
Gary Bartz (Soprano Sax and Alto Sax, Flute)
Keith Jarrett (Fender Rhodes Electric Piano, Fender Contempo Organ)
Michael Henderson (Electric Bass)
Jack DeJohnette (Drums)
Airto Moreira (Percussion, Cuica)
John McLaughlin: Electric Guitar (*Guest Disc5,6)

マイルスのバンドは入れ替わりが激しく、スタジオやライヴによっても面子が違うが、ここではキーボードがチック・コリア(Chick Corea)からキース・ジャレット(Keith Jarrett)に、ベースがデイヴ・ホーランド(Dave Holland)からマイケル・ヘンダーソン(Michael Henderson )に変わっていて、いわゆるジャズ色が更に後退している。当時のマイルスがどんなヴィジョンを持ってジャズから飛び出していったのか知る由もないが、ロック畑の会場での演奏やフェスへの出演など、どんどん従来のジャズとは違う新しい方向へ行こうとしていた時期。面白くない訳がない。

流石に6枚聴き通すのは疲れるが、こんな密度の濃い演奏を1日に数回連日続けたのだから本人はもちろん、”王様”についていくバンドの連中の集中力、緊張感は大変なものだっただろう(王様はあの性格だし)。毎度の事ながら、こういう演奏から一部を切り取って編集し、作品として仕上げるテオ・マセロの手腕には恐れ入る。こちらも相当な集中力とセンスが無ければ成し遂げられないだろう。自分もPC上でソフトを使ってWavファイルをつぎはぎして音楽ファイルを作って遊んだ経験があるが、便利なPCを使っていても1時間もすると袋小路に迷い込んでしまう。ましてや当時はアナログだもの…。自分は”編集なし”(このボックスがどうかは知らない)が一番いいとは思わないが、どこを切り取ってもかっこいいマイルスとそのバンドの演奏が聴ける。自分の購入した過去のマイルスの発掘ボックス・セットでは一番満足度が高かったかな。

オークションにて購入(¥5,410)

  • CD (2005/12/20)
  • Disc : 6
  • Format: Box set, Original recording remastered, Import
  • Label : Sony
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